乙女ゲームのヒロイン。
「いいのかい?帽子屋と仲が良かったろ?」
狂おしいほどに愛おしい手が私の髪を優しく梳きながら聞いてきます。
ふわふわと柔らかい紫と桃色の猫っ毛が私の頬を撫でるのがこそばゆく微笑みが零れ落ちそうになります。
「仕方ないじゃない。主人公は彼が好きだったみたいだもの。私には拒否権は無いわ?」
そう、私……私達はゲームのキャラクター……どれだけ足掻こうと主人公の好きな様に遊ばれ、幾度となく殺され好きでもない人と結ばれる。
気が狂うような生活を何回も繰り返している。
「ふふふ……そうだね。僕なんて君と結ばれる未来を選ばれた事もないよ。」
彼はチェシャ猫、彼もゲームに登場するけれど獣人………成人男性に耳が映えたような獣人じゃない、もふもふの毛皮を持った本物の獣人だ。
そんな彼を主人公が選んだ事は少ない。選んでも超絶ハードモードな彼の攻略は難しく私と彼をハッピーエンドに導いてくれる主人公は片手で足りる程しかいない。
「そろそろ次のゲームが始まるわ……また暫く貴方ともお別れよ。」
〜ありすゲーム〜それが私と彼のいる世界。
ベースはお伽噺の不思議の国のアリスと鏡の国のアリスをごちゃまぜにしたもの。
私は主人公の操るありす。主人公次第で名前はめちゃめちゃに変わる。
彼はチェシャ猫。紫と桃色の毛が混じった薄ら笑いを浮かべる猫の獣人。
一番人気は帽子屋。2番目が不思議の国のありすでは言わば悪役として登場するハートの女王。3番目はアリスを不思議の国へ誘う白兎。4番目はマッドハッターと狂ったお茶会を繰り広げる三月うさぎ。5番目は鏡の国のアリスに登場するトゥイードルディとトィードルダムそして、同じぐらいに人気なのが赤の女王と白の女王。
そこそこの登場キャラがいる中、チェシャ猫の人気はとてつもなく低い。
それでも、私達は交流を続けるし、結ばれるゲームを夢見る。




