3.雨の降る日に
「俺の会心の出来がぁ...」
「まだいってんのかよ。もう諦めろよ」
「お陀仏」
昨日の雨から一夜、変わらず雨は降り続いている。
蒸し暑い空気に加えて、じめじめした空気もあるとなればやる気どうこうの問題ではない。
そんなことを思いながら、雨が降り続く外の様子を放課後の教室から覗いていた。
「さて放課後だが...」
「帰る」
「帰還」
「ちょ、待てって!」
颯爽と帰ろうとする木山と小城。
「どうした?お前も帰るぞ」
「何でだよ!遊ぼうぜ!?」
「やることねぇだろ!小雨のうちに帰るぞ!おら!」
木山が鞄を持って教室の出ようとする。
「木山」
「ん?」
珍しく小城が人の名前を呼んだ...。
「窓」
俺たち三人は窓の方を見る。と同時に、締め切った教室でも分かるほどの暴風と豪雨が襲う。
「・・・」
「・・・」
「・・・術<すべ>なし」
「この雨だもんなぁ~。帰ったってずぶ濡れになるだけだもんなぁ~」
「だぁああ!分かったよ。少しだけだからな!」
「承諾」
木山も小城も渋々といった様子で納得してくれたようだ。
俺たちの放課後はこれから始まる
「さてやることは決まっていてだな・・・」
「コラァ!」
俺たちの誰でもない低音の怒鳴り声が教室内に響き渡る。
「お前らなんでまだ帰ってないんや!さっさとかえらんかい!」
「出たな土井<どい>セン!こっちは授業寝てたから遊ぶ体力有り余ってんだよ!」
「何でそんな堂々とさぼってます宣言できるんだコイツ・・・」
「バカ」
この見るからに体育会系の土井センこと土井先生は俺たちのクラスの担任であり、野球部の顧問も兼ねている。しかし担当科目は国語。
「間山!お前は今度根性たたき直す必要があるが・・・とにかく早くかえれ!」
「何でですか!?」
「今台風来てるから全校生徒放課後の活動は禁止やと言っただろうが!」
「・・・え?」
いやいや。
「何で俺たちは知らされてないんですか!?」
「そりゃお前が寝ておったからだろうが!」
「くそっ・・・誤算だった・・・」
「何でそんな悔しそうな顔出来るんだコイツ・・・」
「アホ」
なんて言いたい放題言ってくれてるんだ。コイツらめ・・・
「ほんで?何で残っとるんや?木山」
「いやぁ俺と小城は帰ろうぜって言ったんですけどね。間山が駄々こねてる間に雨も強くなっちゃって仕方なく」
「なっ・・・」
俺は今までの事を思い出す。あれ?確かに言ってた・・・?
「分かった。とりあえず間山には明日雑用手伝って貰うからな!覚悟しとけよ」
「何で俺だけ!?」
「お前が主犯だろうが!」
俺たちは土砂降りのなか、傘はぶっ壊れたが家に帰った。
次の日。
「よっしゃあ!遊ぶぞ!」
「バカは風邪引かないってマジなんだな」
「健康」