第五章(最終章) 絆 第5話
ヴァズの領域内でバリウスの目覚めを待っていた一同。話し合っているうちにバリウスは目を覚ます。
そして………
ドルテ「一人の身体だったって……」
ユリウスはゆっくりと語り出した。
ユリウス「老師も言ってたが、俺達は白龍族と黒
龍族の間に産まれたんだ。胎児の時に
その強大なオーラに耐えられなかった
んだろうな、細胞分裂で二人に別れた
らしい。まるで力を分かつ様に……そ
して今の俺達が出来た感じだな」
ヴァズ「なるほど………」
ユリウス「兄貴が起きたら、俺のオーラを渡そう
と思う。……俺はもう兄貴と一緒には
戦えない………兄貴に全てを託す形に
なるがな……」
ユリウスは申し訳なさそうにバリウスを見つめた。
ヴァズ「……あと、これもだな……」
ヴァズは水晶の様な球体を懐から取り出した。
ユリウス「……! それは!」
ヴァズ「カーンが持っていた物だ。」
ユリウス「俺の……白龍族オーラ……」
ドルテ&リサ「……!」
全員少し沈黙したが、リサが沈黙を破る様に呟く様に言葉を放った。
リサ「バリウス……ごめんね……」
ドルテ、ユリウス、ヴァズの三人は言葉が出なかった。もはやバリウスに全てを背負わせてしまう形になった事に。
リサがバリウスの頭を撫でると、バリウスは目を覚まし始めた。
バリウス「……ん……んん……?……ここは?」
リサ「バリウス!」
バリウス「リサ……」
バリウスはゆっくりと身体を起こした。
ヴァズ「ここは私の領域内だ」
バリウス「………!……ネロは?!」
ヴァズ「今はいない……だが安心は出来ん。
またやって来るのは確実だ」
バリウスはこれまでの事をヴァズから全て聞いた。神の審判が下った事、ユリウスの事。
バリウス「………そうか……クソ!」
ユリウス「兄貴……まだ策はある!」
バリウス「……?」
ユリウス「俺のオーラを受け取って欲しい」
バリウス「……! そんな事したらお前は……」
言いかけたバリウスの言葉を遮る様にユリウスは言う。
ユリウス「大丈夫だ!……それに、もう兄貴しか
いない……頼む!」
バリウスはユリウスの目を見つめた。こんなに真剣に頼んで来るという事は、もう自分ではどうする事も出来ないと悟っているのだ。それに気付いたバリウスは言葉が出なかった。
ユリウス「手を出してくれ……」
バリウスは言われるままに手を出した。その手をユリウスは握る。そしてユリウスはゆっくりオーラをバリウスに流し込んだ。
少し経ってからヴァズもバリウスにあの水晶を渡した。
バリウス「これは……」
ヴァズ「ユリウスのオーラだ……
カーンが大事に持っていた。これもカー
ンとユリウスからのエールだ」
バリウスは視線をユリウスに移したが、ユリウスはゆっくり頷いた。
バリウスはそれを取り込み、目を閉じてそして呟く。
バリウス「温かい……皆の思い、受け取った」
そしてバリウスは決意を表す様に目を開ける。
バリウス「次こそ勝つ!勝って終わらせよう!」
その時だった。禍々しい程の気配が一同を驚かせる。
ドルテ「な!……なんだこれは!」
ユリウス「……ネロじゃない!」
バリウス「………?!」
リサ「こ………怖い……」
ヴァズ「これは!……間違いない!ゲインだ!」
ユリウス「なんだと?!」
バリウス「……!」
─────広い海の上空─────
ゲイン「ほぉ……人間に混じって龍族の気配もあ
るな……こりゃ食うのに困らんな」
ドルテ「ゲインって………」
ヴァズ「ネロに監禁されてた男だ。奴とは二度
会ってるがネロいわく危険らしい!」
ユリウス「どういう事だ?!」
ヴァズ「詳しくは分からないが、ネロが警戒して
いたんだ。潜在能力が高いとかどうとか
言ってた気がするが、私はあまり接して
いなかったからな」
ドルテ「そういえばカーン老師も言ってたな!
確か、『波動』だよな」
ヴァズ「情報が少な過ぎだ……でも何故ゲインが
出て来れたんだ?!」
皆が慌てている中、バリウスは落ち着いていた。
バリウス「行ってくる」
驚く様に皆がバリウスに注目する。
ヴァズ「私も行こう!」
そう言って迎え撃つ為に出ようとした時、リサは立ち上がって呼び止めた。
リサ「バリウス!」
バリウス「……?」
リサ「必ず生きて……生きて帰って来て!」
バリウスはリサに優しく微笑んで拳をリサに向けた。
バリウス「ああ!分かった!約束だ!」
──────第6話に続く──────




