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ナナイロシチヘンゲ  作者: タイヘイタ
序章:予想外
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予想外


カップ麺にお湯を入れた。タイマーも設定した。さて。3分間なにしようか。スマホは速度制限に入っちゃったし…


カタンッ


玄関の方で音がした。郵便受けに何かが入れられたらしい。良い暇つぶしが出来た。郵便受けを開けると中には茶封筒が入っていた。


他には何もない。なんだろう。履歴書の返還か?いや、ないな。それにしては細すぎる。取り敢えずちゃぶ台の前に戻る。


よく見てみても変だな。表に『六木ムツギ様』と書かれているだけだ。住所も差出人もない。これじゃあ配達されない筈だ。


となると、コレを書いた奴が直接郵便受けに入れた可能性が高い。代理人を使っている場合もあるけど。そんな事は置いといて。


問題は中身が何なのかだ。茶封筒は何も入っていないように薄い。けれど、灯りで透かして見ると細長いモノが入っているのが分かる。ちょうどチケットの様な。


ともかく、危険物は入ってなさそうだ。そうと分かれば出して確かめた方が早い。封を乱雑に破り茶封筒を引っ繰り返した。


中身が飛び出しゆっくりとちゃぶ台の上に落ちた。ソレはやはりチケットだった。手に取り見てみる。ええっと、なになに…『異世界チケット』…?


大きな文字でそう書かれていた。なんだコレ。異世界に行けるチケットって事か?はぁ~…最近の奴は考える事が違うなぁ…


俺がガキの頃なんか、悪戯と言えば近所の家にピンポンダッシュしたり膝かっくんしたりだったのになぁ…これも時代かね。


それにしてもよく出来てるなこのチケット。ちゃんと半券を切り離せるように切れ込みが入っている。すげぇな、どうやったんだ。


よく見ると『異世界チケット』の文字の下に小さな文字があった。


『・このチケットは異世界に行けるチケットです

 ・半券を切り離す事で使用する事が出来ます

 ・このチケットは本人様以外はお使いいただけません

 ・こちらは異世界へ転移後≪武器≫に変化します  』


注意書きまで書かれているなんて本格的だ。面白いな。このまま取っておきたい気もするが、ここまでされたら相手に付き合ってやるべきだろう。


タイマーはあと5秒を残すところだ。ちょうどいい時間だ。この半券を切り離して、それから昼飯にしよう。


切れ込みの部分を折り曲げて切り取りやすくする。こう言うヤツを切る時って何故だか楽しいんだよなぁ…なんでだろ。


そんな事を考えながら半券を切り離した。プチプチと小気味いい音を立ててチケットが2つに分かれた。さて、カップ麺を食うか。


目線を下げると、そこにはカップ麺がなかった。それどころかちゃぶ台すら見当たらない。もっと言えば畳もない。


頬を撫でる風。鳥の囀る音。鼻を擽る甘い香。目に優しい緑色。


周りには壁がなく代わりに木々が生い茂っている。俺の部屋にいては感じられるはずのないモノばかりだ。


どうやら俺は本当に異世界に来てしまったらしい。

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