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最終話

長編作品の合間に書いてます。

完結しました。

最後まで読んで頂けると幸いです。


ライランと呼ばれる謎の青年。

彼に無理矢理攫われたシオラ。


そうして向かっていたのは、この国で一番高い塔であった。

そう、あの時計塔だ。


「あれ? 何でここに?」


ライランは不思議に思った。

それはシオラが軌道を変え、ここへと導いていたからだ。


(エル様… お願い… )


シオラは祈った。


その塔へ降り立つと、突然雨が降り出した。


そう必然である。


そして、瞬く間に馬は跡形もなく消えた。


「あーぁ消えちゃった。そうか… 水に弱いんだね」


ライランのその言葉に、シオラは無言のまま遠くを見つめていた。


「少し… 雨宿りしようか? あぁ無理矢理連れてきちゃったから、少し服が破れちゃったね… ごめんね」


シオラはその破れた服の隙間から見える肌を、サッと隠した。


しばらくすると、追いかけてきたエル達が塔の方へと近づくのが見えた。


「ん? あれ? 追いつかれちゃったね! 雨、止まないかな? どうしよっか?」


問いかけているかのように呟くライラン。


エル達の動向を目で追っていると、ライランは嫌な笑みを浮かべた。


彼らはもうひとつの塔へと、入って行ってしまったのだ。


「あれ? あれれぇ? ふふ、間違えてるね! 全員違う方の塔に行っちゃったよ?」


そう嘲笑うライランは、更に喜びが湧き上がった。


空から雫が止み、光が差してきたのだ。


「あ、雨が上がったね! はぁ… 何て運の悪い人達なんだろう。ね! シオ… ラ?」


そう言いながら振り向いたライランは、首を傾げた。


シオラは開いていた窓際の縁に、半分その身を乗り出していたのだ。


そして、次の瞬間ニヤリと笑うと、そのまま飛び降りた。


その国で一番高い塔から。


「なっ!!」


慌てたライランは、すぐに彼女の身を確認しようと窓の方へと駆け寄り、飛び降りた方を見た。


しかし、その姿はどこにもない。


塔が高すぎて下に落ちたシオラが見えないだけか。

そう思った。


しかし、そうではなかった。


シオラはその身を、自身の描いた絵に任せていたのだ。


大きな鳥の背中に乗る彼女は、冷たい目をライランへと向けていた。


その姿に驚愕するライラン。


「な、何故? 筆はここにある… 描く物なんてないはず!」


そう、彼の言う通り、その場には筆もなければキャンパスもない。


しかし、首にあるはずの物もなかった。


シオラはエルからもらったネックレスを引きちぎり、自身の手に描いていたのだ。


その手には少し血が滲んでいた。


(エル様ごめんなさい… 後でミレーさんに直してもらえるかしら?)


そして、その口からは衝撃的な一言が飛び出た。


「あ、あとその塔ももうすぐ消えるから」


「え?」


「さようなら」


シオラがそう言い放つ言葉に、怪訝な顔をしたままでいるライラン。


しかしその瞬間、自身の身体が浮いた感覚に襲われた。


それと共に、周りの景色が突如変わる。


コンクリートばりの景色ではなく、王宮内の広大な敷地が見える。


正面だけではなく360度だ。


横には同じような時計塔が、目に映った。


その窓からエル達がこちらを見ていた。


(え? 何だ? 外に這い出されたか?)


