表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/73

11.嵐の後で(1)

「へぇー、それで悩みは見事解決したんだ?」




 週末の居酒屋には活気が満ち溢れていた。


 あちこちから酒に酔った客たちが、大声で訳の分からない話を繰り広げている。


 早くも舌の回らなくなった仲間同士が、会社の愚痴や上司への怒り、あるいは仕事の不満をぶつけている。

 

 そんな中、実香は菜都芽とビールジョッキを傾けていた。




「そうそう、見事解決よー。まさか、こんな近くにマッチングできる相手がいるとはね~。灯台の足元暗いってねー」


「灯台元暗しでしょ。でも、よかったじゃない」


「本当。よかったよー」




 あれから早々に相手に連絡を取り、千尋を合わせるべく時間の調整をしたのだ。


 千尋の方も、本気で彼氏が欲しかったようで、高校生らしくない服装で挑戦してくれたのが功を奏した。


 三時間ほど三人で遊んで別れた後、即効実香のケイタイが鳴ったのだ。


 それは、『大好きだー』の代わりに『美香さんには大変申し訳ないのですが』という文面から始まっていた。


 その出だしを読んだ瞬間、実香がガッツポーズをしたのは言うまでもない。




『実香さんには大変申し訳ないのですが。どうやら、ぼくのハートは千尋さんに盗まれたようです』




「もう、どんどん盗まれちゃってーって感じだったよ」




 目の前の鍋をつつきながら、実香が嬉しそうに奇声をあげた。




「そりゃそうだろうね~。それにしても、節操のない男だね~」




 菜都芽がジョッキを空にすると、呼び出しボタンを押す。


 一部屋ごとが区切られているので、テーブルには呼び出しボタンが設置されているのだ。


 おかげで、酔客が騒いでもそれほど迷惑というわけではない。

 

 悩みの元凶と出会った居酒屋は、隣との仕切りもなく、酔った勢いで隣と会話が成立してしまうという、魔のスポットだったのだ。


 今回は同じ鉄を踏まないようにとこの店にしたのだが、見事な教訓になったというわけだ。




「それで、その後はどうなったのよ」




 その後の展開が気になるようで、先を促す菜都芽だ。




「で、とりあえずお約束ですから、『そんな……。酷いわ』ってメールを送ってあげたよ」


「相変わらず、うそつきだよね~」


「うそつきは余計だよ。これは、恋愛をする上での大切なお約束だから」




 と、言いながら笑っている。




「そしたら、彼はどうしたのよ」


「彼ねぇ……」




 鍋の中から鶏肉を取り出すと、ふーふーと息を吹きかける。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