諦め藍哉
「謙棲の今の様子はどうだ?」
テーブルの上のティーカップを取り飲みながら藍哉の方を見ると足を組紅茶を飲みながら眉を潜め
「あんなやんちゃな餓鬼は初めて見たぜ」
コップを皿の上に置きため息をつきながら言う藍哉を見て敦煌は笑いだした
今藍哉は紫龍の屋敷庭にあるテーブルで二人はお茶をしていた
「ちゃんと紫龍様の言ったとおり紫龍様以外には良い子ちゃんのふりしてるから安心しろよ」
開いていない右目の傷を隠すように下ろされている前髪をかき上げた
この国は四季と言うものがあり今は夏で暑いのである
下ろしてあった髪も高く結い上げ胸元を少し開けた、だらしのない格好なっている
「で、質問の返答は…」
言い出したとたん無言になりどうしたのだろうと紫龍が後ろを見るとこちらに歩いてくる馳賢と黎司が目に入った
黎司が藍哉の存在に気づくと目付きが悪くなってくるのが二人は分かった
馳賢がだんだん近づいて来ると藍哉は椅子から立ち上がり紫龍の横へと立ち上がった
「おはようございます、馳賢様」
頭を下げると馳賢も藍哉の方に軽くを頭を下げた
するとそそくさに黎司は自分が持っていたハンカチで藍哉が座っていた椅子を一度はらい馳賢を座らせた
「お話し中をすいません藍哉。父上、いつになったら謙棲の教育が始まるのですか?」
藍哉が聞きに来たことを馳賢も同じことを紫龍に聞きに来た
紫龍は笑いながら
「藍哉にも同じことを聞かれたよ、そうだな~明日からまず武術から教えるか…頼めるか?藍哉」
突然ふられてきたことに驚いたし本当に自分でいいのだろうかと考えた
「紫龍様、教えるのはよろしいですが、本当に私でよろしいのでしょうか?危険な気がするのですが…」
藍哉が意見を言うと黎司は思いっきり藍哉を睨んで小さな舌打ちをついた
紫龍も悩んでいたが、藍哉を見て
「子供じゃないのだから手加減はできるよな?藍哉」
「…ぎ、御意?」
紫龍は茶を飲みながら言ってくると混乱と不安を抱えながら答えた
気絶くらいなら幾らさせても良いからと、やってやったような顔で菓子を食べ始め。もう諦めてしまった藍哉は
「明日から徹底的に教え込みます」
もう、嫌だという感じでふらつきながら門まで歩いて行った
「ち、父上、藍哉大丈夫でしょうか」
心配しているような眼差しで藍哉を見る馳賢
「執事としての、志那鴿家の仕事ですからね、心配することはありませんよ」
嫌みのかかった言い方の黎司に紫龍は苦笑したがすぐに話をかようとした
「お茶でも飲むかい?」
敦煌たちはその後も楽しそうにお茶をしていたと言う…
その頃藍哉は?
「ただいま戻りました」
ヘロヘロの状態で帰ってきた藍哉に召し使いたちが驚きながら近づいて来たのが気配で感じ左手で大丈夫だと来るのを止めた
「謙哉様はお部屋に?」
聞いてみると部屋でお菓子を食べていると言ったのでホッとして明日から稽古が入りますと言うと召し使いたちの顔が真っ青になった…
2階に行き謙棲の部屋をロックし、中に入るとすねている謙棲がいた
藍哉の存在に気づくと最初は目を輝かせていたが、すぐにそっぽを向いてしまった
「謙哉様、遅れしまってすみません。紫龍様の元へ行ってましたから」
そう言って全く食べていなかったホールケーキをを見つけて、切り分けていないことに気付きお茶も出ていないことに気付いて眉間に皺を寄せて舌打ちをして役ただずとぼそりと言ったがすぐに笑いかけ、ホールケーキ切り分け謙棲のお皿へのせて渡した
「お茶のご用意をしてきます」
微笑んで出て行った…
その後召使たちは立ち直れないほど説教を受けたことは謙棲は知らない
そして、紅茶を持って謙棲の部屋に入り、紅茶を入れていると美味しそうに食べ始めた謙棲に藍哉も微笑み返すと
「なぜ、いつも藍哉の目は笑ってないんだ?」
突然のことで片付けようとして持っていたナイフを落としてしまった藍哉は珍しく謙棲の前で動揺し聞き返してしまった
するとうんとはっきり答えられてしまった
「そ、そんなことより謙哉様、明日から武術の稽古が入りますから頑張ってください」
完璧に話を変えた藍哉に気づかず謙棲は無邪気に喜んだ
藍哉は心の中で気負付けるように心で誓った