第五章(最終章) 絆 第1話
ネロは消耗した体力を回復させる為に領域内に戻った。
だがそこで予想しなかった出来事が起こる………
ネロ(……流石に消耗した………)
ネロは自身の領域内で消耗した体力の回復に専念していた。するとそこへある男がやって来る。
「やっと出て来れたぜ……」
ネロは慌てて男の声がする方向に目をやった。
ネロ「……お主!何故ここにいる!」
男「お前がそんなに弱っているのを初めて見たな
……そんなに消耗してりゃ、俺を拘束してる
枷なんて維持出来ねぇだろ?」
ネロ「……くっ!」
(此奴を野放しにしていては危険だ!何とか
せねば!………)
男「なぁ……腹減ったぜ………俺のオーラも空っ
ぽになりそうだぜ
そしたら丁度良いところにお前がいる訳よ」
ネロ「や!、やめろゲイン!……
そ、そうだ!新しい神の座にお主を付けよ
う!……新たな神の力も与えて………」
弱ったネロは必死に抵抗しているのを遮る様にゲインはネロに呟く。
ゲイン「そういう事じゃねぇんだよ………
クックック………」
ネロ「……! く、来るな!………
ぎゃぁぁぁぁ…………」
グリュ……モキュ…モキュ…モキュ………
ゲイン「ちっ!……クソ不味い肉だ………
まぁ、お陰でお前の力を取り込めたから
良しとしてやるぜ……」
ゲインは、弱って抵抗できないネロの身体を食った………
オーラを取り込まれたネロの身体は次第に腐食していき、やがて白骨化していく……
残った頭蓋骨から眼球が落ちた………
ゲイン・デウ・ファウル
ネロが何も無いところから人体を錬成した唯一の人物。実質上ネロの息子的存在だ。しかし自然に生まれた人ではない為、特異体質を有していた。それは『食人人間』。
通常の龍族と同様にある程度はオーラを自我で回復出来るが、一定のオーラの量を下回ると、他の龍族の肉体を食うと同時にオーラを吸収する。
そしてもう一つ、独自で覚醒した能力が『波動』である。白龍族にも黒龍族にも属さない体質だったが、ゲインを育てる環境が白龍族の集落に適さなかった為、ネロは黒龍族の中で育てる事にしたのだった。
────約5000年前に遡る─────
ネロ「たまには私抜きで一人で出掛けてみてはど
うかな?」
ゲイン「父上!………良いんですか?」
この頃、ゲインは17歳くらいの少年だった。
ネロ「もちろんだ。お前も一人前の男だ。色んな
人と接して、沢山学びなさい」
ゲイン「ありがとうございます!父上!」
次の日、ゲインは外へ出掛ける準備をしていた。そこへネロが来て一本の剣をゲインに渡す。
ネロ「これは私が丹念に作った剣だ。ゲイン、
お前にやろう」
ゲイン「外に出る事を許して下さった上に、こん
な立派な剣を頂けるなんて!……
光栄です!」
ネロ「うむ、くれぐれも気を付けて行くんだぞ」
初めて一人で出る外にゲインは色々興味を示した。風に揺れる草木、清らかに流れる川、飛び交う鳥、ネロの社で暮らしてきたゲインにとって、目に映る光景は新鮮そのものだったのだ。
かなり遠いところまで歩き、少し陽の光が届きにくい森に入った。そこでゲインは聞き慣れない人の声を耳にした。
「誰か!………誰か助けて下さい!」
ゲインは声のする方へ走って向かった。すると、木の枝に引っ掛かって抜け出せない人を発見した。女性だった。
ゲイン「大丈夫ですか?」
女性「あ……あの!……この太い枝を折ってくれ
ませんか?……服に引っ掛かって抜けない
んです」
ゲイン「少し待って下さい!」
ゲインはネロからもらった剣で枝を切った。
女性「ありがとうございます!もうどうなる事か
と思いました……」
ゲイン「大変でしたね。…でも何故あんな所に
引っ掛かってたんですか?」
女性「あはは………剣の鍛錬をしてて………」
ゲイン「ぷっ……ははは!」
女性「笑わないでよ~……」
ゲイン「あ、ごめんなさい……」
二人は話しているうちに打ち解けていった。
女性「そういえば名前聞いてなかったね!
私、リエラよ」
ゲイン「俺はゲイン」
リエラ「よろしくねゲイン!」
ゲイン「よろしく!リエラ」
ゲイン・デウ・ファウル……
17歳の出来事………
─────第2話に続く────




