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転生させられたアイドルは異世界の波に揉まれて生きていきます  作者: 黒龍
転移

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46:外での練習

 正直に言って、こんなことをするのは、前の世界ではできなかった。ひとり暮らしだったけど、ワンルームで、ベッドなんて端っこに置くだけ。生活するスペースよりも、振り付け練習できる環境が欲しかったというのも一つで、これだけ広い家で生活できるなんて夢みたい。

 あとは、家から市場までが遠いというデメリットもどうにかなれば、私もこの世界で生き続けていいかもしれない。なんて思ってしまった。


 さて。やることはやったし、もう少しだけ踊ってから涼んでメイランちゃんの宿に戻ろうかな。

 そんなことを思うと、ゆったりとした曲を流して踊りだし、3曲ほど踊った後、演出のことについて考えてみる。

 アイドルとしてライブ活動をしていたときは、ライブハウスの音響さん頼りで、私が何かすることは何一つなかった。

 だけど、ここだと、音響も自分でどうにかしないといけないし、曲によっては、照明の演出がないと、盛り上がらない曲だってある。

 こうなったら、ちょっとでも、魔法を使って派手な演出をしてみる?

 なんて考えるけど、私にそんなことができるのかな。

 振り付けと歌で必死なのに、魔法の制御なんて。それに、魔法の制御をミスすれば、絶対になにかしらの被害が出るような気もしている。特に炎系の魔法を使った演出は特に……。

 となると、やっぱり、ストリートライバーみたいに、なにも演出がない状態で歌うしかないのか?それはそれで少し寂しいけど、そうするしかないならしょうがないよね。

 でも、一度だけ試してみるか。

 なんだか、いろいろ考えたい気もするけど、一番は、炎魔法で周りが炎上しないことと、水魔法を解除したときに、周りに流れ出さないか。ってところよね。

 とりあえず、外に出てやってみるか。

 曲は、ライブでもカバーをしているハイアスさんの〈最終論争〉で、イメージは炎のライオン、水の蛇。ラストサビまでは戦わせて、ラストサビで水の剣、炎の後光というような感じにしたいなぁ。っと思っている。

 それを一度試しにやってみるか。

 ……炎のライオンと、水の蛇。両方の魔法を同時に使おうとすると、難しいな。

 イメージするだけでいいと思っていたけど、こりゃ、いろいろと策を練らないといけなさそうだ。

 とりあえず、炎のライオンだけでも、動きは完璧にしたいかな。広場の草が燃えないように練習したいし。


 そこから集中していろいろと練習をしていた私。気が付くと、周りが暗くなっていて、すっかり陽が落ちていることに気づいた。

 さすがに、これ以上やると、私もつかれるだろうし、一番大事なことは、メイランちゃんに「夕方には戻る」と伝えていること。

 その夕方もすっかりと過ぎていて、なんなら、もう夜。

 夕食も準備してくれているだろうし、心配させるわけにはいかないと思い、あわててメイランちゃんの宿に戻る。


「あっ、ミネコさん、おかえりなさい。夕食の準備できてますよ、いかがされます?ちなみに、今、お風呂は少し混んでます」


 戻ると同時に、メイランちゃんが声をかけてきてくれて、今の状況を伝えられる。


「それじゃあ、ご飯をもらおうかな。ちょっといろいろしてたら遅くなっちゃった。ごめんね」

「大丈夫ですよ。それより、ミネコさん、延長はされないんですか?明後日で予約は終わりになりますけど」


 そういえば、もうそんなタイミングだったな。というのをすっかりと忘れていた。そして、メイランちゃんに伝えることも忘れていた。


「あっと、そのことなんだけど、ブルーウルフを倒したお金も入ったし、家を借りたのよ。で、ここ数日は、引っ越しっていうわけじゃないけど、その家に必要なものを買い集めたり、掃除をしていたのよ。だから、なんていうか、さみしいんだけど、延長の話はなしでお願いしていい?」

「そうなんですね。ちょっと寂しいです。家ってどのあたりなんですか?」

「う~んとね。ここから30分ほど歩いた西の門の近くかな」

「そうなんですね。ちょっとここから遠いんですね。でも、なんだか、不思議とさみしい気持ちと楽しみな気持ちがありますね」


 さみしい顔をしているな。と思っていたところから急に顔が少しだけ明るくなった。何をそんなに楽しみなところがあるんだろう……。


「どうしてそんなに楽しみなの?」

「だって、ミネコさんのおうち、想像でしかないんですけど、おしゃれそうで、なんとなく、お姫様になれそうというか、最初にこの宿に来た時に持っていたドレスがすごくきれいで、そんなドレスを持っているなら、きっとすごいおうちに住むんだろうなって思ってるんです」


 なんというか、すごくキラキラした目で私を見ているけど、私が借りたのは、あまり広くはない家だよ。なんて言えず、キラキラした目で去っていくメイランちゃんを止めることができなかった。

 そして、メイランちゃんは、少しうっとりした表情で仕事をしているようで、たまに、奥の方から「目を覚ましなさいよ~」とメイランちゃんのお母さんの声が聞こえてきた。

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