シオラは大きな鳥に乗ったまま、相変わらず目の前にいた。


そしてほくそ笑んだ。


そう全ては彼女の狙い通りであったのだ。


うまくいくかどうかは別として、とにかく進めていた。


シオラが連れ去られたあの時、翼のある馬からある物を落としていた。


それはスカートの裾を破った布切れだった。


そこにシオラは書いていたのだ。


近くに転がっていた石で、削るように書いていた。


(いきなり ’とうのえ、けし、あめくる’ って… わかりにく過ぎる。それにもし俺が無視して、シオラの方を優先させてたらどうしてたんだ? まさかあの塔が ’絵’ だったとは… )


エルは事の成り行きを、ここに来てやっと理解した。


そしてその手には、描かれていた絵を拭ったであろう布があった。


そして、ライランはそのまま真っ逆さまに地上へと落ちていく。


塔から見ていた物達は息を呑んだ。


目を瞑る者もいた。


しかし、シオラはそんな残酷な結末にはしない。


勢いよく近づきライランのその身が滅びる前に、その身体を描いた鳥に乗せたのだ。


そして力が抜けたその手から、緑色の筆を手に取った。


「もーらいっ!」


地上に無事降り立ち、その鳥の額をひと撫ですると、シオラは口を開いた。


「あなたにはできないわ。この世界を素敵にするなんて… そんな薄汚い色の心じゃ出来ない! 無理無理無理! だから… 私に任せて… 」


「ははっ… はははは… 敵わないなぁ… 最強の魔女だ。魔女にして絵師か… その絵師の言うことは、必ず叶う… その通りだった」


少し遅れて、王宮の護衛達が駆け寄ってきた。


彼らはその大きな鳥に少し驚きながらも、ライランを拘束した。


その無抵抗な彼を抑えるのは、容易であった。


「シオラッ!」


エルは勢いよく駆け寄ると、そのまま力強くシオラを抱きしめた。


苦しいだろうが痛いだろうが、その腕を緩めなかった。


「うぐっ… ぐ… る… 」


案の定、苦しかった。


「何ともないかっ!? シオラッ!? 怪我はさせられっ… 」


エルは、シオラの身体を確かめるように見た。


そこで気が付いた。


その手に何かを描いた様に、血が滲んでいるのを。


「あ、エ、エル様… すいません。描く物がなくて、大切なネックレスちぎってしまいました。ごめ… 」


シオラは言葉を止めた。


そしてその目の前にある、美しくも不安な表情から、涙が流れ落ちるものを見てしまったからだ。


「エ… ル様?」


シオラは、その雫を優しく拭った。


「シオラ… こんな痛い思いをさせてすまなかった… 」


「あ、でもこれは自分でやったので、自業自得と言いますか… 」


「違うんだ… こんな事をさせてしまうところまで、追い込ませた… 傷が残らなければいいが… 守れなくてすまない」


「エル様? 何言っちゃてるんですか? 私はそんなに弱くもないし、老けてもないですよ? この傷だって、すぐに再生するだろうし、守ってもらわなくてもいいんです! むしろ私が守りますから! 何ってったって、私はこの国唯一の、魔の使い手ですよ? 最強の絵師です! この絵師の言うことは絶対なんです! だからっ… だから… 守らせて下さい。一緒に、この国を… エル様のお側でずっと… ずっとですよ?」


その強い眼差しと言葉に、エルは深く頷いた。


遠くの方で虚無状態のライランに、何やら話しかけていたフィン。


その表情は悲しそうな、それでいて悔しそうに見えた。


「それにしてもライランって人… フィン様のお知り合いだったんですね?」


「あぁ、フィン… というかその兄の友人だな」


「フィン様のお兄様? … って隣国の殿下って事ですよね? え? 確か戻って来ないって… まさか死ん… 」


「いや… 生きている。この国で… 彼は… いや、彼女は楽しそうに過ごしている… 」


「ん? 彼女? それって… ま… さか… え? でも… そんな」


「あぁ、そのまさかだ。まさか過ぎる。俺も最近知ったんだ。ミレーダムがフィンの兄で… 隣国の第三王子だったなんて… 」


「え… えぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」


シオラはここ一番驚いた。


自身が魔女の末裔だと聞いた時よりの何百倍も驚き、腰を抜かした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして王宮に帰ると、先程までの出来事を事細かに国王陛下に報告したエル。


