わけのわからん妄想には気をつけましょう。
妄想 80%
ファンタジー 20%
「ただいま~」
トイレに入った兄貴を横目に、自室へと入る。階段下でご飯やら風呂やら言われているが、そんなのは無視だ。今は、暖をとることが最優先。
自室の扉をあけると、真っ暗なはずの部屋が、青白い光に包まれていた。
なんだ、なんなんだこの光は。
自問した瞬間、ふっと意識が飛ぶ。
気がつけば、俺は見覚えのない世界の中にいた。あたりは明るい光に包まれていて、今にも妖精や小人が出てきそうだ。遠くのほうには、花だろうか。可愛らしいピンクと赤が見える。
「ここは、どこだ?」
つぶやけば、
「ワレ、ソナタノ守護者ナリ」
胸の奥のほうから、聞いたことのない低い声が聞こえた。
「誰だ、お前は!?」
胸ポケットを探っても、音が出るようなものは入っちゃいない。だとすれば・・・・
「ワレ、ソナタノ守護者ナリ。ワレハ、ソナタノ心ノ中ニ住マウ者ナリ」
き、キターーーーー!!!!
ついに。ついに、魔法の国の勇者になれた。この展開は、あれしかないじゃないか。
俺が魔法使いに任命されて、どこぞの綺麗な姫を悪い魔女から救うために旅に出るというヤツ!最初は全然弱くてせっかくの魔法も使い物にならないけれど、途中でくじけそうになって旅を止めかけるけれど。それでも最終的には魔女を倒し、美しい姫を妻に出来るってヤツ!!
ああ、待ちのぞんでいた展開が今まさに。
俺は世界一の英雄になって、魔女に支配されようとしていた世界を救い、姫を申し分なく美しく、もちろん性格もよく。城の者たちは、みんな優しいんだろう。子宝に恵まれて、妻にも愛され、国民からも好かれて平和な国を築くんだ。
みんな、見てろ!今世紀最大のファンタジーが幕を開くぞ!!
拳をギュッと握った瞬間に、見えたのはパソコンの画面。
――――更新プログラムをインストロールしています
あ、あ、あ。
「いやだあああああああああああああ!!!!」
ただ単に、兄貴がパソコンをシャットダウンしようとした時にパソコンがシャットダウンしきれておらず、画面が光っていただけだった。
「俺の、俺の夢があああああ!!」
頭を抱えても、兄貴にバカにされるだけである。・・・哀れな。
実は、実話。
ここまでヒドイ妄想は繰り広げていませんが、帰ってきたときに青白い光が見えると怖かったです。まずは、何かの故障を疑いました。