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75.帰還

 南の森を抜けるのに時間はかからなかった。

 それだけ浅いところでレッドウルフの駆除をしていたんだと思うと、なんだか、少し震え上がっちゃうね。

 そこから、平和な道を歩き、南の門まで戻ってくる。


「おう。ご一行さんが戻ってきたか。その顔だと、依頼は達成したみたいだな」


 相変わらずというべきか、この門番は、声が大きいうえに、常にハイテンションだ。まぁ、国境を越えて最初に会う国の人といえば、門番の人がたいていだもんね。これだけはきはき明るいと、国の印象もいいものだろう。

 そう考えると、この門番はいい仕事をしているのかもしれない。


 いつものようにギルドカードをかざして、水晶が青くなる。なにも罪を犯していないんだからそれもそのはず。まぁ、これで紅くなったら困るんだけどさ。

 そして、ほぼ反対側にある冒険者ギルドに向かい、ルイスさんたちがギルドからの緊急クエストの達成を報告する。


「ありがとうございました。これでまた様子見という形になって、もしまた現れたらクエストという形でお願いすることもあるかと思います。そのときはどうぞよろしくお願いします。これで、ギルドカードに今回のクエストの記録を入れています。報酬はすぐにご準備しますから、少しここでお待ちいただけたらありがたいです。それまでに、魔獣の買取りなどありましたら、買取り受付でお話をされていても構いませんので」


 冒険者ギルドの受付嬢は、ぴょこっとお辞儀すると、スタスタスタと事務所へ引っ込んでいった。

 どうしようかな。まったくお金には困っていないから、このウルフたちはいつでも卸していいんだろうけど、まぁ、手がすいている今のうちに卸しておくか。なんて思いながらも、考えていることはどのパーティも一緒みたいで、一斉に買取りの受付に向かうはめに。

 こうなるのは予想がついたのに、私もばかだなぁ。なんて思いながら、一度、買取りの受付から離れて、空いていた椅子に腰かける。

 それにしても、なんだか疲れた。なんで毎度こうやって巻き込まれに行くんだろうな。

 お人好しなところがあるのかな。そんなこと感じたこともないから、私がお人好しってことはないんだろうけど……。


 そこからしばらくすると、さっきの受付嬢とは変わって、ユイナさんが私を見つけて、私のところまでやってきた。


「ミネコさん、お待たせしました」

「あれっ?さっきの人は?」

「みなさん、それぞれに担当者がいますから。私だって、ミネコさん専属ってわけにはいきませんが、一応、担当ですので」


 そういうことなのね。初めて知ったけど、そういう制度があったんだ。だから、毎度、私がここに来るたびにユイナさんがいろいろ教えてくれたわけだし、メイランちゃんの宿に私を探しにユイナさんが来ていたわけね。それで納得だ。


「それでは、こちらが報酬ですね。おそらく、また出現するかもしれないので、そのときはまたよろしくお願いします」

「また今日みたいに気が向けばね。あと、ユイナさんって、幽霊騒ぎの噂って知ってる?」

「えぇ、数々の冒険者の皆さんが口にするので、ある程度のことは」

「詳しい場所までは?」

「えぇ、ギルドの中でもその噂を確かめるために共有されていて、存じ上げています。それがどうされました?」


 ギルドの人もある程度知っているんだ。それなら、話が早いかも。そう思って、そこが私の家だとユイナさんに伝える。


「そうだったんですね。貿易ギルドに照会しても、個人情報だから教えられない。なんていわれてしまって、どうなんだろうってみんな不思議がっていたんです。でも、ミネコさんだってわかったら、なんだか安心ですね。そういえば、昨日、近衛兵が窃盗を働いたという親子を連行していましたが、もしかして、ミネコさんのご自宅でした?」

「うん。そうなんだよね。びっくりしたよ。買い物から帰ったら、泥棒が私のお金が入ったアイテム袋を盗んでいるんだから。思わず魔法で拘束しちゃった」

「誰に喧嘩を売ったんだっていうような感じですもんね。度胸試しで入ったけど、意外ときれいで、お金もあったから盗んだってところでしょうか?」

「さぁ?私はそこまで聞いてないからわからないけど、もしかしたらそうなのかもね」


 本当は、ネックレスや髪飾りを取られていたんだけど、魔法の蛇で取り返したなんて言えないよ。それも捜査の対象になったりするかもしれないんだしさ。それに、昨日すり替えた財布、まだ戻ってきてないんだよなぁ。まだお金はいっぱい持っているからいいんだけどさ、早く戻ってきてほしいよね。私の財布。


「とにもかくにも、ミネコさんが無事でよかったです。冒険者ギルドの受付嬢あるあるなんですが、クエストを受注したパーティを笑顔で見送った後、何も音沙汰がないなんてことがたまにあるんで、ミネコさんもそうなっていたらどうしたらいいのかわからなくなりそうでしたし」

「まだ夢半ばで死ねないよ。この街で一番の芸者になるっていう夢があるんだから」

「そうですね。ミネコさんは死にませんよね」


 そのうち、お小遣い稼ぎなんて言って、調子に乗っていると、ぽっくり死んでいることもあり得るだろうけどね。

 そういう可能性だってある。私だって欲だらけの人間なんだから。

 ユイナさんには愛想笑いだけ返してから報酬の金貨をもらい、買取りの受付に。


総PV5000を突破しました。ありがとうございます

まだまだ続くと思われるお話、どうぞお楽しみください

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