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31:インテリア

「とりあえず、契約書の効力を発揮させるために、もう一度ギルドに戻りましょうか」

「あれ?さっき親指を押し付けたので契約したんじゃないんですか?」

「あれは仮契約よ。そうしておかないと、ほかの人にとられちゃってトラブルになることもあるしね。それに、契約者の名前は書いてあっても、担当者の名前を特別なペンで途中までしか書いてないから、まだ契約は締結してないわ。内覧してもらって、やっぱりやめるって言われたら、特別なペンで消すだけだし。まぁ、そうすると、私たちの実績が下がっちゃうから、やる人は少ないんだけどね」


 それにしても、彼女はよくしゃべる。私がひとつ質問するだけで3つや4つも返ってくる。

 こういうセールストークが上手なんだろうな。なんて思いながら彼女の話を聞き流し、ギルドに戻ってきた。


「さ~て、最後の締結ね。内覧してもらったけど、あの場所で締結しちゃって大丈夫?もちろん、今をもって破棄することもできるわ。私の成績なんて気にしなくていいし、即決なんてもってのほかだし」


 彼女はそう言っているけど、私の心は決まっている。


「ええ。あそこで大丈夫です。契約成立で」

「いいの!?そんなに即決しちゃって。むしろ、ランク上がってからでも物件を選ぶところは増えるけど」

「いいんです。私のランクが上がるのを待てば、何年たっても足りないかもしれないですよ。私は、静かなところで、自分の仕事ができる環境を整えればいいんです。その環境の一つに、あの家の周辺にだれもいないということが決めた大きな理由です。でも、これでようやくいろいろ進みそうです。ありがとうございます」

「ミネコさんがそういうなら、いいのかもね。また何かあったら言ってね。いつでも相談に乗るし、引っ越したくなったらすぐに物件も探してあげるし」


 そう言うと、カトレアさんは、ギルドの奥へと姿を消した。


 とりあえず、お昼時だなぁ。屋台で買い食いしてから家に行って掃除をしようか。で、メイランちゃんの宿に戻って残っている日数を過ごしてから、あの家に行こうか。

 そんなことを思いながら、貿易ギルドを出て、屋台の広場に向かう。

 最近、お肉ばっかり食べているからなぁ。動いているとはいえ、こんなにお肉ばかり食べていると、活動に影響が出てきそうだけど、やっぱり、ないのよね~。ヘルシーな屋台が。

 それに、ずっとパンとお肉だけだとさすがに飽きてくる。そろそろ白ご飯とか魚が食べたいところ。そんな贅沢を言っていいのかわからないけど、やっぱり、これだけ肉料理が続けば、魚も食べたい……。

 そんなことを思っても、肉料理にしかたどり着けず、さぁ、やっぱり、ヘルシーな鶏料理を食べるしかないのか。なんて思いながらも、銅貨3枚でおなかいっぱいにして、近くの雑貨店で掃除用具を何点か買い込み、さっき契約した家に向かう。

 これくらいの広さなら、3時間くらいあれば十分に掃除ができるかな。なんて思いながら、靴のまま2階に上がり、2階から掃除を始める。

 とはいうものの、つい最近、掃除が入ったのか、ほこりはあまりたまっておらず、キッチン回りもきれいな状態。お手洗いもさっき見忘れたお風呂もきれいな状態で、さっと雑巾がけをするだけで終わりそう。

 あとは、インテリアをそろえていって、1階のワンフロアの左手に大きな鏡が置ければ完璧なんだけどなぁ。それもあとで探しに行かないと。

 掃除を終わらせてからまた市場に戻ろうか。

 なんだか、今日は行ったり来たりだけど、暇な時間がつぶれるのは、それはそれでいい。

 あとやらないといけないことは……。ここの掃除でしょ。日用品の買い込みでしょ。貿易ギルドに活動届を出さないといけないでしょ。そんなこんなで、あっという間に2週間が過ぎそう……。

 なんとかして、早々に稼ぎを狩りから芸者に移したいんだけどなぁ。そんなのも夢のまた夢なのかな。でも、あきらめたらそこで試合終了だもんね。誰かの言葉じゃないけど。

 ただ、やっぱり、いろいろ演出とかも考えたいから、やっぱり、もう少し時間がいるかな。なんていろいろ考えちゃうよね……。


 そこから30分くらいしたのかな。一通りの掃除も終わり、また市場へと舞い戻り、鍋やフライパンを買ってアイテム袋に収納。そして、一番の悩みの種だった鏡だけど、思わぬところで見つけてしまった。

 お店自体は、あまり気にしていなかった刃物とかを扱っているお店。こんなところにあるとは思っていないけど、なぜか吸い込まれるように入ってしまった。


「へい、らっしゃい」


 店内に響く低い声。見ると、私よりも20センチほど背の低いおじさんが怪訝な顔で私を見ていた。


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