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49:活動届け

「そうだったんですね。無理はしないでくださいね。それで、今日のご用件は?」

「あっ、そうそう。活動届を出しに来たんですけど、私、ペンを持ってないことに気づいてしまって……。ここで書かせてもらってもいいですか?」

「えぇ。問題ありませんよ。幸い、今の時間は私も暇ですし。それじゃあ、ペンがこちらですね。書き方は大丈夫ですよね?」

「見たままですしね」

「あと、私からひとつを公務としてお伝えさせていただいて、もうひとつを完全な私個人の好奇心で聞かせていただきたいんですけど、先に公務のほうからお伝えさせていただくと、この活動届を書いてもらった後、許可書と一緒に複写したものをお渡しいたします。許可書と活動届をご自身から10メートルを離れるまでは効力が発揮します。その効力が発揮されている間は、周りから飛んでくる投げ銭がパフォーマンス終了後、自動的にご自身のもとに集まりますので、集め忘れないようにお願いします。集め忘れてしまうと、ほかのパフォーマーや一般市民の方にとられることもありますし、税金を納めるとき、投げ銭からではなく、ご自身の懐から納めていただくことになるので気を付けてください」


 なるほどねぇ。それはそれで厄介だ。……でも、どうやって納める税金がわかるんだろうか?投げ銭を申告しなかったら、それだけで懐に全部納められるような気もするけど。


「納める税金の額ってどこでわかるんですか?」

「あとでお渡しする許可書に集まった投げ銭をもとに自動で計算されます。そのために、自動的にご自身のもとに集まる仕組みになっています」


 なるほどねぇ。脱税防止に一役買っているわけだ。それなら納得だ。


「あと、税金を納めるタイミングっていうのは?」

「それはご自身のタイミングで結構です。遠くの町に行っていることもあるでしょうし、何かの拍子でけがをして納められないということもあると思いますので。ただ、ランクによって最終納税日というのが変わりますので気を付けてください。ミネコさんは……まだEランクですので、最終パフォーマンス日から起算して1か月が最終納税日になります。過ぎちゃうと、ランクが落ちる上に追徴税が発生しちゃうこと、税率が上がったりするんで気を付けてくださいね」


 なんというか、対策が抜かりない。日本もこれくらいしてくれてもいいんじゃないかって思えるほどだよね。まぁ、こんなことは、この世界だからできることなのかもしれないけどね。


「わかりました。活動の面では問題なさそうです。あと、好奇心というのは?」

「そうですね。好奇心というのは、昨日の夕方から夜にかけて、西の門から少し離れたところで、火の玉が見えたという報告が何件も上がっているのですが、ミネコさん、ご存じないですか?中には、火の玉の中に人がいたなんていう通報もあって、守衛の人が確認に行ってくれたみたいなんですけど、誰もいないし、火の玉があった痕跡もなくて、いたずらなのか?って、守衛の中では話題になっているみたいでして」


 昨日の夕方から夜?その時間帯で言えば、外に出て魔法の練習をしていたことくらいかな。それ以外、たいしてやっていな……いこともない。

 疲れたからと言って、休憩がてら魔法を使って遊んでいたんだった。もしかして、それが今回の騒ぎにつながっていたりするってこと?


「あっ、その顔。何か心当たりがあるんですね?」

「えっ、えぇ。一応、私なんじゃないかなぁって思ったりなんたりしたりして……」

「どういうことか、聞かせてもらっていいですか?」


 そこから、昨日のその時間帯に私が家で舞の練習をしていて、魔法と組み合わせられないかなと思って外に出て練習していたことを伝えた。


「なるほど。そういうことでしたか。それにしても、ミネコさん、水魔法のほかに、炎魔法も使えるんですね。魔法が使える皆さんは、なんかひとつの属性だけっていうのを聞いたことがありますが、ミネコさんは特別なんですかね?」


 ルーイさんからは不思議そうな目で見られているけど、世間の常識がそうなのであれば、仕方ないことかなと思う。


「特別かどうかはわかりませんけど、芸者として使える魔法だということも分かったんで、収穫はあったかなと。どう驚かれるかはわからないですけど、いい感じにはできるんじゃないと思ってますよ」

「そうなんですね。楽しみにしています。それじゃあ、こちらはお預かりしますね。許可書を発行するのでお待ちください」


 ルーイさんはそういうと、奥に引っ込み、木札を持って戻ってきた。


「それじゃあ、これが許可書と、活動届を複写したものです。これをご自身から10メートル以内のところに設置していただいたら、自動的に投げ銭が集まってくるので、設置し忘れないようにだけお願いしますね。足を広げてあげると、安定して立つ仕組みになっているので、そんなに難しくないとは思います」


 それならありがたい。設置するのに時間を取られちゃ、なんかもったいない気もするし。


「あっ、そういえば、広場を使うときに取り合いになったときはどうしたらいいんですか?」

「そのことでしたら、基本的にパフォーマンス中に別のパフォーマーが来ても、許可書を設置しているパフォーマーが最後までパフォーマンスをすることができます。後から来た人が無理にパフォーマンスしても、先に許可書を設置している方に投げ銭が全部渡っちゃいますので、気を付けてくださいね」


 なるほどねぇ。これも考えられたものだ。でも、場所取りの争いが起きるかもしれないな。


「あっ、あと、もし一緒にパフォーマンスがしたいとなったときは、双方の許可書を隣同士に引っ付くように置いてから、地面にV字でつながるように書いてもらえたら、双方に飛んできた半分がわたる仕組みになっています」


 なんというか、できすぎな気もするけど、それくらいの仕組みでちょうどいいのかもしれない。これが日本でもあればなぁ。なんて思っちゃうけど、そもそも、路上ライブが規制され始めているのに、そんなことはできないか。


「ほかに何か質問はありますか?」


 そう言われるけど、正直、やってみないと何とも言えないところがあるかな。だから、ルーイさんには、その都度聞くかもしれないとだけ伝えて、自分の家に戻ろうとする。


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