61.告白(3)
テンションがあがったところでケイタイを確認すると、それは懐かしい人物からだった。
「へぇ、千尋ちゃんからだわ」
「千尋ちゃん? って、だれですか?」
「連君の前のバイトの子よ。あぁ、そうそう思い出したわ」
と言いながら、また笑っているのだ。
「何を思い出したんですか?」
連がメニューを見ながら言った。
さすがに、二十歳だ。食欲旺盛らしい。
「千尋に、前に付き合ってくれって言われた男の子を紹介したのよ」
「千尋さんっていくつなんですか?」
「確か高校三年生だったな」
「相手の男性はいくつなんですか?」
「連君と同じ、二十歳」
「えー! オレの前に二十歳の男から告白されてたんですか。やっぱり、実香さんはもてるんだ」
「どうかしらね。その辺はノーコメント」
なぜならモテタのは、以前の話だからだ。
「でも、何でその人を高校生に紹介したんですか? タイプじゃなかったとか?」
連が呼び出しボタンを押し、店員が来る。
スムーズに注文をすると、話が元に戻る。
「んー、タイプねぇ。……年齢の問題かな」
と言いながらメールを送信している。
「年齢ですか?」
「そうそう」
ビールを持ち、喉に流し込む。
連は枝豆に恋してしまったらしく、さっきから枝豆の殻がピラミッドを形成しだしている。
「二十歳ならオレと同じじゃないですか」
「そうね」
「それで、何でですか?」
ここまで言っても分からないという恐ろしい連君、さすがKYだ。
「……若すぎた……かな」
「若すぎたんですか、へぇ。話が合わなかったということですか?」
確かに話が合わなかったということだろう。
相手は社会人だったと思うが、やはり考え方が実香には理解できなかった。
「あ、そうだ」
連の「なんですか?」という問いかけに答えることもなく、メールを送信した。
しばらくすると返信があり、実香が「ふ~ん」と言っている。
「何が『ふ~ん』なんですか。気になるから教えてくださいよ」
「彼氏がね、夜の商売だと言う話だったから、何の仕事してるんだろうと思ってさ。もしかして、やばい系の仕事だったら、紹介して申し訳ないことになるじゃない」
「なるほど」
「そしたら、普通に警備員だって。ただ、お金がいいから、夜専門で仕事してるって。とりあえずは安心した」
「よかったですね」
「どうやら、結婚するらしい」
「早いですね。オレがバイトを始めて一年経ってないですよ。と言うことは、その二人が付き合いだして一年経ってないと言うことですよね」
「そうだね」
「いいんですかね」
ついさっき、結婚を前提にと言っていたわりには、千尋の経過の早さに驚いているのだからおかしなものだ。




