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39:オーバーキル

「ただ、奥にいるレッドウルフ。群れの中でも一番大きいね。ちょっとばかし気を付けないといけないと思うよ」

「ご忠告どうも。とりあえず、私たちはスタイルを変えずに倒し切るだけだから」

「なんだか、ミネコらしいね。まぁ、そのほうが私のテンションも狂わずに済むからありがたいけどね」

「褒めてるんだか、褒めてないんだか。とりあえず、ラストスパートに近いのは確かだね。まぁ、私たちのスタイルは変えずに行くけどね」

「そうでなくちゃ」


 なぜかウェルメンさんはノリノリ。だけど、そっちの方がありがたいかな。

 ブルーウルフが出てきたときはかなり焦っていたし、冷静さを欠いていたのもあったし。


 そこから変わらず、ウェルメンさんが氷の矢でウルフの足元に冷気を放ち、私の水の矢で足を凍らせ身動きをできなくさせ、そこから私のアクアボールで溺死させる。

 そんなやり方で次々にウルフを倒していき、ラスト1体大玉との戦い。


「丸々と太ってるね~。ボスなのか何なのかわからないけど、ほかのウルフの食料さえ横取りしてそう~」

「なんとも軽い感想ね。でも、あれだけ大きいと、今までのやり方は通用しなさそうだね」

「すまない。助かったよ。というか、2人であれだけのウルフを討伐したのか?」

「私とミネコは息がぴったりだからね。まぁ、私がサポート役に徹していたからっていうのもあるかもしれないけどね。ところで、ミネコ、この人たちは?」


 そうだった。戦いに集中しすぎて、ロイドさんたちのことを忘れていたよ。


「えっと、レッドウルフを倒したことのあるパーティとして今回のクエスト?に招集されたロイドさんとチェイスさんとウォルトさん。3人のパーティらしいよ。で、こっちが、ウェルメンさん。氷の魔法を使うんだっけ?で、単独で動くことのほうが多い冒険者ね」


 私が互いを紹介すると、双方ともに、軽く会釈をするだけで、様子をうかがっているようだった。


「それにしても、2人が討伐するウルフ、今にも生き返りそうだね。これで死んでいるんだから、不思議なものだよ。これだけきれいだと、ギルドでの買取も高いだろうね」

「そうね。私はレッドウルフを1匹金貨10枚で買い取ってもらえたわ。これも、ミネコのおかげね。まぁ、その買取りのせいで、このクエストに参加させられているわけだけど」

「金貨10枚か。俺たちの倒したウルフはそうもいかないだろうな。自分たちで解体しても金貨6枚がいいところじゃないかな。やっぱり、傷つけずに倒すと、評価が高いんだろうけど、さすがに、それはできないな。俺もウォルトも魔法が使えないからさ」

「それじゃあ、ミネコさん、このウルフたちをギルドに持っていったら、大金持ちじゃないですか。ひとりで30匹近いウルフを討伐したんでしょ?いいなぁ。私もそれくらいの力が欲しいよ」


 チェイスさんがうらやましそうに言うと、ボスウルフが「俺を無視するな」と言わんばかりの唸り声を上げた。


「さて。そのウルフはミネコさんに譲るよ。ここまで活躍してきたんだから、最後くらい手柄を奪うわけにはいかないさ」


 何という漢気。メイランちゃんも言っていたけど、この世界の冒険者って、獲物を自分のものにするために、自ら突っ込んでいくことが多いんだけど、ロイドさんたちはそんな様子が何一つない。というか、欲がないのか?私も大してあるわけじゃないけど。

 とりあえず、エンジンはまだフルスロットルじゃなさそうだし、先制攻撃を仕掛けてそうそうの陥落させますか。


「ウェルメンさん、同じやり方で片足ずつお願い」

「そういうと思った。私、このやり方しか知らないし。アイスアロー!」

「私もこのやり方しか知らないよ。だって、まだこの街に来て1週間なんだから。アクアアロー!」


 私が指示したのは、両足を封じること。それだけでウルフの動きは完全に封じ込めることができるだろうし、なにより、図体がでかいから、1回の攻撃だけだと、無理やり氷を割ってくるかもしれないと思ったから。

 そういうリスクマネジメントはちゃんとできているんだからね。一応、わからないなりに。


 ……よし。かかった。

 私とウェルメンさんの技がぶち当たり、ウルフは前足を凍らされ、前進することができなくなる。そこに、私の水球に包み込まれ、溺死させようとする。

 まぁ、もちろん、簡単に倒れてくれるわけもなく、凍って動かない足以外をじたばたさせてなんとか水球から逃れようとするけど、行動範囲が限られているウルフは、そんな抵抗もむなしく、息を引き取り、動かなくなってしまった。

 ……さすがにウェルメンさんの氷の強度がすごくて、地面からウルフを離すことができなかったから、ウェルメンさんが合流した後からは、じたばたしなくなってから水球に数分閉じ込めることで、確実に息の根を止めていった。

 もちろん、このウルフもその対象になるわけで、確実に息の根を止めたいから、静かになってから数分間は水の中に閉じ込めっぱなし。

 まぁ、その前に、肺が水でいっぱいになっているだろうから、空気の入り込む余地はないと思うんだけどね。


「相変わらずこう見ると、ミネコは惨いことをするよね。死んでるっていうのに、まだ水の中に閉じ込めてオーバーキルを誘うって」

「こうでもしないと、もし生き返ったときが怖いからね。これくらいしても罰は当たらないでしょ」

「そういう問題じゃないと思うんだけどねぇ。まぁ、とりあえず、あのウルフが最後なのかしら?それなら、早く回収してギルドに戻りましょう。気味の悪い森の中に長時間いたくないわ」


 暗い森にたたずんでいる魔女というような雰囲気を持つウェルメンさんだけど、こういうところは苦手みたいね。まぁ、私の勝手な第一印象だから、無視してもらっていいんだけど。


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