73.討伐途中
そこからだいたい10分かな。これ以上静観していても、レッドウルフの討伐は終わらないと思い、私も参加することにする。
ただ、どうやって参加しようか。まさか、自分から集団の中心にいくなんて度胸があるわけでもないし、堂々とウルフの横を通っていくなら、私がカモになるのは当然の話。まぁ、シールドを張っているから、ダメージは効かないだろうけど、襲われながら登場なんて、さすがにダサすぎるよね。
炎魔法で注目を浴びてから登場するのが格好いいかななんて思っているけど、とりあえずは、アクアボールで溺死させていきながら近づくか。
この調子だと、魔力はまだまだ残っていると思うし、先に来ているパーティが何匹か倒してくれているなら、まったく問題はないと思う。
ただ、さっき見る限り、四方八方から襲われているといったほうがいい具合に劣勢。とりあえず、いろいろやっていくほうがいいな。
「アクアボール!」
ここからは1匹ずつちびちびとなんて真似はせず、早く終わらせたいがために、2匹ずつまとめて溺死させることができるサイズでアクアボールを飛ばしていく。
そして、後ろから捕まえると、驚いたのか捕まえた2匹と、周りにいるウルフが暴れだす。
少し危険な行為だったか。と少し反省するところだけど、それでも、しっかりと逃がさず溺死するまでもっていく。
正直、こんなことをしていて、私が狙われないのが不思議だが、左手で水魔法を操っているから、襲われたとしても、右手で炎魔法を発動させたらいい。ただそれだけだ。
何度かアクアボールを使いウルフを溺死させていると、私の姿を見つけたのか、1匹のウルフが私をめがけて突進してきた。もちろん、溺死させるほうに集中していて、襲ってくるウルフに気付くのが遅れたけど、シールドのおかげでダメージはない。
突進されてよろけただけだ。
ただ、これだけシールドを張っているとはいえ、ほぼノーガード。ただただ当てられるのはさすがに腹が立つ。ということで、油断しているふりをして炎魔法をある程度の強さで発動させ、ウルフに当てる。
もちろん、牽制という意味もあるけど、さすがに、叩かれっぱなしはね。さすがに癪だから、私だって対抗はする。
ただ、なんというか、標的が先に来ていたパーティから私に移ったようにも見えるのよね。
私もさすがに、片手でどちらかの魔法しか使えないから、さすがに両手でアクアボールを使って溺死させていっていても、私に体当たりさせまくるのはわかる。だから、片手でアクアボールを操り、もう片方の手で炎魔法を操り、ウルフに攻撃をさせないようにしている。
「誰だ!そこで戦ってくれているのは!」
どこからか声が聞こえてきたけど、そこまで余裕がない。
ウルフの標的が完全に私になっていて、炎魔法で次々に追い払っている状態。そのうち、山火事になるかもな。なんて思いながら、とりあえず、的確に当てるようにしている。
いつまでこんな形が続くかわからないから、一番弱い火力で当てている分、ウルフの数はまぁ減らないよね。
いつまでも、足場が悪いところで戦っているのは、分が悪いな。とりあえず、隙を見て、道に出ようか。そうじゃないと、コントロールが安定しない。
ただ、どのタイミングで出られるかよ。
連続でウルフが何匹も私に向かって突進してくる。それをかろうじて炎魔法を投げて狙いを狂わせているだけ。
一層のこと、炎魔法で私の周りを覆って、突進されないようにしてから普通の道に逃れるか?それができたら一番だろうけど、今の魔力のままじゃ、山火事になりそう。
……まぁ、もしなったとしても、水魔法で消すことはできるか。やるだけやってみよう。
「炎の舞」
一瞬だけ目を閉じ、私の周りで炎が燃え盛るのをイメージする。そして、目を開けたときには、炎の渦の中に私がいる。もちろん、魔法やシールドのおかげで私にとっては熱くない。
ウルフは、炎を怖がっているのか、突進することをやめて、静観しているのかな。唸り声も、吠える音もなくなった。
そして、しっかりとした道に出てきて、私はシールドがまだ機能していることを確認してから、炎魔法だけ解く。
ある程度低い温度で燃やしていたこともあって、草木は燃えていない。少し焦げたところはあるみたいだけど、それは許容範囲だということで許してほしい。
そして、目の前15メートルのところにはレッドウルフが5匹視認できる。さらにその奥には、冒険者と思われる人が。
私もそっちに行った方がいいかななんて思いながらも、逃げ道をふさがれると面倒だし、このまま私も行くか。
とりあえず、私は変わらず1匹ないし、2匹ずつウルフを地道に溺死させていきますか。




