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海老怪談  作者: 海老
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人妻の作る人魂の天ぷら

 なんというかそんなものを食べたというヤツがいる。

人魂の天ぷらとえば、ゲゲゲの鬼太郎ののっぺら坊の話を思い出す人もいるかもれしない。

 この話をしてくれたのは家電量販店に勤める大谷くんだ。

 大谷くんはキモいヤツである。

 もちろん、彼女などいない。

 家電量販店でしつこいクレームがあり、どういったものはかは伏せるが、お客様のご自宅まで伺って設置を無料で行うことになった。

 クレーマーの家など行きたくないが、人の良い大谷くんに白羽の矢が立った。

 大谷くんが向かったのはとある団地である。

 このクソ暑い中、太っている大谷くんは奥さん一人でいるという部屋にいくのが嫌でたまらなかったという。

 いやらしい目で見た、なんて言われて傷つくのも厭だし、会社での立場まで悪くなる。

 厭だがそうは言ってもはじまらないので行くことにしたのだそうだ。


 この団地というのが、筆者も知っているのだけどオカルトというか都市伝説というか、なんともいえない薄気味の悪い曰く付きだ。

 知っている人は知っているそうなので、詳細は伏す。


 ご自宅に伺えば、クレーマーというわりに対応は優しいものだったそうだ。

 時間のかかる設置を終えると、夕食を作ったので食べていけという。

 この奥さんというのが、なんというかキレイな人だったそうだ。

「天ぷら、ひとだまの天ぷらです。このへんの名物ですよ」

 と、なんでもないことのように言う。

 アイスの天ぷらみたいなものかな、と大谷くんは思った。

 ひとだまというのも、居酒屋で食べる「おばけ」みたいなものだろうと納得して御馳走になったのである。

「かまぼこを天ぷらにしたみたいな感じかなあ」

 とは、大谷くんの談である。

 それから、家の中で変事がある。

 人魂が出るようになった。

 お兄ちゃんと呼ぶ少女の人魂だそうだ。

「ライトノベルみたいでしょ? 顔は分かんないですけど、可愛いですよ」

 大谷くんは満更でもなさそうだ。

 最近は、大谷くんはダイエットに励んでいる。もう15キロも痩せた。

「痩せて格好よくなって、彼女作れって言うんスよ」

 大谷くんは人魂と暮らしている。

 彼の友人から相談を受けた。

 最初は遅れてきた中二病かと思ったそうだが、本当に出るのだそうだ。

 さらに、職場で彼をイジメていたという者にも変事があった。

 接客中に失禁して店から走り出て行方不明になったパートの女性。

 毎日、手の甲に煙草を押し付けて根性焼きをするようになった店長。

 他にも色々とあるらしい。

 大谷くんと筆者は元々仲が良い。

 大谷くんの友人は彼を恐れていたが、筆者は大谷くんが変わっていないので、怖い気持ちはあるが、特に恐れることはないと思っている。

 これで大谷くんが、俺は陰陽師だ。とでも言ってくれたら、わりと怖い話になるのだけど、彼は今も根っこは変わっていない。

 真に恐ろしいのは、この大谷くんの友人のように、損得でだけ生きている人間だ。

 だから、筆者は

「怖がるくらいやったら遠くに逃げたらええんちゃうの」

と、適当に流しておいた。

 今日、大谷くんに話として掲載する許可を頂いた。

 大谷くんは快諾して『海老さんの人魂は何が好物ですか?』と聞いてきた。

 厭なことを言う。


真空管アンプを作りたいのです。

トライオードの300B。

宝くじあたんねえかなあ。

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