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48:ジャック・オ・ランタン

 なんだか、不思議な感じがするな。

 まるで、騒がしいライブ会場のよう。

 たぶん、季節はちょうど秋。ハロウィンパーティをしているのかな。自分の置かれている状況が呑み込めていないのが記悔しいけど、楽しい雰囲気だっていうことと、ジャック・オ・ランタンの飾りがいっぱいある。

 で、いつものように暗めのステージでライブ中。いつも通りのセットリストで、少しだけ持ち曲を入れ替えたりした。

 ちょっと楽しい曲ばかりのセットリストでパフォーマンスをして、ちょっとしたお菓子を投げ入れていた記憶もある。ちょっと夢中になりすぎて覚えていないシーンもあるけど、これ、いつのライブの夢なんだろう。

 そんなことは置いておいて、楽しい今を楽しんじゃえ。そんなことを思っていた気もする。

 そして、曲は、一番の目玉でもある〈ハッピーハロウィン〉という曲。誰かのカバーのカバーで歌っていた気がするんだけど、大元は忘れちゃった。

 でも、楽しければそれでよし。ということで、この曲でも、ランタンに入れて持ち込んだラムネ菓子を投げ入れる。

 たぶん、ランタンに入れたお菓子を投げ入れるのはこのライブ中で2回目だと思う。

 やりすぎじゃない?って言われるかもしれないけど、楽しませているのであればそれでいいと思っている。

 衣装はいつも通りの真っ白なものだけど、頭にハロウィンらしくドラキュラのカチューシャをつけているだけで、コスプレとは言いにくいんだろうけど、私もコスプレをしている。

 そんな楽しい〈ハッピーハロウィン〉を歌って踊っていると、不思議なことが起こった。

 お菓子の入ったランタンのバケツが宙を一人でにふわふわと浮かんでいて、いろんなところにライブハウス内を駆け回っている。

 私はそれに目を取られているんだけど、観客は誰一人気づかない。まるで、そんなのが最初から存在しなかったかのように。それも、私のパフォーマンスにくぎ付けになっているかのように。

 なんとも不思議な光景だったけど、なぜかなれた振り付けのはずなのに、身体が重くなってきた……。これがジャック・オ・ランタンののろいってものなのか。

 そこまで考えた瞬間に私の意識はぷつんと切れた。




 ここ1週間の目覚ましは、どこか遠くから聞こえる鶏のような声。もちろん、いつも通りで、私のスマホからじゃない。

 まぁ、よくも毎日この声で起きられるよ。って思いながらも、ベッドから降りようとする。


「うぐっ……」


 みっともない声が出たけど、思った以上に反動が来ていて、思った以上の筋肉痛が私の体を襲っている。

 この調子だと、今日の練習は難しいかな。なんて思いつつも、さすがに1週間弱も練習をさぼるとこうなるか。と思いつつ、動ける範囲で食堂へと向かう。


「み、ミネコさん!?」


 なんとかという言葉がぴったりなほど、なんとか階段を下りて一番近くの椅子に腰を掛けると、普段とはまるで違う様子の私にびっくりしたのか、メイランちゃんが驚きの声を上げた。


「気にしないで。昨日、引っ越しの準備で無茶しすぎて、その反動が今来ているだけだから」

「そ、そうなんですね……お大事にしてください」


 ありがとね。それだけ返すと、メイランちゃんは、朝ごはんをお盆にのせて持ってきてくれた。

 それをぺろりと平らげると、のそのそと動き、自室に戻り、もう一度ベッドに身体をうずめる。

 このまま寝てしまいそうだけど、今日、なにかやらないといけないことってあったかな。なんて、まだ起ききっていない頭をフル回転させる。

 ……今日やらないといけないことはないはず。新居のインテリアは整えたし、最後だったベッドも設置した。ここに置いていたアイテムも全部新居にもっていった。

 ということは、もうやることなしだな。あとは、身体を新居に移すだけか。

 なら、今日も動ける範囲で練習していこうかな。

 たぶん、筋肉痛は3日くらい取れないだろうけど、だからといって、ここでまた休むと、また身体が言うことを聞いてくれなくなるだろう。

 あとそれと、そろそろルーイさんに活動届を出しておかないと。目安は1週間後だけど、そろそろ調整しておきたいしね。

 ということは、今日の予定は、貿易ギルドに行って活動届を出しに行くのと、練習だな。

 そう思うと、おもむろに起き上がって、貿易ギルドに向かうことにする。

 活動届にはまだ何も書いていないけど、ギルドに行ってから書けばいいやと思ってのこと。まぁ、本来なら、書いてから行くのが筋とはわかっているんだけどね。何も書くものを持っていなかったら、どうしようもないよね。

 とりあえず、筋肉痛で痛む腰をかばいながら歩いていると、やっぱり時間がかかってしまってしょうがない。いつもなら15分くらいでさっと来られるのに、今日に関しては倍の30分もかけてようやくギルドにたどり着いた。


「み、ミネコさん、どうかされたんですか?」


 受付にいるルーイさんは、今までに見たことのない動きでギルドに入ってきた私を見てびっくりしている。

 ごめんね。びっくりさせるつもりじゃなかったんだけど、筋肉痛だとこうなるのよ。そんなことを思いながらも、ルーイさんにこうなった経緯を説明。

冒頭、ミネコの夢からスタートしました。

どうやら、ハロウィンパーティをしていたみたいですね。

懐かしいと感じた理由は、またどこかで……。

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