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65.ギルド所属者の義務

 たぶん、街はコンパクトなんだろうけど、しっかりとすみわけがされているから、一か所どこかに行くのがものすごく遠く感じる。

 貿易ギルドだってそうだもんね。メイランちゃんの宿だって30分くらい歩かないといけないわけだし、南の森へつながる門に関しては、ここから一度市場を経由してからじゃないといけないから1時間くらいかかる。

 こうもなってくると、まぁ、街から出るのも一苦労ってところよね。

 この世界には、自転車もなければ、車もない。みんな徒歩か、遠くまで行くなら馬車ってところかな。それも、一回だけちらっと見たことはあるけど、お世辞には、あまり乗り心地がいいとは思えないほど簡素な作り。

 なんというか、便利で快適な乗り物に慣れすぎたのか、こういった類のものに乗れそうはないかな。って思っちゃう。

 まぁ、そんなこんなで20分くらいかな。市場の広場から歩いて貿易ギルドの正門まで到達。

 パフォーマンスで疲れているわけじゃないから、そこまで体力は消耗していないけど、ここまでくるのがただただ遠い。

 やっぱり、自転車が欲しいと思っちゃうよね。

 魔法でどうにかならないかな。……驚かれるか。とりあえず、ルーイさんと話をするか。

 そう思い、中に入る。


 貿易ギルドの中は、落ち着いた雰囲気を出しているけど、それなりにみんな忙しそう。

 まぁ、売り物を卸したり、仕入れたりする商人がそれだけ多いってことなんだろうな。だけど、それぞれに担当者がいるのか、前のほうで座っている人を無視して後ろの人に声をかけに行ってというシーンが何度か見られた。

 まぁ、私も時間があるからぼーっと椅子に座って待っているわけ。

 そしたら、ルーイさんがあわただしく動いているのを見つけるのと同時に、ルーイさんと目が合った。

 すると、数分もしないうちに持っていた書類やらをどこかに置いてきたのか、手には何も持たず私のほうに来た。


「お待たせしました。どういったご用件でしょうか?」

「さすがルーイさん。仕事モードですね」

「一応、ミネコさんもお客様ですから。いつまでもファンのひとりでなんて応対はできないですよ。さすがに」

「できる仕事人は違いますね」


 そういうと、ルーイさんは照れくさそうに口元を両手で覆った。


「さすが芸者なだけあって、お口も上手ですね。で、さっきの今ということは、納税ですか?」


 いきなり本題に入られて、切り替えのすごさを目の当たりにした。思わず、私も「はい」とだけしか返せず、あわてて言葉を付け足す。


「ルーイさんが、私のランクなら1か月なら大丈夫って言ってたと思うんですけど、流れだけ先に確認したくて。仕事を増やして申し訳ないんですけど」

「そんなことありませんよ。仕事もひと段落着いたところですから」


 たぶん、それは嘘だろうな。なんて直感的に思ってしまう。

 さすがに、アイドルを長年続けているだけあって、話を盛ったり、嘘をついたりしていることはすぐにわかるようになった。そのかわり、私が知られたくないことは、普通に隠せるようになったけどね。


「とりあえず、ここだとやりにくいので、カウンターに移動しましょうか。そこでご説明します」


 カウンターに移動してきた私とルーイさん。ルーイさんは、カウンターに着くなり、奥の部屋に入り、何か資料を手に戻ってきた。


「これが簡単なやり方を書いた紙なんですが、もう、本当に簡単です。先日お渡しした木札をあちらにある納税額計算機に差し込んでもらえば、自動で納めなければいけない額を計算してくれるので、計算が終わったら、横にある貨幣の投入口が開くので、そこの金貨や銀貨、銅貨を入れていただいて納税完了となります。冒険者ギルドだと、買取り金額から自動的にひかれるので、冒険者のほうは何も気にすることなく、ギルドに納税していることになっているんですけどね」


 へぇ。納税にもいろいろな形があるんだ。

 私は、ルーイさんから聞いたとき、ルーイさんにお金を払うものだと思っていたんだけど、これだと簡単だな。それに、冒険者ギルドに持ち込んだ魔獣を買い取ってもらうとき、自動的で税金を引かれていたのね。まぁ、旅をしている冒険者が納税期日にきっちり納められるとは限らないもんね。そりゃ、納得だ。

 ……ってなってくると、私、相当な額を納税しているんじゃない?手元に金貨が100枚以上あるわけだし、30枚くらいとられていてもおかしくないんじゃない?って思ってしまった。

 まっ、すぐになくなるものでもなさそうだし、今の私の生活なら、2か月に1回のペースで狩りをすれば、生きていけるでしょう。

 なんてのんきなことを考えながら、納税額計算機に私の木札(証明書)を差し込む。

 すると、ちょうどそのすぐ奥にある球体から文字が浮かび出てきて、前回の納税額からどれだけ稼いだか、それに対しての納税額もしっかりと表示されている。


『ゼンカイノウゼイガク:金貨0枚 銀貨0枚 銅貨0枚

 ゼンカイカラノシュウエキ:金貨1枚 銀貨0枚 銅貨10枚

 コンカイノノウゼイガク:金貨0枚 銀貨1枚 銅貨1枚』


 なんというか、絶妙なラインだけど、まぁ、だいたい貰ったお金の10パーセントくらいか。

 これが、もっと稼ぐようになったら、金貨20枚とか行くのかな?なんて思いながら、手持ちの銀貨と銅貨をそれぞれ1枚ずつコインの投入口にいれる。

 すると、シャリンと大人がなった後、木札が吐き出されるように浮いて出てきた。

 なるほどね。そういうことか。これなら簡単だし楽でいいね。それに、いちいちルーイさんを待つ必要もないし。まるで銀行のATMみたいね。まぁ、この世界の人たちにそんなこと言っても通じるわけがないから、何も言わないでおくけどさ。


「これで納税は完了です。あっ、そうだ。あと、ドシアンさんが冒険者ギルドの買取り所まで来てくれって言っていましたよ。急ぎの用事でもなさそうでしたが、ドシアンさんは『早く渡しておきてぇ』って言っていました」


 ドシアンさんが?……あっ、そっか。この前の買取りの話か。

 あれから3日ほどしか経ってないけど、もう引き取り期限なのかな?そんなのあったらたまったものじゃないけど。


「わかりました。ありがとうございます。また何かあればお願いします」

「いつでもいらしてください」


 ルーイさんにそう言われ、笑顔を返した後、隣の建物にある冒険者ギルドへ足を踏み入れる。


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