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19.クリスマスの過ごし方(1)

 電話の向こうでは菜都芽が含み笑いを繰り返していた。




「あのね~。さっきから、感じ悪いよー」


「だって、よりにもよってさぁ。また二十歳の、しかもKYボーイじゃない。ないわ~」

 



 そんなことは言われなくても分かっている。




「二六歳を迎えてから、男運がなくなったんじゃないの?」




 それは、薄々感じていただけに、聞きたくない言葉だ。




「そういう菜都芽はどうなのよ。彼氏できたの?」


「本命はできないわね。仕事も忙しいし。」


「本命はってことは、本命以外ならいるってこと?」




 それもおかしな話だ。


 実香はベッドに寝そべりながら、ケイタイを耳に当てていた。




「そうね、本命以外もいないわね」




 菜都芽はおかしそうに笑っている。


 どうも、その笑いが微妙に違って感じる。




「何か隠してるでしょ」


「隠してないわよ。隠してないけど」


「けど何よ」


「別に年下でもいいんじゃないのぉ? クリスマスだけの限定彼氏」




 どんな間違いがあったとしても、連のようなタイプとクリスマスを過ごすくらいなら、まだ前回の二十歳君と過ごしたほうが楽しかっただろう。




「冗談でしょ」


「案外本気だったりして」


「二六歳にもなると、男が寄ってこなくなるのかなぁ」


「それはないと思うけど。でも、若い頃のようにはいかないよね」




 菜都芽は雑誌を眺めながら電話をしているのか、時々紙をめくるような音が聞こえてくる。


 お互い好きなことをして、リラックスしながらの電話タイムだ。




「こうなると、咲枝が一番幸せなのかなって思っちゃうよ」


「咲枝ねぇ……。結婚して子供がいる生活か。それは、咲枝にとっての幸せで、私の幸せかどうかは疑問だね」


「そりゃそうだけど」


「だから、定職につきなさいって言ってるでしょ」


「定職についたら、寂しいクリスマスじゃなくなるとでも?」


「……関係ないか」




 ちょっと考えたのか空白の時間があり、菜都芽がため息混じりに答えた。


 結局、菜都芽も仕事があるからクリスマスどころではなく、咲枝は家族とのにぎやかなクリスマスを過ごすであろうと言うことで話が終わった。


 そういう実香とて、親と同居なのだから別段寂しいクリスマスと言うわけではないのだが。


 それでも、できることなら例年通り、彼氏とイチャコラしながらクリスマスらしいクリスマスを過ごしたいという気持ちは嘘ではなかった。





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