傷の手当てと身を清めたシオラが、エルの自室でまったりと座っていた。


いつもと変わらないその姿に、安心するエル。


密着するように、その隣に身を寄せた。


「シオラが描いた絵は、雨などの水に濡れると消えるんだよな?」


「はい、そうですよ」


「あの時、よく雨が降るタイミングがわかったな?」


「ふふ、エル様が仰ったんですよ? あのお屋敷で仕えている時に、空も読めないのか? って。それから私、頑張って空模様を読めるようにしたんですから」


「ふふっそうか。では何故、あの時計塔の絵は、長年雨や雪に晒されても消えないで建っていたんだ? 誰しもが絵だと気が付かない程に」


「私も最近気が付いたんですよ! あの絵はおそらく血で描いた物だったんです」


「え? 血でか!? 何でわざわざ血で? 幼い娘が痛い思いまでして普通描くか?」


「痛い思いはしてなかったかと思います。むしろ美味しい思いを… 」


「ん?」


「少し思い出したんです。私、あの時、大量にチョコレートを描いて食べてました! 子供ながらの欲ですね! 普通なら味もしないだろうし、口に入った瞬間、絵の効能は消えます。でも私の頭は幸せいっぱいだったんでしょう!」


「ん? それと塔の絵と何か関係があるのか?」


「あ、話が逸れてしまってすいません! チョコレートですよ! エル様! 食べ過ぎて鼻血を出しました! へへ。なのであの絵はその血で… 」


(え!? 鼻血であの絵を描いたのか!? ぶっ飛んでるな… )


そう、彼女の思考は誰にもわからない。


「ふっふふふ、そう言うことか… シオラらしいな」


「へへ、で、その血で描いた絵は、水に濡れても消えないようなんです。その絵自体を消さない限りは。だから、今日描いたあの大きな子も、この傷が癒えれば自然と消えちゃいますね。ちょっぴり寂しいですけど」


「なら、また描けばいい。たくさん。その女神の筆とやらもこの国で守っていけばいい。それにペティに詳しく聞いたところ、シオラが絵を描くことによって、その命が削られると言うこともないらしいしな。身体に影響はないようだ。だから安心して描けばいい。シオラを狙う者がいれば、もちろん命を張ってでも守る。その… 力を受け継ぐ子供… もな」


エルは、段々と顔が赤くなりながらも言葉を出した。


シオラは嬉しさと愛おしさのあまり、エルに抱きついた。


「はいっ! エル様! 一生お守りしましょう!」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


翌日、エルの自室に行くと、フィンと工房長のミレーがいた。


「おはようございますエル様。それとフィン様に、ミ、ミレーダム殿下?」


シオラが気まずそうにそう挨拶すると、ミレーが豪快な笑いでその背中を叩いた。


彼女は自身の力の大きさを、あまり把握していない。


(痛い… )


「あら? シオラさん? 私は既に、その命を一度捨てた身。逃げたのよ? その重さにも… 身分にも。だから私はもう一国の王子ではなく、この国随一の王宮工房長、ミレーなのよ? そう一人のお・ん・な! うふふふふふ」


その仕草に、その場にいた全員の背中がざわついた。


そうある者を抜かして。


シオラだけは満面な笑みと共に、小さな涙を浮かべていたのだ。


「ソエルリード様、御手数をお掛けして申し訳ございません。うちの… いえ、私の可愛い弟が、こんなとこまで追いかけてくるなんて。全く! 私の事がどんだけ好きなのよっ!」


そう言いながら、ミレーはフィンのお尻をぎゅむっと握った。


「ひっ… ! あ、兄上!」


「それと! シオラさんに手出したら許さないわよ!」


そう言って、更にその手を強めた。


(ふふ、兄弟愛、最高ね!)


