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19:厄介な相手

 ロッカとアーシャが突っ込んで引き返してくると、ついてきたのは5匹と聞いていたうちの2匹。

 正直、これ以上釣れなくてよかったっていうのが本音。

 これ以上釣れてしまうと、1匹ずつしか攻撃できない私たちからすると致命的だ。


「ウェルメンさん、右のウルフをお願いします。私は左から溺れさせます」


 私が言うと、ウェルメンさんとキルシュちゃんは、不思議そうな顔をしたけど、今はそんなことを気にしている余裕がなくなってくる。

 それをわかっているのか、ウェルメンさんは「アイスアロー!」と言って技を繰り出した。

 私もほとんど同じタイミングで「アクアボール!」と唱え、左前から襲ってくるウルフを水魔法で包み込む。


 もちろん、水魔法の中に空気なんてあるわけがなく、5分ほど暴れられたが、それほど暴れると、窒息して動かなくなる。陽が出ているタイミングでもやっていたことだ。

 さぁて、1匹は討伐完了。残すはもう1匹。これも同じようにやっちゃおう。


「ウェルメンさん、片方は討伐したから、もう1匹もらいます。あと、できるんだったら、もう1匹をこっちに誘導してほしいです」

「もう?わかったわ。ロッカ!アーシャ!こっちに1匹くれ!こっちで楽にする!」


 ウェルメンさんの声が届いたのか、ロッカとアーシャは少しばかり相談して、アーシャがこっちに向かって走ってくるのが見えた。

 もちろん、もう1匹引き連れたうえで。


「さぁてと。あの毛皮、きれいだし、絨毯にしたいな。燃やし尽くそうと思ったけど、気が変わった。こっちもアクアボール!」


 ウェルメンさんの攻撃で多少、ダメージは入っていると思うけど、その分興奮している。

 包まれた水の中でまぁ、暴れること。

 その分、息絶えるまでの時間は短かったものの、前足が空中に出てきたときはさすがに焦った。

 魔法が解かれて、壊れなかったからよかったとほっとしている。


「案外余裕そうね」

「水球で包んでしまえば、あとは破られないように注意するだけですから。それにしても、うまく行きすぎて怖いくらい」

「それは同感ね。ただ、嫌な予感がするわ。油断なんてしていないと思うけど、気を付けて」


 私も、何か少し嫌な予感がふつふつと感じている。


「嬢ちゃん!こっちはもう討伐を終わらせたぞ!そっちを手伝おうか!?」


 どうやら、無事に2匹を倒し終えたみたい。それなら、あとは個人技でこのミッションを終わらせようよ。


「アクアボール!」

「ロッカ!アーシャ!嫌な予感がするから、早く要救助者をこっちに連れてきて!」


 私が技を炸裂させているうちにウェルメンさんがロッカたちを呼ぶ。

 何か慌てているのは気のせいだと思いたいけど、ウェルメンさんが少し焦りの声を出していた。

 少しこれ以上に警戒したほうがいいかもしれないな。

 少し気が変わった。燃やし尽くして時短を図ろう。


「キャンセル!ファイヤーボール!」


 少しばかり浮いていたウルフはかなり苦しんでいたが、久しぶりに呼吸ができたのか、かなり衰弱して立ち上がることができず横たわっていた。

 そこにちょうど私が放ったファイヤーボールが炸裂する。


「すごい火力……」


 小さくつぶやいて私の後ろで裾をぎゅっと掴むキルシュちゃん。


「大丈夫だよ。心配しなくていいから。とりあえず、もう少し火力を上げて……。そいや!」


 時短のためにもっと火力を上げ、真っ黒に焦がすためにもっと火力を上げる。

 まぁ、そんなに時間はいらないよね。

 思った以上に燃えすぎて、周りが少し焦げてしまったのが唯一ミスった点かな。だけど、これで問題なし。あとは、回収してここから逃げよう。


「キルシュちゃん、回復してあげてね。私は少しあのウルフたちを回収してくるね」


 そういって、キルシュちゃんをウェルメンさんに任せ、私は自分で倒したウルフの回収に向かう。

 とりあえず、黒焦げのウルフからだな。せっかく絨毯にできるって聞いたから、狩って絨毯にしたかったんだけどな。なんて思いながらアイテム袋に身体の一部をかぶせ、収納する。

 そして、3体の回収が終わったところで、森がざわつくような吠える声が聞こえた。


「嬢ちゃん!早くこっちにこい!ずらかるぞ!」


 ロッカがかなり慌てている。状況はまずいようだ。ここは言葉に従おう。

 直感的にそう思うと、私は一目散に走りだす。


「クソっ。間に合わねぇかも知んねぇ。アーシャ、戦う余裕はあるか?」

「あぁ。もちろんだぜ。ついでに言うなら死ぬ覚悟すらできてるよ」

「そりゃ、心強い。最期がアイツなら、死も割り切れるってもんよ」


 アイツっていうのはなんだろうか。少し気になるだろうけど、相手にしちゃいけない気がする。


「ミネコ、あなたも死を覚悟した方がいいわよ。この声はおそらく、上位種のブルーウルフ。私たちで勝てたら奇跡よ」


 なるほどね。いち早く立ち去りたかったのはそういうことか。こりゃ、私も覚悟を決めなきゃいけないかもね。この世界に来てまだ4日だけど。


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