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11月21日 ~歩きお遍路16日目~

15日の時点で、明日の天気予報は晴れの筈だった。

朝に起きたら雨でした……

今回宿に泊まって金を消費したので、今日は30キロ先にある道の駅で野宿にしようと思っていたけど……


無理だ。

無理無理無理。

無理っす。


雨の日に野宿したら、確実に睡眠どころではない。

全身びしょ濡れのまま寝れる奴がどこにいるというのか?

そんな人、どこにもいない。

雨の冷たさで目が覚めること必至だろ。


仕方ないので、今日泊まる予定だった道の駅から4キロ先にある、37番岩本寺の宿坊に予約しておいた。

ああ、また出費だ。

けど、本当に仕方ない。

まさかこんな形で初めて宿坊に泊まることになろうとは。


ネガティヴなことを考えてもどうしようもないので、宿から出て歩き始める。

そして早速ずぶ濡れに。

一応防水ポンチョを着ているけれど、全然水が漏れている。

全く防水ではなかった。

しかも無駄に通気性はシャットしているので、蒸れて内側は汗だらけ。

不快なことこの上ない。

という流れは、もう俺の中じゃあお約束です。


が、靴はまた別なのです。

流石軍隊で使うミッキーマウスブーツなだけあって、水が一滴も入ってこない。

このブーツは本当に重いけど、こういう雨の日はすごく頼りになる。

デメリットがあっても、ちゃんとメリットのある物は好きだ。

この役立たずのポンチョも、ちゃんと見習ってほしいものだ。


そして、今日のふくらはぎの様子はというと……

昨日貼ったシップの効果だろうか?

もう痛みが引いている。

これが、外用薬の力か。

500円のシップ、侮りがたし。


というわけで、全身ずぶ濡れになりながら30キロの道のりをひたすら歩いた。

本日は国道56号線をひたすら歩いていくルートである。

登りの道路がうんざりするくらい続く、峠越えの道だ。


しかも歩道がない。

ないったらない。

車道も非っ常に狭い。

必然、車にひかれそうになります。

クラクションもBU-BU-鳴らされます。


いや、ここはお遍路の正式ルートだから、車道の横を歩いても問題ないんだけどね。

なんでか知らんが、車は遠慮せずクラクションを響かせる。

……なんで?


さらにだぞ?

周囲が霧に覆われていて、視界が悪い。

悪いったら悪い。


おまけに雨は本降り。

車の水しぶきがビシャビシャかかります。

トラックが来た瞬間にゃあ、全身泥水だらけっすよ、兄貴ぃ……


まさに歩きお遍路にとって、最悪の環境。

登りで雨で車にひかれそうで視界が悪いだとぉ?

くそぉ。

雨なんて嫌いだ。

風邪を引いてしまうぞ。


道の途中でベンチを発見しても、濡れてて座れないし。

うへー。

休憩出来ないじゃん。

不満だらけだ。


毎度毎度雨の日に考えるけど、汚染物質をまき散らしながら寺を巡礼する車お遍路の奴らが恨めしかった。

いや、車でお遍路することは否定はしないんだけどさ……

単なる八つ当たりってやつですはい。

器の小さな男なんすよ、俺。


結局37番寺に到着するまで、7時間かかった。

道の途中で、歩きお遍路の姿も見なかった。

そりゃあこんな雨の日に歩きたくはないよなぁ。

こんな旅の途中で風邪を引いたら、歩けないもんな。


けどな、俺はお金がないの。

1日でも旅が長引くと、出費が痛いの。

だから俺は進む。

ゴーストレートなエブリディなのである(俺の英語の成績は悲惨です)。


お寺で早速納経してもらい、宿坊で風呂に入って就寝した。

宿坊の料金は素泊まりで4000円だった。

言うの2回目だけど、これが初めての宿坊だ。


感想は……普通の民宿でした。

テレビあるし、お風呂あるし、お布団あるし、和室だし。

お坊さんは中で見かけなかったな。

ここ、完全にお遍路さんか宿泊者専用施設っぽい。


う~む。

このままじゃツマラナイ……


ここのスタッフさんに聞いたところによると、宿坊では毎朝6時くらいに、お坊さんと一緒にお経を唱えるイベントが体験出来るらしい。

それを目当てに、宿坊に泊まる人がいるのだと。


表向きは、お遍路さんにお経を読んでもらって、少しでも徳を積んでほしいからって朝にお経を唱えてるみたい。

裏の本音は、やっぱり宿坊の集客のために、お経のイベントを取り入れているんだってさ。

いわゆる宗教ビジネスってやつよね。

いや、お遍路さんに徳を積んでもらいたい気持ちは本当だろうから、全然悪いことじゃないんだけどさ。


しかし、俺は朝のお経は唱えない。

何故なら朝5時に出発予定だからだ。

俺はさっさと先を急ぎたい。

それに、お寺の参拝の時、俺はお経を唱えてないからね。


俺は、俺なりに祈れればそれでいい。

形式もなにもいらない。

全部、自己満足だ。


でも、あからさまに宗教を否定するわけじゃないさ。

信仰は人の光だ。

神様を信じることで、自殺をやめた人もいる。

神様がいるって信じてるから、頑張って生きている人もいる。


逆に、お金しか信じないって人もいるよな。

それでも、それはそれで立派な宗教……信仰だ。

だってさ、お金に対して信心してるじゃないか。

お金を自分の信じる物とし、そこに真理を見出しているじゃないか。


家族を1番に想って生きているって人もいるよね。

それも宗教さ。

だって、家族を拠り所としているもの。

家族が自分の居場所なんだもの。

家族こそが、自分の信じるものであり、真理なんだもの。


つまりだ、宗教っていうのは、その人にとっての希望だ。

希望が生きる理由になるんだ。

希望がその人にとっての世界であり、同時に真理なんだ。

仕事も、親も、子供も、恋人も、アイドルも、財産も、ペットも、趣味も、ありとあらゆる全てのモノが、信仰の対象となりえるんだぜ?


だから全世界の人は、例外なく自分なりの宗教を持っている。

信仰心を持っている。

もし、信仰心……希望を持っていなければ、その人はいつか、自殺しちゃうだろうな。


俺は、その境界線を行ったり来たりだ。

俺の生きる理由は、未だに見つかっていない。

人間の生きる意味が分からない限りは、多分俺、迷い続けるんだろう。

自殺しちゃうかもしれないんだろう。


日本では、自殺者の数は年間で万を超える。

それだけ生きる希望がない……または失った人がいるってことだ。

こんなに豊かさに溢れた国なのに、人は自ら死んでいく。


だけど、自殺する前に、お遍路に救いを求めた人がいるのさ。

お遍路すれば、願いが叶うって聞いて来た人とかね。

お遍路はまさに、宗教なのだ。

生きる希望なのだ。


なので、俺は宗教を馬鹿にしない。

馬鹿にしないで、真剣に考えて、それでも納得出来なければ否定することにしている。

だが、前に会った創価学会のじじいは認めないぞ!!

人に宗教を押し付ける人は嫌いだもの。


でも、今の世の中には従っていかないといけない。

周囲の人間に、必死についていかなきゃいけない。

そういう日本全体の宗教に、みんな入っちゃってるからね。

そうしなきゃ生きていけないって思いこんでるからね。


俺もきっと例外じゃない。

俺もいつか、周りの人が見ている共通の宗教に飲み込まれそうだし。

う~む。

宗教って難しい。


しゃて。

明日は50キロの長い距離を歩く予定だ。

風呂に入って、しっかり寝ておこう。

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