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81:まだまだ研鑽は必要です

 ……ふぅ。パフォーマンスを終えて、クールダウンタイムとして1時間ほどぼーっとしていたけど、結局、誰もパフォーマンスをする人はいなかったね。

 やっぱりだけど、芸者などのパフォーマーがいないのが実情なんだろうか。

 少し気になるし、貿易ギルドでほかのパフォーマーがいないか聞いてみるか。聞いてみて、いないようだったらちょっと私も考えよう。

 そう思うと、私はおもむろに立ち上がり、貿易ギルドへと向かう。

 貿易ギルドに行くんだったら、ついでに所得税も忘れる前に払っておくか。忘れて追徴金なんていわれちゃ笑えないし。


 今日も今日とて歩いて到着した貿易ギルド。昼を過ぎると落ち着くのか、ギルドの中はおだやかな空気が流れていた。


「あら、ミネコさん、こんにちは。今日はどういったご用件で?」


 いつも通り出迎えてくれるルーイさん。疲れをため込んでいないその顔はなんだかうらやましくも見える。


「ちょっと聞きたいことがありまして……。私以外にあの広場で芸を披露する人っているんですか?」

「えぇ。いてるとは聞きますよ。私の担当している人じゃないんでなんともいえないですが、一番活動をしている人で、夜に芸をしていると聞いています。ほかには、朝に市場に集まる人たちで朝の体操をしたり、ほかにも様々なイベントをしていると聞いています」


 そうなんだ。まぁ、今は私の活動時間がお昼なだけであって、一番人通りの少ない時間帯になるのかな。それなら、まぁ、投げ銭は集まらなくても仕方ないっていうのはわかる。

 ただ、朝か。そんなことをするとは思わないし、むしろ、参加型だから、お金というよりは、知名度って感じもするな。まぁ、ほかにもいっぱいいるなら仕方ないか。ただ、お昼を避けるというのもなんだかもったいない気もするけどなぁ。


「でも、お昼に活動をされない理由としては、人が集まらない。や、夜型だから。などの声も聞こえますね。まぁ、市場の夜は長いので、それほど魅力があるということなのでしょうけど」

「ルーイさんは見たことがないんですか?」

「私は仕事ですから。町の様子に気を配りますけど、一個人がどこで何をしているかまでは興味ありませんし」

「だけど、私の初披露の時は来てくれましたよね?」

「それは担当者だからです。担当している人がどんな芸をするのかは見ておかないと仕事になりませんから」

「それなら、今日もきたらよかったのになぁ。新しいこともしていたのになぁ」


 ちょっとわざとらしく言うと、ルーイさんはすぐに食いついてきた。こうなるだろうなとは思っていたけど……。


「ちょっと待ってください!それってどういうものなんですか!?」


 そう言われるけど、ちょっとだけS心がくすぐられている私。ちょっとだけルーイさんに意地悪をしたくなっちゃって、口をつぐんでもったいぶる。


「え~!それならまた抜け出していけばよかった~。ミネコさんの芸を見たかった~」


 本気で嘆く様子は、もう受付嬢というよりも、ひとりのファンって感じ。

 まだ試運転状態なのにもかかわらず、私の一ファンであることを感じられることができるだけでもありがたいけどね。


「明日は明日で同じような芸をするつもりでいますから、またお昼時に休憩がてら抜け出してきてもいいんじゃないですか?」


 悪魔のようなささやきをすると、ルーイさんの目が変わった。


「それなら、私は、全力で仕事を片付けて見に行きますから!絶対ですよ!明日の芸を私にちゃんと見せてくださいね」


 両手を取りながら、私の目をじっと見て行ってくる姿に、私は「はい」と小さく言うことしかできなかった。

 少し煽りすぎたな。と反省するとともに、こうやってファンを広げていけばいいのか。とも思った。

 そして、ついでと言ってはなんだけど、ちゃんと納税もして自宅に帰る。


 自宅に帰った後は、少しだけ魔法制御の練習をした後、晩御飯の仕度をすることにする。

 正直、魔法制御に関しては、水のプリンセスを出現させて、歌ったり踊ったりしながら自由に動かせるから、今のままでもいいっちゃいいんだけど、やっぱり、まだパフォーマンス能力を向上させたいっていうのが一番にあるし、メインの曲として使っている〈最終論争〉に炎の龍と水の蛇を召喚して戦わせるというのがひとつの目標に入っているから、それをできるだけ早くにクリアしたいというのはある。

 そのあとに、ちゃんとしたファンの獲得に、冒険者をやめても苦にしないほどの稼ぎってところかな。

 元の世界で培った技術や考え方を応用すれば、ある程度は登れるはず。そこに、この世界でしか使えない技術や考え方を継ぎ足せば、いい形になるんじゃないかと思う。それが、今回の水のプリンセスなわけで、意外と逃げまとう人はいなかったように思う。

 まぁ、私がいらないことをしなかったからというのはあるだろうけど、子供向けの曲で優しい顔のプリンセスが出てきたというところが一番の評価ポイントかもしれないと思っている。

 ただ、いろいろ検証してみないとわからないことも多いし、まだまだ周りを見ながらってことになるかな。

 とりあえず、いろいろなことを考えないといけないけど、今の私は、炎の龍と水の蛇を自由自在に操れるようにならないと。

 これができるようになるだけで、パフォーマンスの幅は一気に広がってくれるはず。

 今のこの現状でも、様々な演出がない中で、魔法を使うことができている分、演出のカバーはできているかなと思う。この魔法がなければ、私の芸者生活は終わっていただろう。

 魔法には感謝しないとね。あと、いつまでも使えるようにやっぱり練習はしておかないと。


 さて。いろんなことが頭の中をぐるぐる巡るけど、練習に集中していきますか。

 今日こそ炎の龍の動きを完璧にして、明日につなげたい。で、水の蛇もできれば同時に戦わせたい。水の蛇が間に合わないなら、水のプリンセスでもいいかなって思っているけど、やってみて、明日次第だな。なんて思いつつ、イメージして動かす。


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