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24:集めたいもの

「はい、いらっしゃい。……おや。メイランと一緒にいた嬢ちゃんかい。あんた、この前来たとこじゃなかったか?もう袋を破ったのか?」

「その節はどうも。だけど、そんなのじゃないです。昨日、ちょっとした事情で、いろいろ魔獣を狩っていたら、アイテム袋に入らなくなっちゃって。できれば、もう少し大きな袋があればなぁ。なんて思って」

「なんじゃ。そういうことか。で、何を狩ったんじゃ?」


 あんまり人に言うことじゃないって、ウェルメンさんとロッカ、あと、ギルドのユイカさんにもくぎを刺されている。けど、多少ごまかしてもいいか。ばれないだろう。


「レッドウルフを5体ほど……」

「そんなに狩ったのか?どこでそんな」

「えっと~。南の森です。冒険者のグループが襲われているって聞いて、助けに行った時の戦果です」

「なるほどなぁ。レッドウルフ5体なら入るくらいの袋なんじゃが」

「あっと、その前に別の群れでレッドウルフを2体狩っていたんで、入らなくなっちゃって……」

「なんじゃ。そういうことか。それなら、お前さんのことはわからんけど、もう少し大きいほうがいいな。ちょっとついておいで」


 アルテーノさんは、私を手招きして呼び込むと、店の奥へと案内してくれた。

 店の奥は、品数こそ少ないものの、少し高級そうな装飾のものから、シンプルで大きな袋までいろんなタイプのアイテム袋が陳列されていた。


「そうじゃのう。さっきの話だと、レッドウルフが7匹か。嬢ちゃんの話からすると、これ以上に狩りをしそうじゃの。思い切って金貨2枚になるが、レッドウルフが15匹ほど入るアイテム袋にするか?」


 ちょっといろいろ考えちゃうな。さすがに、おしゃれなバックじゃないんだし、何枚も持つ意味はない思う。

 それに、一瞬、芸者活動のために。とか思ったけど、今持っているアイテム袋よりももっと小さくても構わない気がする。

 そう考えると、やっぱり、ひとつは大きくて、もうひとつは小さくて、さらにもうひとつは何かあったときの予備としての3枚で十分なのかもしれない。

 となってくると、やっぱり、芸能活動で使いたいアイテム袋は、ちょっとおしゃれな装飾が施されたアイテム袋が妥当だと思う。ただ、あまり華美になりすぎると、盗られるという可能性も考えなきゃいけない。

 とりあえず、いろいろ見てみて、気に入ったものを手持ちのお金と相談しながら考えるか。


「おとといも言ったかもしれないですけど、本当にピンからキリなんですね。しかも、きれいな装飾までついて」

「装飾はそう滅多に見られるものではないからな。装飾をした袋を持っているのは、たいてい貴族か位の高いものじゃな。商人でも昔から商売をしているやつは家紋を施したりしているな」


 なるほどね。一般の人にはなかなかできる品物ではないということか。

 それなら、なおのこと目立つことはしたくない。ということは、シンプルなものが一番か。


「それじゃあ、アルテーノさんが言った15匹入るアイテム袋と、あとは、服が4着ほど入るアイテム袋も欲しいんですけど……」

「おぉ、そうかい。まぁ、魔獣の血で汚れることもあるもんな。ちょっと待っとれ。お前さんにあうと思うやつを探してくるよ」


 アルテーノさんはそういうと、店頭へと姿を消し、少ししてから戻ってきた。


「お前さんならこれくらいかの」


 そう言って差し出してきたのは、白い布地に白いバラが刺繍されたアイテム袋。


「ちゃんと服が4着と、着替えができる仕切りが入るようになっている。それくらいなら、お前さんも魔獣駆除に迷わなくて済むじゃろう」


 あっと、そういえばアルテーノさんには言ってなかったな。

 本業は芸者だということを。

 それに、私がウルフの話ばかりをしているから、あの話し方と言い、表情と言い、私のことを確実に冒険者だと思っている。

 まぁ、まだ活動前だし、身分は明かさなくていいかな。着替えるための仕切りがあるのに越したことはないし。


「ありがとうございます。それじゃあ、その2つを買わせてください。おいくらですか?」

「全部で金貨2枚と銀貨5枚じゃな」


 いわれたとおりに金貨と銀貨をアルテーノさんに渡して、引き換えにアイテム袋を2着もらい、私は店を後にする。

 時間もちょうどお昼時だし、屋台で何か買い食いして、ちょっと運動がてら散歩して、活動に必要なものを集めていきましょうか。

 とは言っても、頭で思い浮かんでいるほしいものがこの世になさすぎる。

 ヘアアイロンも欲しいし、整髪料も欲しい。それがこの世にない。

 みんなどうやってヘアスタイルを決めているんだろう。とはいっても、なんだかみんな、ストレートで伸ばしっぱなしっていう人が多いんだよね。あと、いうなら、天然パーマのおばさんもいるし、みんな自然体って感じ。

 日用品を売っているところを回ったりしているけど、鍋だったり、食器だったり、身なりのことはまるで気にしてないといわんばかりのラインナップ。

 これを見ると、お店を間違えたかななんて思ったりするけど、どんなお店を回っても、同じようなものしか置いていなくて、ショックを覚えたのも記憶に新しい。

 最悪、ヘアアイロンは炎魔法を使って代用品はできるけど、整髪料に関しては、どうにもならなさそう。となってくると、ヘアゴムが欲しいところにはなってくるけど、それすらも見つからないし、ちらほらつけている人がいるネックレスのひもも、ゴムじゃないみたいで金属製のものだったり、木の皮?みたいなものをつけているひともいるくらい。

 いろいろ見ては落ち込むたびに、私、この世界でやっていけるのかな。なんて思ってしまう。

 そんな思いも、ミニチュアウルフの肉を焼いた串を食べて忘れさせるんだけどね。


 昼からもいろんなお店を回って、活動に必要なものが売ってないか確認するだけで、やっぱり、確認するだけ無駄というか、何一つそろわずまた宿に帰ってきた。


~御礼~

総PV1000超えました。

日頃からご愛読頂きましてありがとうございます。

これから続くお話を楽しみにしていただければと思います。

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