59.夜の市場
昼間には見せない姿を見せてくれるから、そこも少し面白いところでもあり、昼間では売っていない食べ物や料理もあるから目がいろいろ移っちゃう。
だけど、やっぱり、食べなれているものが一番だよね~。なんて思いながら、昼間声をかけてくれた焼鳥屋の店主のお店に。
「おう、珍しいなこんな時間に」
「私だっていろいろあるんです~。とりあえず、いつもの3本貰っていい?」
「あいよ。嬢ちゃんの晩飯か?」
「まっ、そんなところだね。今までは宿に泊まらせてもらっていたから、夕食はいつも宿で済ませていたしね。ただ、もう家も借りたから、今日からは全部自分でどうにかするしかないからね。今日はとりあえずここで」
「そんなこと言わずに毎日買っていけばいいのにさ」
「私だって人間だからさ。毎日同じものを食べ続けたら飽きるよ。種類が豊富にあるといえさ」
「まっ、そうだな。俺だって、毎日残りものを食ってたら飽きるさ。そのために、しっかり稼いで、違うものを食ったりしているんだけどな」
まぁ、人間だれしも、わがままなところはあるよ。食にしたってそうだし、欲にしたってそうだし。誰もがそうだと思っている。
「ほい、ほれじゃあ、レッドバードのソルトが2本とソースが1本な。ほかに何もいらんか?」
焼きたてホクホクの焼き鳥を袋に入れて渡してくれる。匂いがまぁ、食欲をそそるよね。
「今はとりあえずかな。夜の屋台なんてほとんど来たことないし、なにかおいしそうなものがあれば追加で買っちゃうかも」
「本音は俺のところが一番だろ?って言わせたいところだけど、まぁ、それが一番だろうよ。また何かあったら言ってくれよな。まいど」
店主のおじさんは、ちょうど私の後ろに並んだ冒険者風のグループを相手にしはじめ、私は、そそくさと逃げるようにほかの屋台を見に行く。
なんだか、あれだな。夜にこうやって屋台が並ぶと、元の世界にいるときの祭りに並ぶ屋台を思い出すな。
綿あめに金魚すくい、たこ焼きに焼きそばなどなど。今思えば、綿あめとか甘いものも食べたくなってくる。
ただ、何というか、この世界に、甘い食べ物があまりないのが実情なんだよな。甘そうに見えてあまり甘くなかったり、木になった果実には毒がありそうだし。クッキーが売ってある!と思って、実際に買って食べてみたらものすごくぱさぱさだし。
どうにかして甘い食べ物を作りたいなぁ。なんて欲が出てくる。
というか、食欲が一番ある気がする。
お米も食べたいし、魚も食べたい。甘いものも食べたいし、ジュースも飲みたい。
そんなことを思いながら屋台を巡っていても、食べたいものが見つかるわけもなく、結局、焼鳥屋で買った3本と、ナンに似た小麦で作ったパンみたいなものが売ってあったから、それを買って自宅に戻る。
自宅に戻ると、私の家の周辺をうろうろしている人を見つけた。
身なりからして、この辺に住んでいる人だったり、冒険者ではなさそう。しいて言うなら、イギリスの近衛兵のような感じ?
「この家のものか?」
私の姿に気づいたのか、近衛兵が近づいて声をかけてきた。




