表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/40

俺という人間がお遍路をしようと思った理由

突然ですが、歩きお遍路って知ってますか?

ほら、四国に八十八か所あるお寺を参拝するアレですよ。


え?

なんで四国八十八か所を参拝するんだって?

そりゃあご利益を貰うためですよ。

全部参拝したら、自分の願いが叶うぐらいのご利益が貯まるんですってよ。

だから自分の願いを叶えてもらうために、お寺を巡るわけです。

他には、四国を旅することで自分の修行としたり、ただの観光でお寺へ行ったりとか。

お遍路するっていう方は、宗教心のある方ない方ごっちゃになってますから、理由もその分ごっちゃになっちゃってるのです。


ん?

どうせお前も四国お遍路行ったんだろって?

ええ、行きましたよ。

しかも歩いて。

四国一周、踏破しましたとも。


現代のお遍路なんて、車やらバイクで巡れるんですが、俺は昔ながらの歩きですね、はい。

だって俺は、純粋に旅をしてみたかったから。

何で旅がしたいと思ったかと言うと、俺がお遍路に行く丁度2週間前、ネットで動画を見ていたんですが、そこであるゲームのPVを見てしまったんですね。

それが・・・ファイナル〇ァンタジー15でございます。


FFっすよ、FF。

いいよね、あのオープンワールド。

あんな幻想的な大自然の中を旅したら、どんなに楽しいだろう!

そう思ったら、アスペな俺(今言っておきますが、俺は発達障害者です)はもう止まりませんでした。

押さえきれぬ衝動に身を任せ、丁度今の時期が暇なのを良いことに、いつの間にか旅の準備をしていました。

寝袋に着替えに食料にお金。


でも、どこに行ったら良いだろう?

そこで思いついたのがお遍路なのでした。

たまたまテレビの放送でお遍路が特集されている所を急に思い出したのです。

いわゆるフラッシュバック(アスペルガーは記憶のフラッシュバックが良くあります)ってやつですね。


八十八か所のお寺を巡り、大自然を歩いていく旅。

空海と呼ばれる有名なお坊さんが、1200年前に行った由緒ある修行。

俺が知っていることはそれだけ。

でも、いいじゃないっすか。

すごい楽しそう!


FFみたいに召喚獣やモンスターもいなければ、クリスタルや魔法なんて欠片も存在しないし、ヒロインや旅の仲間すらいないわけですが、もう俺は旅というキーワードが合致していればあとはもうどうでも良くなってました。

そんなお遍路へ行こうと思ったら、俺はもう止まりません。


飛行機のチケットを予約して、一週間後には地元の北海道にある新千歳空港と呼ばれる空港から、徳島県へ。

もうあっという間でしたね。

自分の興味のあることに関しては、実行力はピカイチ。

でも、興味のないことはトコトンガン無視。

それがアスペな俺の持ち味。


んで、その一週間の間にお遍路について、色々調べました。

お遍路って上にも書いた通り、四国を一周するように八十八か所のお寺を巡ります。

移動方法は車やバイクはもちろん、観光バスや公共交通機関、後は貸し切りタクシーなんて手もあります。

今や車でお遍路が出来る時代なので、じゃんじゃんおじいちゃんおばあちゃんがお寺にやってきます。

でも、若者は滅多にお寺に行きません。

お遍路に来る方々は、殆どが中年や老齢の人達ばかりらしいです。

二十代の方と出会うのは稀なんだとか。

ちなみに俺、20代前半でっす。


まあ、そりゃあそうだよね。

何のメリットがあって、四国のど田舎で1200キロも旅をしなくちゃいけないのかって話ですよ。

それなら普通に都会で働いたり、彼氏彼女作ったりして人生をエンジョイしたいですもんね。

いや、分かりますよ。


でも俺、友達いないし。

果てしなくぼっちだし。

そう、孤独なんです。


アスペは半分以上の方が、他者との関係を築く際に異常性のある接し方をしちゃいます。

俺だってそうです。

イケメン俳優や美人女優、面白い芸能人やスポーツ選手が全員平凡な人間に見えるぐらい、人に全く興味が持てないし。

クラスメイトや親族が死んだ時ですら、無関心でした。

俺と話した人はみんなこう言います。

怖いよ。

冷たい人間だねって。


次第にこういう人間は、周囲から無視されていきます。

シカトですね。

まあ、当然の結果です。

だって俺、人間なんてモノと同じだと思ってるから。

いや、人だけじゃなく、あらゆる社会的な出来事や知識に無関心でしたね。

友達や恋人っていうのは、作ろうと働きかけて初めて出来るものなので、俺みたいな人間無関心野郎が孤独なのも当然でしょう。

でもね、そんな俺にも興味のあることが出来たんですよ。


それは何か?

……思い出作り、です。


唐突で申し訳ないですが、貴重や希少って言葉、みなさんは魅力的に見えませんか?

貴重な宝石、書物、資源。

希少な生き物、人物、自然環境、民族。

普通の方ならば、希少なモノ……というか、希少性を最低1つは求めているはずです。

何故かと言えば、人間の欲望を刺激して、生存力を高めようとするからです。

人間が生きていられるのは、全部欲のお陰ですからね。

食欲、睡眠欲、性欲、金銭欲などなど、みんなそうした欲望を糧にするからこそ、この世に生きたいと思うわけです。


で、俺にもそんな欲望はありますが、それが自身の興味のあることと繋がるんですよ。

そう、思い出作り。

もっと厳密に言うなら、思い出コレクション。


俺、貴重なことを体験した思い出が欲しくなっちゃったんですよね。

唐突に。

何となく。

特に理由はありませんよ?


ほら、衝動買いと同じようなものです。

ただ、欲しくなってしまった。

それだけなんです。


人が体験していないようなことを経験して、思い出にする。

写真はいりません。

頭の中に保存する感覚をイメージするだけで、俺はもう満足なんです。

自分の脳という名の本棚に、アルバムを埋めていく作業が楽しいんですよ。

でも好みというのはやっぱりあって、政治的なものに関わったり勉学するような思い出は嫌いなんですけどね(勉強は嫌いでございます)。


そういった欲望を持ってしまった関係上、今まで無関心だった他者達にも積極的に関わっていきました。

無関心なまま。

貴重な思い出を求めて。

だからまあ、俺がお遍路に行こうって思ったのも、貴重な思い出が欲しいからなんですよね。

1200キロを歩く旅なんて、滅多に出来ることじゃないと思ったから。


たった今この作品を書いていることだって、文章を自由に書くという思い出がたくさんほしいから。

全部、思い出思い出思い出なんです。

俺の行動の動機ってやつは。

自己満足なんです。


そんな感じで俺はお遍路の旅へ突撃したのですが、その間当時の記録を書き続けてきました。

お遍路の日記を公開するという思い出を手に入れるために。


日記の内容はと言うと、お遍路で起こった出来事などに対して、ただ自分の思ったことを正直に、隠すことなく書いています。

読んで不快に思う方がいるかもしれません。


でも、書くよ。

エタらせないよ。

誰もこれを読むことがなくても、駆け抜けるならぬ、書け抜けます。


だって誰も読まれない作品を書くことですら、思い出の一部になるのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