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12月6日 ~歩きお遍路31日目~

嫌いな奴が隣にいても、俺はグッスリ眠れる。

でも、長時間一緒にはいたくない。

なので、早起きした。

午前4時のことだ。


10分で支度して、この無口野郎の傍からとっとと立ち去る。

外は当然真っ暗で、あの男のせいでなんだか損した気持ちになってくる。

でも、宿から出た判断を彼のせいにしてはいけない。

これは俺の頭の中だけで判断して行動したことなのだから。


今日は45番三角寺へ行き、46番雲辺寺の登山口近くにある、民宿吉岡に泊まる予定だ。

距離にして50キロ以上。

しかも三角寺は山の上にある。

そう。

また登山である。


そして雲辺寺は登山口と書いたことから分かるように、山である。

しかも焼山寺に次ぐキツさの山である。

雲の辺りにあるお寺って書いてもいいかもしれないな。

……完全に歩きお遍路さん達をイジメにかかっている。

だが、大自然の苛めに負けるわけにはいかない。

今でだってそうだし、これからもそうだ。


20キロ程国道を歩き(簡単に書いているけどね、すごくしんどいの)、四国中央市へ到着する。

ここは名前の通り、四国を結ぶ国道が合流する場所で、ここから徳島、高知、愛媛、香川へと行ける。

そして丁度歩き遍路にとって、愛媛で通る最後の街である。

ここの街のそばに山があり、山に入ってしばらく登ると三角寺があるわけだ。

つまり、三角寺からは街が一望出来るんすよ。


当然、9割のお遍路さん達は車で車道を通り、三角寺まで行く。

けど、歩き遍路は登山を通った方が近いし足への負担も少ない……らしい。(道ですれ違ったおばちゃんに聞いたから、信憑性がなんとも言えない……)


ってことで、レッツ登山。

登山道は急な分距離が短いので、1時間くらいで寺へ到着出来る。

が、それに比例して体力の消耗が激しい。

こういう時のために、カロリーと糖分の高いおやつをポケットに忍ばせてあったので、それで体にエネルギーを充填させながらしんどい坂道を登っていく。


カロリーってやっぱ大切だな。

これがなきゃ、体動かせないんだもん。

俺のオススメは、やっぱりカロリーメイトかな。

口の中がパサパサになるけど、まあしょうがない。


そして1時間半くらいかけて、三角寺にたどり着いた。

なのに、寺の入り口まで長い階段が阻んでいた。

山の上の寺では、恒例のイベントっすね。


たいして驚かず、かつうんざりしつつ、必死に両足の太ももをプルプルさせながら登りきる。

足が生まれたての小鹿なんですけど。

もしくは、クララが立った! 状態なんですけど。

簡単に言えば、足がボロボロ。


寺ってなんでこういう山の上に作るんだろう?

……修行のためか?

多分、そうだよなぁ。

なら、頑張るしかないじゃん。


寺の敷地内は、たいして変わったところなしであった。

まあ、山登ったからって特別なものがあるわけじゃないよな。

でも、俺にとって嬉しいイベントは寺を出た後にあった。


寺の階段を降りると、次の寺である雲辺寺の近くまで繋がる県道があった。

その県道がなんと、かなーり長い距離を緩やかに下りていく道路だったのだ。


なに?

それだけかって?

馬鹿野郎ッッ!!!


急な下りでもなく、登りでもなく、足の負担が1番少ない道路の下り道だぞ?

疲れにくいんだぞ?

最高じゃないか!!


体力も使わないし、足もほぼ痛まない。

これが何キロも続くらしく、普通のお接待を受ける時よりも数倍歓喜した。

まるでボーナスステージだ。

最っ高だ。


焼山寺の時や鶴林寺、太龍寺の時の下り道は、急すぎて足を痛めつけるようなものだったからね。

これは本当に嬉しい。

調子に乗って、スキップスキップランランランで民宿を目指す。


山からの景色は絶景だった。

麓の四国中央市が見渡せる。

しかも今日は晴れだ。

余裕があって、喜ばしい時に見る景色はどんなものでも美しく見える。


で、ボーナスステージは民宿の近くまで続いた。

だから民宿まで歩くのは全然苦労しなかった。

楽勝だ。

でも疲れたなぁ。


到着時刻は丁度午後5時だったので、結局かなり歩いていることになる。

そういえば、最初は20キロ歩くだけでぜぇぜぇ疲れてたなぁ。

懐かしい。


あの頃は足のマメも出来てたし、膝の関節がピキピキ鳴って痛かったな。

今ではそんなことはない。

足の裏の皮膚は固くなり、皮膚が剥がれることもなくなった。

膝もより堅牢に(なったつもり)。


俺は強くなった。

ストロングだ。

これは良いことか、悪いことか。

もちろん良いに決まってる!!


このたくましくなった感じ。

足腰の強靭なこと。

ふふ、何だか気分がいいぞ。

ま、地元に帰ったら怠けて体も弱体化するんだろうけど。


今日泊まる民宿は、雲辺寺登山口に1番近い場所にあって、オフシーズンじゃなきゃ歩きお遍路でごった返してなかなか予約が取れないことで有名な宿だ。

でも俺は運が良く、さらに今がオフシーズンでもあったので、当日に連絡して素泊まりオーケーにしてもらえた。

これで朝一から雲辺寺にアタック出来る。


余裕が出てきたところで、眠くなってきた。

さっさと風呂に入って、寝ることにしよう。


あ、あとここの宿のオーナーさん(40代のおばちゃん)から、お接待で柿を貰った。

柿って初めて食べたけど、こんなに甘い食べ物だったのね。

俺、初めて知りました。


おばちゃん、どうもありがとうございました!

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