74.メンバー紹介
そこからだいたいまた2時間くらいたったのかな。まだ斜めから差していた陽も、いつのまにか真上から刺すようになっていた。
そして、目に見えてウルフの数が減ってきている。たぶん、最初のときよりも、減ってきているのは確実で、少ない数を多くの人数で討伐していこうとするから、明らかに狩るペースが速くなったんだと思う。
もちろん、それはいいことだ。とりあえず、残り少なくなってきている群れと、トップに座るウルフを討伐して、クエストクリアってところかな。
まぁ、もちろん、姿を隠したまま去っていくというのはさすがにできないかな。とりあえず、一通り落ち着いたら自己紹介がてら合流しようか。
残り10匹もいなかったレッドウルフの群れは、30分もしないうちに狩りとったみたいで、ちょっと血生臭いにおいが漂うけど、ウルフの声は何もしなくなった。
そこでようやくというべきか、私も姿を見せる。
「やっぱりミネコちゃんか。水の魔法が出てきたからそうだと思ったけどよ。炎魔法が出てきたときは誰かと思ったけどな」
そういうのはルイスさん。かなりの日数が開いたような気もするけど、たぶん、それは私がいろいろ忙しくしているからだろう。
ということは、隣にいるのは、ウォルトさんとチェイスさんだな。ほかのメンバーは知らないけど。
「ルイスさんたちも駆り出されていたんだ」
「ギルドからの緊急指名クエストなら仕方ないよ。まぁ、普通に依頼をこなすよりは報酬が美味しいから相談してこっちに来たんだけどな。相変わらず手こずったよ。ミネコちゃんが来てくれなかったら、もっと時間がかかっていたかもな」
「私も、今日の朝にいろいろ話を聞いてやってきただけだから、あんまり倒してないよ」
「そう言いながら、半分くらいはミネコちゃんだろ?たぶん。途中から明らかに俺らのほうを見向きしなくなったし、明らかに駆除するペースが速くなったんだから」
「まぁ、私も多少は絡んだけど、私もこの前と同じペースでしか駆除できてないよ。正直、あのスピードが限界って感じ」
「そうかい。まぁ、助かったよ。あのままだったら、昨日に続いて夜になっても駆除しきっていなかっただろうから。とりあえず、陽が高いうちに片付いてよかった」
「とりあえずさ、ほかのパーティも紹介してくれない?私、初対面なんだけど」
「あぁ、そうか。そうだな。とりあえず……」
そこからルイスさんの紹介で、3つの臨時パーティを紹介してもらった。
それぞれ、別のパーティを組んでいた時にレッドウルフを倒したことがある実力者で中には、放浪好きで、気になったパーティがあれば入って、飽きたら抜けていくみたいな活動をしている人もいた。
この臨時パーティは、このクエストが終わり次第解散され、もといたパーティに戻ったり、単独で旅をしたり、別々の道を歩いていくようだ。
「と、紹介はこんなものかな。正直、臨時パーティだったから、まぁ、俺らもわからないことはある。話せる分は話し合ったんだけどな。まぁ、それでも、ちぐはぐな連携になっちまったもんだ。とりあえず、ここでの討伐は終わったから、駆除したウルフたちを回収したら、ギルドに報告しに行こう。それでこの仕事は終わりかな」
ルイスさんの声にみんないそいそと作業を始める。
もちろん、私は、離れたところで駆除していたレッドウルフの回収。
私が駆除したんだけど、溺死体を見るたびに今にも生き返りそうで少し怖いのよね。それが至る所に転がっているから、まぁ怖い。
とりあえず、自分が駆除したウルフを回収し終わると、ルイスさんたち一行が近づいてきていた。
「相変わらず、豊作のようで」
「対応できるだけ対応したからね。途中で気づかれたのは計算外だったけど、水魔法のおかげだよ」
「魔法使いは相当楽のようで。俺たちゃ、剣や支援魔法を使ってもほとんど倒せなかったって言うのによ」
「ゲイル。言葉には気をつけろよ。これだけ早く駆除できたのは、彼女のおかげでもあるんだぞ。まぁ、ひとりで半分くらい持っていかれたのは、俺たちも負けた気持ちになるけどさ」
「まぁ、それもそうか。この子も俺たちの仲間になってくれたらなぁ。町の移動が楽になりそうなのによ。そうだ、嬢ちゃん。俺たちと一緒にアルベスト王国に行かねぇか?面白い町なんだよ、そこがさ。旅の費用も持つからさ、一緒に行かね?」
……なんだ?このチャラいの。私のタイプじゃ全然ないんだけど。こんな男と一緒にいるなら、一人のほうが断然楽でいい。
ただ断るなら、いろいろ突っかかってきそうだから、向こう側から断らせるように仕向けてみる?できるかどうかわからないけど。
「へぇ、こんなもの好きもいるんだ。まぁ、金のかかる芸者を旅の仲間にしようだなんて。食事はいつも温かくておいしいものじゃないと嫌だし、お風呂も毎日入りたいし、着たものもすぐに洗濯したいほどわがままなのに、それに、私の稼ぐ金を補ってくれるなら一緒に行ってあげてもいいけど」
「な、なんじゃ、このわがままな娘は。しかも、芸者って言ったか?冒険者じゃねぇのかよ」
「あぁ、この子はれっきとした芸者だよ。俺も初めて聞いたときはびっくりしたけど、ギルドカードを見させてもらったら、本当に芸者だったんだからびっくりしたよ」
そういえば、冒険者ギルドで見られたな。そういうことも覚えているなんて、なかなか記憶力はいいんだな。見た目は馬鹿正直者そうに見えるのにね。
「俺たちは、そんな女に助けてもらわねぇと倒せねぇのかよ。あれから何度か命の危険を感じながらレッドウルフを駆除してきたのによ。こんなひょうひょうと駆除されると、俺たちがみずほらしくなるぜ」
「まぁ、そうだな。でも、ミネコちゃんのおかげで俺たちは生きているし、クエストもクリアできている。ありがたいことじゃないか?」
「そのぶん、お宝の分け前がこの女に持っていかれるけどな」
「それは仕方ないよ。貢献者は遅れてくる。なんていうしな。とりあえず、帰るぞ。これをギルドに報告したら、やっと寝れる。夜通し戦うのはきついな」
その割には、しゃべり方もしっかりしているし、戦っているときの姿も、あまり疲れている様子はなかった。そう考えると、かなりタフだな。私なんて、徹夜なんてしたら、翌日は夕方まで寝ることなんて普通なのに。
まぁ、この世界では、日の出と同時かわからないけど、ニワトリの鳴く声で起こされるから、夕方まで寝ることはほとんどないけどさ。
そんなことを思いながら、ルイスたちが前を歩きだし、私は、少し後ろで離れて歩く。
まぁ、いろいろ話したくないっていうのもあるんだけど、あんまり知らない人たちと横に並んで歩くっていうのは少し気が引けた。




