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89:さらに空気を変えるパフォーマンス

  この夜が終わるまで あなたを見つめさせて

  名前も知らないけど 愛の力で私たちを

  赤い糸でぎゅっと 結んでくれるはずだから

  いつまでも優しいあなたの顔を見させて



 ラストサビは静かに歌い、「私の願いはあなたと結ばれること」と言わんばかりの歌詞で締めくくられる。

 自分の曲だけど、恋愛系の曲って、ワルツにすると、ものすごく願いを込めているって感じてしまう。それも考えてワルツ調の曲になっているんだと思うんだけど、やっぱり、自分の曲が好き。

 とりあえず、このまま恋している女の子の目線を続行させるようにして〈最終論争〉に行きますか。


 昨日と同じように少しだけ間を開けた後、ハイアスさんのカバー曲でもある〈最終論争〉の音源を流す。

 昨日も披露した曲だから、昨日も来てくれている人にとっては聞いたことのある曲のひとつになっているだろう。まぁ、それでも、何もない状態から歌詞を覚えるのに、結構な時間がかかると思うんだけど……。

 そんなことを思いながら、前の2曲までとは違う曲調の曲が広場に響き、私の動きはゆったりとした優雅さからぴしっと決まるクールさに移る。

 少しだけ間を開けたのは、スマホを操作する時間が欲しかったのもあるけど、自分の中でのギアを変えるための時間が欲しかったことでもある。こうでもしないと、中途半端に気分が乗らない時があるのよね。

 だけど、しっかりと気分もギアも入れ替えることはできたから、前奏から飛ばしていける。

 これが終われば、子どもコーナーの時間を予定している。

 披露する曲は、〈どんぐりころころ〉と〈たんぽぽ団に入ろう〉の2曲。家に帰れば、もう1曲練習する予定だ。

 とりあえず、今はこのパフォーマンスに集中しないとね。


 そこから約7分もある曲を踊り切り、連続で踊っていた私は、すでに肩で息をしている。昨日と一緒で途中で水のプリンセスも出現させていて、少しだけ息を整える時間も欲しいけど、ここはMCで時間を調整して、私の息を整えよう。


「はい。ということで、不穏な空気も抜け切りましたかね。さっきまで、少し殺伐とした空気でどんよりしていましたけど、私の芸を見ていただいて、どんよりした空気も晴れたんじゃないかなと思います。私の出番はこれくらいですかね。あとは、少し遊んでから私も帰りたいと思います。昨日も見てくれた人にはわかると思います。もしね、近くで見たいという方がいらっしゃったら、遠慮なく近くで見てくれて構いません。最後まで楽しんでいってくださいね~」


 そこまで言うと、簡単だけどMCを終わらせ、次の曲に移る。

 ここからは子供向けの時間だ。

 それまで踊りに見惚れていたとは思うけど、歌を聞いてくれているのとは違う。不思議な格好に不思議な踊りを不思議そうに見ているだけ。

 それだと楽しんでいるというより、何しているんだろうと思われる。そう思われて育ってもらうのは少し私の今後としてももったいない。ちゃんとしたファンを獲得したいからね。

 そんなことを思いながら、動きを静かにしながら昨日のうちに考えて練習したダンスをしながら歌っていく。

 歌詞に合わせたダンスは、子どもたちにも刺さってくれたようで、一歩、また一歩と母親の手を介して近づいて来る。

 興味はあるけど、ちょっと怖いなぁ~、恥ずかしいなぁ~、といった表情。

 見ていてこちらがほほえましくなるね。なんて思いながら、歌い終わり、そのまま今度は季節外れの〈たんぽぽ団に入ろう〉に移る。

 この曲も楽しそうな雰囲気満載だし、なんなら、曲の途中で子供たちを呼んでみることもできる。


 そんなコンビの曲はあっという間に終わる。もちろん、子どもたちの反応はよさげ。大の大人からすると、なにしているんだと思われるだろうけど、そんなのはどうでもいい。

 今は、どんよりとした空気を消すことが一番だし、そうするためには、子どもたちがはじける笑顔を見せているのが一番手っ取り早い。

 正直、歌の力でここまで空気を換えることができるとは思っていなかったけど、うまくいってよかった。とりあえず、このまま子どもたちの気が変わらないうちに、子ども向けの歌は終わっちゃおう。


「はい。今日はおしまい。楽しかった人~!」


 そう言うと、子どもたちも私になれたのか、2メートルほどの近さまで近寄ってきていて、そこから子供らしい大声で「はーい!」なんていうものだから、子どもってつくづく元気いっぱいだなと思ってしまう。


「また来たい人~!」

『はーい!』

「それじゃあ、今度お姉さんは太陽が2回こんにちはした日にここに来ます。それまで待てる人~」

『はーい!』


 ただただわけもわからず返事をしているだけだと思うんだけど、それでもいい。私としたら、これが一番気持ちいい。


「それじゃあ、最後に私との挨拶があります。私が『ありがとうございました』って言ったら、みんなも『ありがとうございました』って返してください。できるかな?ありがとうございました」

『ありがとーございました!』


 もうね、大好き。わけもわからず操り人形みたいなことをしているけど、こういうのが私との挨拶だとわかってもらうために必要なことだと思っている。

 そして、子どもたちとの挨拶が終わった後、ゆっくりと立ち上がり、母親たちと視線を合わせる。


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