表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/73

44.心の壁(2)

「そういう実香は、今誰と付き合ってるのよ」


「先週別れたのが一人。結構、面倒なヤツだったわね」


「それって、一年先輩の芸術家気取りの人でしょ?」


「そうそう、面倒だからさ。で、今はカメラ大好きなカメラお宅と付き合ってるよ」


「実香って変なのが好きだよね」




 毎度毎度、付き合う相手が何かに固執しているタイプばかりなのだ。




「変わってるのって、見ていて面白いんだもん」


「咲枝は?」


「私? 今三人いるけど」




 と、平然と答えるのだ。




「三人か、いいな。私も増やそうかな」




 実香がバックからチョコレートの箱を出すと二人の前に出した。




「ありがと」


「サンキュ」




 二人がそれぞれ摘み上げたチョコレートを口に入れる。




「でも、どんなに付き合ってみても、これっていうヒットに出会えないのは何でだろうね~」




 口をもごもご言わせながら、実香が言ってきた。




「確かに! 最初はいいんだけど。寝ちゃうと飽きるのが早くなる」




 菜都芽が言う。




「そうそう、簡単に許したらつまらないよね~」




 咲枝も同意権のようだ。


 三人でそんな会話を散々楽しんできたのだ。




―――本当の恋なのか。

 



 どちらにしても、これほど煮え切らない実香に、いい加減うっとおしさを感じ出していた。




「素敵な人だとは思うんだけど、あまりにも……ね」


「でも、寝たら魔法は解けるんじゃない?」




 昔を思い出して欲しくて、そんなことを言ってみた。




「学生の頃はそう思っていたけど。これだけ何もないと、魔法も何もないような気がしてくるのよ」


「焦るとろくなことが無いわよ」


「そうだけど……」




 一体何を求めているのか、実香の心情がつかめない。


 それどころか面倒で仕方が無い。




(人どころじゃないのよ!)




「だったら、私が一肌脱いであげるわよ」


「え? 一肌? どうやって?」


「要するに、実香を本気で愛しているなら、もっと積極的に出て欲しいわけでしょ?」




 菜都芽の冷たさを帯びた言葉を、実香は全く感じないのか。電話越しに『そうそう』と頷いている。

 

 面倒だからこそ、さっさと全てにけりをつけたい。


 それが本当の菜都芽の気持ちなのだ。




「だったら簡単じゃない。学生のときと同じよ」


「学生のとき?」




 実香の脳裏に学生時代が蘇る。




―――あの頃も、良くこんな話をしていた。




「彼の本心が知りたい」


「好きだって言ってるけど、他の子とデートしてたって話も聞くんだよね」




 結局はいつの時代も同じなのかもしれない。


 想いは、相手の気持ちの確認にあるようだ。




「だったら彼の気持ちを聞いてきてあげるよ」




 そう言って、彼と話して解決に導いてくれたり。


 逆に、浮気が見事暴露されたりと、それはそれで楽しかった。

 

 そんな時代を共に過ごしてきた仲間だからこそ、信頼できるのだ。




「どうやって?」




 電話から聞こえる実香の声が、学生時代に戻っているように聞こえる。




「ふふっ……」




 菜都芽の含んだような笑いが聞こえてきた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