シオラの笑顔は止まらなかった。


「それにしても、ライランは何故ミレーさんを取り戻したかったんですか? あんな事までして… 」


「ふふ、それは彼が私の元… 」


「え!? 元!? 元、何なんですかっ!?」


「ふふふ… さぁっ! 私はこの後も、まだまだ仕事が残っております。この辺で… ふふ、これからが本番よ? 明日のお披露目会の後がね… 本番の式まであと3ヶ月しかないんですからっ! お2人とも覚悟して下さいね! では」


そう言いながらミレーは、フィンの腕を力強く組んでその場を後にした。


(元、何なの!? 気になる〜!)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、翌日。

2日前までの事はまるで何事もなかったかの様に、婚姻の義は無事終了した。


その後も工房長であるミレーや、5人の王女様達を筆頭に振り回されながらも、楽しく念入りな結婚式の準備が進んでいった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして、月日はあっという間に流れ、半年後。


結婚式当日の朝、シオラは空を飛んでいた。


(ヤバいぃっ! もっと早く気が付けば良かった! 空の散歩なんて、周りの目も気にせず好きな所に行けるじゃんっ! 気持ち良いし最っ高! あ、でも晴れの日限定だけどね! ハマりそう〜今度エル様やリオルも乗せてあげようっと)


そう思いながら、王宮の側にまで来たシオラ。


下の方である女性が、何やら叫んでいる。


(あ! ミレーさんだ!)


「おーいっ! ミレーさぁーん!」


「シオラ様っ! 何をしてるんですかっ! 早くお戻りになって下さいっ!」


(あれ? なんか怒ってる… ? やだなぇ怖いなぁ… でも後の方がもっと怖いから… 降りよう)


下に降りると、案の定ミレーの顔は引き攣っていた。


「シオラ様! 今日が何の日かおわかりっ!?」


腰に手を当てながら怒る彼女は、その身体も相まって非常に怖い。


「はい… 重々承知です!」


「では… 参りましょう! これから私達がとびっきりの、最高に美しい、幸せたっぷりな花嫁に仕上げてさしあげます!」


(その私 ’達’ にはお姉様達が… でも… )


「はい! あの、ミレーさん? 長い間、私達の為に尽力して頂き、ありがとうございました! 今日は最後までよろし… え!? ミレーさん!? どうしたんですか!?」


ミレーは花嫁から、感謝の言葉をもらう親の気持ちになっていた。


「ゔ… ゔぅ… 嬉しいお言葉… 」


「ちょっ! こんな所で泣かないで下さい! これからですよ!? 私ミレーさんがいないとっ… 」


「そうだったわ! こんなとこで手を止めてられないわ! さぁ行きましょう!」


そうして、凄まじい勢いの中、花嫁の準備が整った。



式の前に、婿へのお披露目が入る。


シオラはある部屋へと呼び出された。

そこにエルが待っていると。


その大きな扉から広間へと入る。


そこには大きなキャンパスがあった。


その前に白い服を来た男性。


シオラに気が付き、振り向いた。


「あぁ、シオラ… なんて美しいんだ」


シオラが照れながら、その方へと足を進めた。


「エル様… ミレーさんとお姉様方の努力の賜物です。ふふふ」


「いや、シオラが美し過ぎるんだ… 誰にも見せたくない… 早くそのベールを剥がし… 」


「おおおお… おっと? エル様? 生き急ぎすぎです。ふふ… それにしても、この絵は?」


エルは込み上げる気持ちを、グッと堪えて言った。


「あぁシオラに見せたくてな。屋敷にあった絵がやっと完成したんだ」


「あの… ずっと描いていたあの絵ですか?」


「あぁそうだ」


「あれ? でも私が見た絵と違う気が… 」


「ん? 見たのか? まさか… 」


(あ、やべっ! 無断で部屋にまた入った事が、バレちゃう… )


「はぁ… それでその絵はいつ見たんだ?」


「えっと、エル様の誕生会の前の日ですね… 忘れ物を取りに一度戻ったんです。エル様は既に、屋敷にいらっしゃらなくて… 屋敷中が真っ暗でした。その時に部屋をちょろっと… 」


