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ARCADIA ver.openβ  作者: Wiz Craft
▼初心者講習・編
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初心者講習 終了過程

 初心者講習での実戦を終えた頃、辺りは美しい赤焼けに染まっていた。

 教習者達は立ち戻ったギルド前でクリケットとコーザに講習の終わりを告げられようとしていた。


「全く、まさかルーキーに膝付かされるなんて夢にも思わなかったですよ」

「あの動き見事だったでし。久々にいいもの見たでし」


 クリケットは耳をひらひらさせて喜ぶと、小さな股でトテトテと教習者三名の元に駆け寄り、一枚ずつカードを差し出した。


「講習を終えたご褒美でし。受け取るといいでし」


 終了過程に贈られたプレゼントにはこう記されている。


挿絵(By みてみん)

〆カード名

  •初心者講習卒業の証


〆分類

  •防具-アクセサリ


〆説明

  •初心者講習を卒業した者に与えられる履修の証。


〆装備効果

  •物理攻撃力上昇+10%(上限3)

挿絵(By みてみん)


 『初心者講習卒業の証』と記されたそのカード。そこには兔の形をした銅の細工に紅い宝石の眼が添えられたペンダントが描かれている。


「これが講習最後の説明でし」


 講習最後の説明という言葉に三人はクリケットの顔を見つめた。


「この世界でアイテムは皆カードという形で取引されるでし。PBを開くでし」


 クリケットの言葉に三人はパーソナルブックを開いた。


「パーソナルブックの『所持品』というインデックスがついたページを開くでし」


 パーソナルブックにはクリケットの言う通り冊子に幾つかの見出しがついていた。その中には確かに『所持品』という項目が存在する。


挿絵(By みてみん)

〆所持品一覧


 分類:武器/防具/アイテム

 詳細絞込み:

 キーワード検索:

 並び替え:種類>名前


▽表示結果(総アイテム品種:4)


  •銅の短剣

  •旅人の服

  •旅人のズボン

  •旅人の靴

挿絵(By みてみん)


 ページを開いてみると、そこにはアイテム一覧という文字がある。

 現在所持しているアイテムがそこには箇条書きにされており、武器・防具・アイテムといった分類ソートも付いている。


「所持品リストか、こんな機能もついてるんだ」


 その次の頁からはカードケースのようになっていた。頁にはカードを嵌めこむくぼみのようなものが、一頁につき四つずつ。その頁が数えてみると二十五枚。つまり総計百枚のカードが保存できる仕組みのようだ。

 そうしてクリケットは説明を続けた。


「カードをその頁に嵌め込む事で初めて所持アイテムとして認識されるでし」


 エルツ達はクリケットに言われた通りカードをPBに嵌め込んだ。


「そしたらアイテムの所持品一覧アイテムリストに戻るでし」


 すると、そこにはたった今パーソナルブックに嵌め込んだアイテムが追加されていた。


挿絵(By みてみん)

〆所持品一覧


分類:武器/防具/アイテム

 詳細絞込み:

 キーワード検索:

 並び替え:種類>名前


▽表示結果(総アイテム品種:5)


  •銅の短剣

  •旅人の服

  •旅人のズボン

  •旅人の靴

  •初心者講習卒業の証 New Item!!

挿絵(By みてみん)


 丁寧な事に新しく追加されたアイテムには「New Item」というマークが付けられていた。


「本当だ、追加されてる」

「追加されてるのを確認したら早速装備でし。装備する方法は色々あるでしが、ここではアイテムリストから装備する方法を教えるでし」


 装備方法には幾つかの方法がある。エルツは逐一クリケットの言葉を頭の中で反復していた。


「それじゃ、さっき渡したアイテムを選択するでし」


 クリケットの指示通りにアイテムを選択する。そこから二つの項目が派生する。


挿絵(By みてみん)

  •銅の短剣

  •旅人の服

  •旅人のズボン

  •旅人の靴

  •初心者講習卒業の証 New Item!!

   ∟装備する

   ∟装備しない

挿絵(By みてみん)


「選択したでしか? そうすると装備するかしないか聞かれると思うでし。それで装備するを選択するでし」


 教習者達が指示通りに「装備する」を選択したその時、三人の首周りに真白なエフェクトが薄っすらと現れた。光の中から現れたのはあのカードに描かれていた兔形のペンダントだった。


「これで装備完了でし。簡単でし。とっても似合ってるでしよ」


 三人はお互いの姿を確認し合う。首元では兔の紅い眼が強い輝きを放っていた。


「色々ありがとうクリケット。コーザ」


 エルツの言葉にクリケットとコーザは笑顔を送る。


「頑張るでしよ。見込みあるでし」


 その言葉に三人もまた笑顔で頷いた。



 旅立ち行く三人の冒険者。

 ギルドから下る緩やかな坂の下に消えて行く三人の背中をクリケットとコーザはその姿が見えなくなるまで見つめていた。


 三人の姿が消えると、クリケットは静かにギルドへと向き直る。

 そして、一言呟いた。


「いい人達だったでしね」


 背を向けるクリケットにコーザは微笑をする。


「感慨に耽るコメントなんてらしくもないですよ。もしかして涙なんぞ浮かべてるんじゃないでしょうね」


 クリケットの振り向き様の攻撃を予測して思わず身構えるコーザ。

 だがいつもの頭突きは飛んでは来ない。


「馬鹿言うなでし」


 どこか寂しげな余韻が残される。

 コーザもまた同様の想いを重ねていた。

 そして二人は無言でギルドへと帰る。


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