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未来魔法と夕の月  作者: 霧嶺アオ
プロローグ
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プロローグ



 時は西暦2117年。

 2020年に始まった技術革命により社会は急速に発展、映画や小説の中の夢物語でしかなかったようなあらゆる技術が実現され、人々の生活レベルは飛躍的に向上した。例えば空を飛ぶ車、AR技術やVR技術、人工知能、自動医療システムなど、数を挙げればキリはない。


 しかし、資源エネルギーの枯渇によりそれも長くは続かないのだということが判明し、誰もが危機感を覚えていた。一度向上した生活水準を元に戻すのは難しい。慣れというのは恐ろしいもので、革新的に思えた技術もただの「当たり前」の日常に、ーー無くてはならないものとなってしまったのだ。


 そのような状況下で、新たな技術が創出された。人間エネルギーシステム、HES(ヘス)である。地球のエネルギーをほぼ使い尽くした人類は、外からのエネルギーが使えないのならば、内からのと安直とも言えるような発想に至ったのだ。人間資源を有効活用する、といういかにも胡散臭い目的を掲げた研究機関「人間エネルギー研究所」が偶然、人智を超えた力を発見し一躍その名を世界に知らしめた。


 曰く、人間エネルギーは従来の枯渇性エネルギーや自然エネルギーに比べて、物理法則に強く干渉することが出来る。曰く、人間エネルギーは現在判明している物理法則を超えて物事に干渉することが出来る。つまり、分かりやすく言うと人間エネルギーは超自然的な現象を起こすことだって出来てしまうということだ。このような、御伽物語の中の空想でしかなかった神秘を人々は「魔法」と呼んだ。


 このような過程で発見された「魔法」は人間の持つ生命エネルギーを原動力に事象に働きかけるといったものである。ヒトの持つ生命エネルギーは、ヒトの身体機能を維持させるという能力以外には持っていないように思われていたが、生命という媒体を通すことで、新たなエネルギーに変化する、ということまでは判ったのだが、それ以降の研究は八方塞がり、何故超自然的な力を持っているのかということさえも分からない。いかにも偶然の産物ともいうべきか。


 兎にも角にも「魔法」の誕生に人々は大いに沸き立った。誰もが子供の頃に夢みた存在。しかし、「魔法」を使えることのできる人は限られているのだということが判明した。当然、人々は落胆した。だが、まだ「魔法」は生まれて間もない「技術」である。進化の余地はまだまだあるだろう。人々は期待に胸を膨らませ、ただ、より良い未来を信じ続けている。



 これは、そのような時代の、とある少年の日常、或いは非日常を描いた些細な物語である。

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