「そうか… では暗がりの中で、この絵を見たと言う事だな?」


「はい… 」


「この絵は、特殊な塗料を使っている。夜と昼とでは見え方が違うんだ」


そう言うと、エルは近くのカーテンを閉め始めた。


絵の周りが暗くなる。


それによって、青緑色に光る何かが見え始めた。


「あっ… これです! 私があの時見た絵… 女の人… え? 誰?」


「シオラだ。幼い時のだがな。それを想像して、大人の姿で描いた」


「……… 」


「なんだ?」


「えーっ!? 全っ然似てないっ! 似ても似つきませんよ! 誰ですかこれっ!?」



「この絵の人の方がっ… !」 「シオラの方がっ… 」



「「え?」」



「美しい… 本物のシオラの方が、何倍も美しい… 」


そう言って、エルはシオラの唇に自身のを重ねた。


「エル様? まだ式前ですよ?」


「関係ない」


2人は微笑むと、幸せそうな顔で微笑んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして結婚式は無事執り行われ、国中が大いなる歓喜に満ち溢れていた。


その声援を送る国民の中にいた人物達が、会話を成す。


「ゼル学長… 私の頼みを聞いて下さり、ありがとうございました。こうやって2人が一緒になれたのも、あなた様のお力添えがあったおかげです」


「ふふ… いやはや、それはこっちの台詞ですぞ? さすがペティ殿。こうなるのをわかっていたのでしょう? さすが長年、魔の家系をお側で見ていた事だけありますな」


あの日、シオラをエルの屋敷に送ったのは、全てが必然であったのだ。


そう、この2人によって。


しかし、その事はエルとシオラが知ることは、この先ないだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


そして盛大な式も終わり、幸せな気持ちのまま眠ったシオラ達。


翌日の朝、心地良い日差しと共に目が覚めた。


「あぁ… これで私もついに王太子妃かぁ」


シオラがそっと呟く。


「なんだ? 嫌なのか? 昨夜あんなに愛し合ったのにか?」


エルのその言葉に、顔を真っ赤に染めるシオラ。


掛け物を半分、顔を隠して言う。


「エッエルッ様!? 起きてらっしゃったんですか!?」


「あぁ、その可愛い寝顔をずっと見ていたからな? それで?」


「い、嫌ではないですよ! 幸せ過ぎてもったいないくらいです! でも… こんな私に、妃なんて務まるのか不安になってきました… ちょっぴり」


その自信のない言葉に、エルはふっと笑って言った。


「言っただろう? 初めて会ったあの時、 ’私と作ろう’ と… だから、その言葉通り作ろう。この国を、一緒に」


「言いました! 確かに… 覚えています! でもいきなり価値観が莫大なんですよ! 急に事の重大さに目が覚めっ… 」


エルが、その弱音を吐きそうな唇を奪った。


「出来ないのか? 偉大な魔女なんだろ? シオラが言う事は… 叶う。作れるんだ。偉大な魔力を持つ絵師が言う事だ… 信じろ、自分を」


「わかりました… そう… でした! そうでした! 私はこの手で作ってみます! 私の王国をっ!」


「あ、いや、そこまでは言ってな… 」


「エル様! 覚悟して下さいね! この私が言うことは、絶対ですよ! だって偉大な絵師ですからっ! ふふふふふふふふ」


少しニヒルな笑いを浮かべたシオラ。


しかし、その姿を愛おしそうにエルは見つめた。


「あぁ、そうだな。それに… 俺にはシオラが必要だからな」


                      〜完〜


ここまで読んでいただきありがとうございます。

一週間ほどで書き上げたものですので、何か不備や気になる事があればコメント頂けると幸いです。


他にも長編作品も継続で書いてます。

宜しければそちらも読んでいただけると嬉しいです。


また、大変恐れ入りますが、評価等していただけると励みになります。

よろしくお願いします。


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