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37:共闘

「やっと半分って言ったところか?それ以上にも見えるけど」

「そうね。まだまだ先は長そうね。ミネコさん、悪いけど、回復させてもらえないかしら?」


 チェイスさんが息を切らしながら私に訴えかけてくる。もちろん、拒否する理由なんてない。それより、ここで倒れられるほうが危険だ。


「承知!待っててよ。このウルフだけ倒しきっちゃいたいから」


 そう言って、水球の中で暴れるウルフに空気を吸わせないように気を付けながら、溺死させる。死んでいるかどうかの確認方法は、高いところから落とすことくらいしかわからない。それで、立ち上がるならもう一度やるだけだし、ぐったりして動かなくなれば、それで終わりでいいって考えている。

 そして、今対処しているウルフも、高いところから落としてみても、ピクリと動きもしない。

 毎度高いところから落とすことが一時的にウルフの怯みにつながっているようで、その隙に、水の壁を作り上げる。


「アクアウォール!」


 さっきと同じ棘だらけの壁が出てきて、これでさっきと同様、ウルフの動きをけん制。

 先頭列にいたウルフは倒れているから、この壁を初めて見るウルフもいることだろうけど、学習能力が高いのか、突進など自傷行為を働いてこない。

 こうもなると、けん制ばかりで動きがなくなり、チェイスさんたちが回復のために、集まる。


「駄目よ。多すぎるわ。もっと冒険者に来てもらわないと」

「それまでの辛抱ってところだろうな。ミネコさん、あんたはどんだけ持つんだ?」


 2人の会話から私に飛び火してくるけど、私とすれば、まだまだいけるっていうくらい。

 疲労も感じていなければ、魔法力が削られているという感覚もまだない。


「わからないけど、疲れてきたと感じたら途中でも退散させてもらうわ。まぁ、理想は全部倒し切ってから退散することだけど」

「そういうタイプの冒険者か。了解。一応、僕たちも手助けはするつもりでいるよ。まぁ、そこまで体力が残っているかわからないけどね」


 まぁ、お互いさまってところだろうな。

 さて。私としても、一息つけたから、多少は余裕が出てきたかな。これでもう少し倒せたら、援軍を待ってもいいかもしれない。まだ終わりが見えない数を、4人2グループでやっていくのはちょっときついよ。

 そんなことを思いながら、3人が回復する姿を見つめ、そのすぐあとに、ウルフたちの様子を見る。

 ……相変わらず唸り声を上げるし、目が血走ってるねぇ。なんというか、何かを守っている感じ。でも、その守っているものを私たちは知らないから、私たちからすれば、迫りくる恐怖に対抗しているっていうような感じ。

 さて。ウォルトさんもロイドさんも回復はできたみたいね。で、あとは、見た感じ自分で回復ができないチェイスさんが小瓶の中身を飲んで回復しているって感じかな。

 それじゃあ、リスタートまでのカウントダウンってところかな。

 この壁を壊した後、そんなことを言っている余裕はないんだけどね。


「本当に済まない。こんなことで何度も回復の時間を取ってもらって」

「それが一番最適になるんだから仕方いと私は思うよ。それに、私だって、間違った判断でけがはさせたくない。それだけは一緒なんじゃない?」

「あぁ、そうだな。恩に着るよ」

「さ~て。第3ラウンドだね。何ラウンドあるかわからないけど、行けるところまで行くよ。とりあえず、明るいうちにできるだけ狩っておきたいね」

「同感だ。夜になると、ただでさえ暗いこの森に、毛皮が暗闇とさらに同化してわからなくなるからな」


 正直、そこなんだよな。それさえどうにかできれば、あとは早いんだけど。

 そんなことを思いながら、右手に水球を用意し、少しずつ大きく作る。

 イメージはこの壁を崩した瞬間に水球を投げ込み、ウルフの動きを少しでも封じ込めること。


「相変わらず、レッドウルフの毛皮が固いこと。さっきまではミドルウルフだったからマシだったものの、もっと強く傷つけないと、攻撃が跳ね返されるな」

「増力魔法を解禁する?」

「そこまでじゃなくていいだろう。まだ何とかなる。ブルーウルフのために取っておきたい」

「了解。それじゃあ、わたしはもうちょっと後方支援しているね」

「あぁ、頼む」


 チームプレイらしいなあ。なんて聞きながら思う。私は、自分にシールドを張って、水魔法で遠くから溺死させているだけなのに。

 ほとんど動いていないから体力的な問題は何一つない。あとは、このシールドと水球がいつまでもつかってところ。あと、魔法の力が尽きたらどうなるのかってところかな。

 今のところはまだまだ元気だけど、終わりが見えない分、どうなるかわからない。


「……後ろから?」


 チェイスさんが何かを感じ取ったようで、後ろをふと振り返った。


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