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海老怪談  作者: 海老
17/45

ナッパ先輩

脚色あり

 筆者の知る最強の人物とはナッパ先輩である。

 もちろん、これはあだ名だ。

 ヒゲを伸ばしているというだけで、このあだ名がついた。

 出会いは中学のころで、いつもチェリオを奢れと言ってくる困った先輩だった。ド下手なのに格闘ゲームが好きで、対戦で負けると筆者を引っ張ってきて代わりに対戦させたりと、子供のまま大きくなったような人だった。

 そんなナッパ先輩だが、筆者が困った時は助けてくれた。

 とんでもない暴力人間で、賢い人ではなかった。だけど、あれほど男らしい人は見たことが無い。

 筆者が地元を離れた後のことで、伝聞である。

 馬鹿馬鹿しいほどの内容だが、ナッパ先輩を知っていれば実話と疑わないだろう。



 ナッパ先輩は高校卒業後、とある料理屋に就職した90年代も後半の話である。

 当時の若者というのは、バブルの残り香の世代だ。車が好きで、週末は車で走るかカラオケにいくか、クラブ通いか。

 そんな時代でも、ナッパ先輩は洒落た遊びはやらなかった。

 だいたいは失敗続きのナンパや、カラオケといった遊びで日々を過ごしていたそうだ。

 夏、仲間たちと共に肝試しに向かった。神戸のあたりである。

 端的に言えば、ナッパ先輩たちはお化けを目撃して逃げ帰ったのだという。その後、車を運転していたという男がおかしくなった。

 言動が怪しくなり、性格も変わり、何かに怯えている。

 ナッパ先輩といえば、全くもっていつも通りである。

 聞くところによれば、車を運転していた男はお化けに声をかけたのだそうだ。その後、おかしくなった。

 ナッパ先輩は友達思いの男である。

 お化けに物申すことに決めた。



 怖がる男を説得して、お化けの出た地点へ向かう。

 取る人ぞ知る、というものらしいが、ナッパ先輩の話では住宅街の四辻に当たるどこにでもある道端だ。

 古い木製の電信柱のたもとに、そのお化けはいる。

 この話を書くにあたって「お化け」がどういうものなのかは書くなと言われている。

 なんにしろ、ナッパ先輩と男は、肝試しの日と同じように深夜、その場へ向かった。

 

「こらお前、お化けやからって調子のんなよ」

 とナッパ先輩は言った。

 お化けとにらみ合うこと数秒。

 お化け、笑みをみせる。

 ナッパ先輩のパンチ。

 お化け、顔面にモロに喰らう。

 お化け、焦る。

「かかってこいコラ」

 ナッパ先輩吠える。

 お化け明らかに怯えている。

 ナッパ先輩のパンチがさく裂。

 お化け、姿を消す。

 男、奇声を上げてすごい速さで走り出す。暗闇に消える。

 ナッパ先輩、陸上部をベタ靴で追い抜いた脚力で追いついてキック。

 顔面を数回パンチ。

 男、正気に戻る。

 ナッパ先輩、勝利を確信して電信柱に戻る。

「コラ、俺らの前チョロついたらこんなもんやないぞ。ええな」

 勝利。



 小説っぽくしてもナッパ先輩のやったことは、どうにも上手く書けそうにないので、端的に記した。

 こんなことがあって、男の前にお化けは出なくなったのだそうだ。

 他にも、たくさんの話を聞いた。

 ナッパ先輩の話は、全く怖くないが、筆者的には面白いのでまた書くことにする。

 書き忘れていたが、多少状況や土地は変えてあるが実話である。


 最期に、このお化けであるが、今もこの場所には出るそうである。そして、相当な障りのあるものとして、付近では知られているらしい。

 これの見た目や姿に関しては、書いたりするのはよくないことが起こるそうなので、あえて伏せている。


脚色あり

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