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51:再会

 とりあえず、炎の龍はまた練習するとして、このあとは、振り付けを歌詞の確認をしていくか。いつまでも魔法にかまってもいられないし、それに、炎の龍に関しては、できないと思ってふざけてやったつもりが成功しだしたところってところもあるし、もっと制御できるようにならないと、もし暴走やイメージミスをした時が一番怖い。

 正直、徐々にできるようになればいいやと思っているし、初回に関しては、どこまで体力を奪われるかわからないから、まだ炎の龍は発動しないつもりでいるしね。

 だから、今はスピッカの力も借りれるから、体一つで表現するには、十分な振り付けを確認する時間と歌詞の確認をする時間がいるわけ。

 休憩もある程度にしたら、確認していくか。


 今日に関しては、ちょうど休憩を挟もうとしたタイミングが夕暮れで部屋が赤く染まりだしていたころ。

 もうちょっと練習したかった気もするけど、さすがに、連日、夜遅くなると、メイランちゃんたちに迷惑をかけるかなと思って、宿に戻ることにした。

 そして、いよいよ明日からひとり立ちだ。なんだか、いろいろあったけど、ようやくここまで来たって感じがして、少しワクワクする。

 ひとり暮らしを始めるときって、こんな感じだったかな。なんて思いながらも、新しい感覚に少しドキドキしている。


 宿に戻ると、メイランちゃんたちがいつも通りあわただしく動き回っていて、それでも、私の姿を見つけると「おかえりなさい」って反応してくれる。

 私が「先にお風呂に入っちゃうね」というと、メイランちゃんが「わかりました!ごゆっくりどうぞ」といつも通りに返してくれる。これからそれもないのか。と思うと、少し寂しくなる。

 だけど、いつまでもメイランちゃんたちにお世話になるわけにはいかないし、さすがに自立しないといけないことはわかっている。これを機に、私も自分の人生を食いなく生きていかないといけない。

 そして、ゆっくりお風呂に入っていると、仕事終わりなのか、一糸まとわない冒険者と思われる女性がぞろぞろと入ってきた。

 もちろん、貧相な体な私は、うらやましいななんて思いながらチラ見している。

 がん見しているとさすがに怪しまれちゃうからね。

 だけど、それも少しむなしくなってきて、身体も十分に温まったこともあり、逃げるようにしてお風呂から上がる。

 ちょっとむなしい気持ちになった私を慰めるのは、もちろん食事。

 レッドバードの照り焼きに数種類のパンと、夕食らしい夕食に。

 もちろん、食堂はいいにおいに包まれていて、私のテンションも少しだけ戻った。


「ミネコさん、すまないね。今日もいつもと変わらない食事で」


 ゆっくりとかみしめながら食べ進めていると、メイランちゃんのお父さんが私に声をかけてきてくれた。


「それが良かったりもするんですけどね。いつも通りおいしくて最高です」

「最後だから、お米と魚を用意してあげたかったんだけど、ギルドにも在庫がないし、取り寄せようとすると、1か月ほどかかるらしいから、泣く泣くって感じだよ」

「そうなんですね。ちょっと残念ですけど、仕方ないですよね。ないものはないし、代用品もあまり見つからないでしょうし」

「そこなんだよな。でも、ほかの国はほかの国でいろいろな課題を抱えているから、お互いさまってところはあるよ。貿易ギルドももう少し柔軟な対応をしてくれたらいいんだけどなぁ。って愚痴ったところで何もないんだけどな」


 乾いた笑いを出した後メイランちゃんのお父さんは、キッチンへと姿を隠していった。


「ごめんなさい、ミネコさん。たぶん、お父さんは、この前の解体した魔獣の感触があるのか、世界中の料理を作りたいって思ってしまっているんです。そのせいで、ギルドに行っては、『こういうものがないか?』って聞いて回ったりしているんですよ」

「だから、私がお米と焼いた魚が食べたいって言った時、何かを思い出している顔をしたのね」

「だと思います。お父さんもいろいろ経験してますから」


 メイランちゃんから少しだけ話をすると、食堂が少し忙しくなりだしたのか、メイランちゃんもお手伝いに走り、私は、ひとり残され、ゆっくりと食事を楽しむことにする。


 食事も終わり、自分の部屋に戻った後、少しだけ暇を覚え、階段を下りる。

 そういえば、数日前は、騒がしくて階段を下りたら、パーティメンバーを助けてほしいとかいって泣いていたキルシュちゃんがいたんだっけな。なんて思いつつ、階段を下りていくと、キルシュちゃんと、そのパーティメンバーがいた。


「あれ?キルシュちゃんじゃん。どうかしたの?」

「あっ、ミネコさん。お久しぶりです。先日はありがとうございました」

「俺たちからも礼を言わせてくれ。本当に助かった。あの数で襲撃されるとは思っていなかったから、油断しきってしまって。あの助けがなかったら俺たちは死んでいたかもしれない」


 なんというか、あれだな。感謝されるのはわかるんだけど、正直、私の自己満足も入っているわけだし、傲慢な態度も反省しているところだから、ちょっと思い出したくないところなんだけどなぁ……なんて思いつつ、キルシュちゃんに視線を合わせる。


「でも、キルシュちゃんの勇気もほめてあげてよ。この子がこなかったら、私だって行ってないし、皆殺しにされていたかもしれないからさ。私よりも、キルシュちゃんね。私はただの自己満足で行っただけだし、自分の力を過信しすぎていたところもあったから」

「それでも、ミネコさんの魔法はすごかったです。レッドウルフを水玉でギューッと包み込んでから、倒しちゃったし、ものすごく強い人なんだなぁって思ってますから」


 あぁ、そういえば、水球で溺死させていたな。燃やすと森林火災の恐れがあるからとかだったかな。

 それに、強力な魔法と言われるけど、まだ水球は序の口だと思う。私の中では最終兵器だと思っているアクアガンが後ろに控えているんだから。

 まぁ、アクアガンに関しては、しばらく使うつもりは毛頭ない。本当に大ピンチになったときしか使わないと思っている。

 そんなことを言えるはずもなく、私は苦笑いを浮かべていた。


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