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57.強硬手段

 その声に驚き、声がしたほうを見ると、私のことを見ているジャック・オー・ランタンと目が合い、さらにビックリしたところで目が覚めた……。

 ……そうだ。夢だったんだった。どういうわけかものすごく驚いちゃった。

 パッと外を見ると、まだ夜が深いのか、ユラユラと揺れるオレンジの光が見えるだけ。

 等間隔に並んでいるところを見ると、前にメイランちゃんが教えてくれた魔獣避けの松明だろうか。こんな時間でも、うっすらわかるくらい。

 この部屋に時間がわかるものがないからなんとも言えないけど、夜はまだ長そう。だけど、一度目が覚めてしまったなら、二度寝なんてできない体質の私。

 何をするでもなく、朝が来るまでぼーっとする。


 何時間たったかわからないけど、朝日が昇ってきたみたいで、周りが明るくなってきた。

 それにともなって、魔獣避けの松明が徐々に消えて行く姿まで見られる。

 これでようやく朝が来たと思えるかな。私もそろそろチェックアウトの準備をしようか。と言っても私の荷物は、全部家に持って行ったし、今は、身体一つで泊まっているだけだから、持ち物なんて何もないんだけどね。

 ベッドの上でずっと窓を見ていたせいか、身体が少し固まっていて、ほぐすために、ひとつ大きく伸びてからベッドを降りて、朝食を食べに行く。


「ミネコさん、おはようございます。お目覚めいかがですか?」


 いつも通りの笑顔で私を迎えてくれるメイランちゃん。この笑顔は天使のようにも感じて、寝起きの私をちょっとすっきりさせてくれる。


「おはよう。目覚めは完璧だよ」

「それはよかったです。朝食をすぐにお持ちしますね。適当な場所に座っていてくださいね」


 そう言われて、いつもの場所に座って、朝食を持って来てもらうのを待つ。

 今日の朝食も、いつもと変わらない食事だけど、これだけ作ってもらえるだけでもありがたい。これが明日からなくなると思うと、ちょっとあれだな。ずっとお世話になっていたくなるな。

 だけど、もう、帰る家があるんだから、そっちに帰るしかないよね。とりあえず、食材を買って自宅に向かおうか。


「今まで短い間だったけど、ありがとうね。もしかしたら、ご飯食べさせて~なんていって遊ぶに来るかもしれないけど、そのときは優しくしてね」

「もちろんですよ。私もミネコさんのおうちに遊びに行かせてもらうかもしれないです」


 いたずらっ子のような顔で私に返してくれるメイランちゃん。本当に時間があれば誰もいない私の家に来そうな予感すらする。

 でも、もし私がいるときに来たなら、存分にもてなしてあげようか。

 そんなことを思いながら、ゆっくりと、メイランちゃんの宿を後にする。

 これまでお世話になったけど、本当に、これからもお世話になることがあると思う。そのときは、ずうずうしくないようにしないと。

 とりあえず、食料だな。パンとほかの食料を買い込んでから家で料理してからダンスの練習をして、明日のお昼から活動をお試しでやってみようかな。なんて思ったり。


「おう、嬢ちゃん、今日も一本どうだい?」


 たまにお昼ご飯やおやつの代わりとして買うこともある焼き鳥屋の主人が声をかけてきた。

 正直、いろいろ料理するのが面倒な気もするから、ここで買っていきたい気もするけど、やっぱり、自分でいろいろ作って保存をするほうがいいのかもしれないと思い、主人には「今日はごめんなさい」とだけ言ってから、贔屓にしているパン屋さんに向かう。


「あら、いらっしゃい、今日もフールランスパンが焼きたてであるけどどうする?」


 私の姿を見るなり、店主のおばちゃんが私に焼きたてのフランスパンを進めてくれる。ただ、この世界ではフランスパンのことを『フールランスパン』というみたいね。

 そのフールランスパンの焼きたてを3本ほど買って、フレンチトーストにするために卵と牛乳も別のお店で購入して、自分の家に。

 近くまで来ると、私の家の周りに何人かいるのがわかった。


「何かあったんですか?ここ、私の家なんですけど」


 それだけ言うと、後ろから声をかけられた人は驚いて何人か飛びのく。


「嬢ちゃんの家か。火の玉が出たって言う話があるんだが、知らないのかい?」


 そういえば、アイラたちがそんなことを言っていたな。なんて思いながら、周りの人たちに「そうなんですね~」と軽く受け流して自分の家の中に入る。

 あと、不思議そうに私の家を見ている人たちを追い払いたいな。なんといっても、ダンスの練習をしたいけど、これだけ人がいると、集中できないかもしれない。それに、音漏れのことも気になる。

 もう、思い切って、噂になっている火の玉を飛ばして蹴散らしてやろうか。なんて思いながらも、どうしようか。

 そんなことを思いながらも、まだ悩む。……いいや。いっちゃえ。びびらせるために火の玉を家の裏側から家の周りをぐるっと回して「警備のため」といって、帰らせてもいいだろう。


「お願い。火の玉。周りの人たちを蹴散らせてきて」


 何の意味もないけど、火の玉に願いを込めてお風呂場の裏から時間差をつけて2つ飛ばす。

 案の定というべきか、外からは驚きの声が響いて、寝室から外を見ると、私の家を不思議そうに見ていた人たちは逃げて行った。

 これでまた火の玉騒ぎが少し大きくなるかな。なんて思いながらも、ようやく一人の空間ができた。火の玉はもう消して、自分の練習に集中していこう。

 それに、人目があって、集中できなくなったら、火の玉で追い返せばいいだけだし。

 ただ、なんだか、ただの日のたまって言うのも味怪我無いな。せっかくだし、かわいくしてもいいかも。

 なんなら、最近よく夢で見るジャック・オー・ランタンのような形にしてもいいかなって思ったりしながら、買ってきた食材を並べて、フレンチトーストの液を作り、パンを浸した後、練習をしようとする。


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