第一章 時を超えし者達 第6話
バリウス、リサ、サラ、サッドの四人はリサに『守護石』を持たせる為、最北の国ガーネフィストへと旅立った。
束の間の空の旅でリサは驚きを隠せない。
そして………
サラ「どうしますか?剣王」
バリウス「状況は変わったからな。
とりあえずは北へ向かおう。
カーン老師に会う。」
サラ「守護石ですね」
サッド「了解っ!」
サラ「剣王、飛べますか?」
バリウス「片道なら何とかな……」
リサ「??……あ、あのぉ……飛ぶ?空を?」
サラ「そうよ?どうしたの?」
リサはサラの言っている事が理解出来ていない様だ。
サッド「オレ達龍族は空のエレメントの力で空を
飛べるんだよ。へへへ
俺に捕まるかい?」
サラ「サッド……顔が怪しいわよ……」
バリウス「リサ、オレの剣に掴まると良い。
オレの剣は柄が長いから握りやす
いと思う。」
サッド「剣王~……ずるいッスよ~…」
バリウス「行くぞ!」
三人の足元で小さな旋風が起こる。やがて四人の体がふわふわと浮かび上がる。
リサ「え?!……え~~~!!」
そして空に舞い上がった…
リサ「キャァァァァァァァァ!!!!…………」
────同時刻────
北の国、ガーネフィスト。北極に近いこの国は外交をしない国として有名である。
物資は国内資源で採れた物を使用し、食料の全般を自給自足でまかなっている小さな国だ。
この国の人々は、人間や白龍族、黒龍族も共存する珍しい国で、人種間の争いや他国との争いもないまさに中立国である。
約200年前のクリスタリカ王国の事件以来、白龍族の人口は激減した為、黒龍族達の中に戦意が低下した者が急増した。そしてこの地での共存を望んだ為、今のガーネフィストの形になった。
そしてここに居るのが………
「ふぅ~、やっと修復出来たのぉ…」
カーン・ブラウン老師。龍族が扱う武具の生みの親である。初代クリスタリカ王国の建国時代より生きる唯一の人物でもある。
ブラウン「ん?……ほほぉ、バリウスがこっちに向かっ
ておるのぉ。良いタイミングじゃ……
…!この気配!……カルディスの生き残
りか!」
───バリウス一行────
リサ「お、お、お、落ちないよねぇ~~」
バリウス「掴まっている限りは大丈夫だ
オレのオーラが君にも纏っているか
ら落ちる事はない。離さない事だ」
リサ「わ、分かった!
……でも段々寒くなってきた様な気が
する……」
サラ「もうすぐ着くわよ!」
サッド「ガーネフィスト!久しぶりだなぁ
オジイ元気にしてるかなぁ!へへ!」
バリウス「サッド!口を慎め!老師だぞ!」
サッド「えへへ……すんません」
リサ「老師?」
バリウス「ああ、会えば分かる」
風は一気に冷たくなり始めたが、間もなく街の上空へと差し掛かった。広い氷の大地は自然がそのまま残っている範囲が広く、辺り一面銀世界だ。その光景にリサも思わず息を飲んだ。
リサ「凄い……綺麗……」
バリウス「最北の国ガーネフィストだ。」
四人はガーネフィストの街に降り立った。
リサ「ゔ~~…さささむむむぃぃぃ……」
バリウスは剣を包んでいた大きな布を広げリサの肩に掛けた。
リサ「あ、ありがとう……」
サラ「……………」
サッド「(小声)あら?サラさん妬いてまぅ?」
サラの肘がサッドのみぞおちに一撃。
サッド「はう~~……」
バリウス「お前達!ふざけるな。
カーン老師の邸宅に行くぞ!」
サラ「ふんっ!(ぷいっ)」
サッド「悪かったって……
ちょっと待ってくれ~」
四人はカーン邸に向かって歩き出した。
寒い土地にも関わらず、人々は活気に満ちている。争いがほとんど無く、少ない食料と資源を分け合って生きてきた事もあって、皆の結束力も高い雰囲気が伝わって来た。
サラ「みんな、こんな風に過ごせれば良いに…」
サッド「俺だって、剣なんか振りたくねぇよ。」
バリウス「……そうだな………」
雪に四人の足跡が付いていた………
─────第7話に続く────