紫龍と藍哉の交渉
「んっ、ここは?」
俺はは腹に痛みを感じながらも上体を起こして辺りを見るとどこかの立派な城の中のようだ
寝ぼけ目で見ていたが突然明かりが付き眩しさで目を細めて前をしっかり見ると、男が高いところから座って見ていた
「ようやく目を覚ましたか、藍哉・志那鴿」
男に言われた言葉に驚きを隠せなかった
俺は藍哉とは教えたがもう捨てた苗字“志那鴿”シナハト、戦闘部族として古来からこの国に君臨した王たちを支えていたことで有名だった
「…確かに志那鴿家生き残りだが…」
志那鴿家は滅んだと、王たちの間では噂が流れていた。志那鴿家が選びし使えた王家はこの国の上に君臨する
その言い伝えを信じていた王たちは残念に思っていた。紫龍もその中の1人だった
「やはり志那鴿家の者だったか…どうだ?私に支える気はないか?」
高いところにいた紫龍は段々と階段を降りて藍哉の元に歩いてくる
藍哉は後ろに少しづつ逃げるように下がっていく、それに気づいたように敦煌は指を鳴らし後ろから藍哉を取り押さえた
大の男二人に押さえ込まれてしまえば身動き一つとれない
「敦煌様は何が目的で?話によっては乗ってやっても良い」
決心が着いたように紫龍をまっすぐ見て聞く
どうせ、この国を永劫に支配したいとか思っているのだろう
フッと、笑い紫龍を見つめる
すると、紫龍が急に涙を流し始めた。藍哉は驚きながらも無言で見ていた
「藍、劉備。お前たちが言ったように本当に似ているのだな」
紫龍の言った名前に目を見開いた
藍と劉備は藍哉の両親の名前だ。どうして紫龍が知っているのか分からなかった
「フッ劉備、お前の父親が私の息子三男の執事にお前を推薦していたのだよ」
訳がわからなくなった三男と言えば今年三歳になった、もう執事は固定されているはずだったが、
「劉備とは幼馴染みでね、ずっと昔から息子の話をしていたのだよ。どうだい?ここにいれば食事も住む家も保証される、どうだ?」
紫龍は藍哉に手を差し伸ばして藍哉が手を取るのを待っている。
「…腕を、離してくれないか?これでは手も取れない」
首を後ろに回し自分を押さえている従者に言うと
「話に乗ってくれるのかい?後悔はしないかい?」
敦煌が聞いてくるとまだ幼さを残す笑顔で
「はい!!今亡き父の願いというのなら」
と答えた
「始めて笑ったな」
こうして藍哉は三男の執事に任命された。
これから藍哉はその三男とこの国の終わりを見ていくのだがそれはまた先での物語
藍哉は早速紫龍と三男のもとに向かった…