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50:筋肉痛の中で

「ミネコさん、最後に大事なことが一つあって、ミネコさんの性格なので大丈夫だと思っているのですが、あまりにもパフォーマンスのことでトラブルが多かったり、守衛の方に注意されることが多発してしまうと、許可書が取り消しになることがあるので注意してください」


 脅迫のように小さく、私にだけ聞こえるような声量でボソッと言ってくるルーイさん。なぜだか、少し怖く感じてしまった。

 だけど、そんなにトラブルになることはしないんじゃないかなとは思っている。

 トラブルを起こすだけ、自分が損するだけっていうのも、身をもって経験しているわけだし、自分が無理に吠えるほど不利になるのもわかっている。

 トラブルになりそうだったら、私が身を引くことを一番にしよう。もちろん、パフォーマンス中に譲ることはしないけどね。


「それじゃあ、これから頑張ってくださいね。私も時間があれば見に行きますんで」


 ルーイさんにそう言われ、ちょっと期待の目で見られてしまっている。まぁ、それもそうかな。活動届をもらってから1週間弱も提出せずにいたんだもん。

 それなりの準備をしているとみられるよね。……実際は、狩りに行ったり冒険者ギルドからのクエストに駆り出されたりとしていたから、実質的に練習を始めたのは昨日からなんだよな。なんて思いながらも、席を立って、自分の家に向かう。

 そうだ。まだ朝だけど、お昼ご飯を食べに戻ってくるのも面倒だし、ある程度の食材を買ってから自分の家に向かうか。

 そう思ってから、ギルドから出た足で、市場の中にあるパン屋さんと、この1週間でよく通ったお肉屋さん、あとは、たまたま露店として出ていた卵を売っているお店で卵を2つ買って自分の家に向かう。

 頭の中では、なんとなく食べたいものが浮かんでいるけど、その通りに行くかどうかはわからないよね。だって、調味料がほとんどないんだから。

 あるといっても、塩だけ。あとは、貿易ギルドで聞いてみないと何ともわからないけど、塩だけはギルドで先に買っていた。何かあるだろうと思ってね。

 ほかにも、この国の騎士が魔獣と遭遇した時に香辛料の入った煙幕弾を使ったなんて言っていたから、スパイスとかもあるんだろうけど、やっぱり、ギルドに行ってみてからだな。なんて思いつつ、先に聞いておけばよかったと。買い物をしている途中に気づいた。


 そして、アイテム袋に買ったものを全部入れて、まだ痛む腰をかばいながらなんとか自分の家に到着。

 さすがに腰をかばいながら歩くと、動じても時間がかかるなぁ。なんて思いながらも、少しずつ鳴り出したお腹を黙らせるために、先にお昼ご飯にしちゃおうか。

 そう思って、ついこの間買ったフライパンに肉と卵を乗せてから「火の粉」とつぶやきコンロのほうに飛ばす。すると、ちゃんとコンロに火が付いて、じわりじわりと肉と卵が焼けていく。

 卵は半熟、肉はしっかり目に焼いたら、フライパンを火のついていないコンロに移し、パンを直火で焼き目がうっすら付くくらいにあぶって、フライパンの肉と卵をそのパンの上にのせる。

 そうすれば、忙しい朝(今はお昼だけど)にぴったりなマフィンが出来上がる。

 肉はさすがに分厚いからしっかり火を通すのに時間がかかるけど、なければ、ベーコンとかハムを焼いてもいいかもね。


 そんな昼食をサクッと食べた後、少しだけストレッチをしてから、鏡に正対。

 動きの少ない振り付けの曲で身体を動かし、筋肉痛の影響を受けながらも、動けることを確認した後、外に出て、昨日の続き。

 魔法を使いながら振り付けの練習をしていく。

 昨日の今日で噂になっているからやりにくいところはあるものの、ルーイさんに事情を説明しているからいいかななんて思いながら、炎魔法を発動させて、昨日の続きをしていく。

 演出になるかどうかわからないけど、こうやって、大きく派手に見せるのも大事なのかなって思えてきて、こうやって練習している。

 もちろん、練習して、どうにもならないんだったら諦めて普通の振り付けと歌で魅了していくだけなんだけど、平和を願いような曲で炎の龍と水の蛇が戦ったら面白いんじゃないかって思ったのがきっかけでできたらいいなぁ、って思っているだけ。

  まぁ、そんなに簡単にいかないのはわかっているから、練習してイメージを頭の中に植え付けて魔法を動かすだけ。とは思っている。


 そこから何時間か練習すると、ようやく炎の龍を操れるようになってきた。

 あとは、思い通りに動かすだけってところなんだけど、このままだと、水の蛇は難しいかな。正直、今がいっぱいいっぱいになっている。

 水の蛇に関しては、もう炎の龍を操るのがもっと楽になってから練習してもいいかなと思えてきている。


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