第三章 古代剣士 第10話
龍族の起源をカーンは話し、またここに神が繋がっている事を知る。バリウス達の戦う相手は途方もない存在だった………
バリウス「……まさか、クリスタリカの国名は……」
カーン「ネロの姓から来とる。」
バリウスはカーンの知識の多さに改めて驚いている様だ。しかしリサは……
リサ「神様は寂しかったのかな……」
カーン「そうかもしれんのぉ……」
バリウス「…という事は、古代の龍族はネロの力
の恩恵が濃いという事になりまね」
カーン「御明答じゃ。血統によってネロの力の継
承には個人差があっての、ファウル、ル
クティス、カルディス、グロリアスの血
統が継承が強い血筋じゃな。
ちなみに、ファウルは今のゲインじゃ」
バリウス「……!」
「流石、長く生きてるだけある……」
三人は一様にビックリした。なんと、同じ部屋にヴァズがいるのだ。バリウスは剣を持って身構える。カーンも臨戦態勢だ。
カーン(気配が無かった!……)
バリウス(いつの間に!……)
ヴァズ「そんなに警戒しなくても、今其方らと戦
う気はない……」
バリウスは剣をヴァズに向けて言った。
バリウス「アンタの目的はなんだ!試す様な真似
をしてみたり、突然現れて戦う気がな
いとかどういうつもりだ!」
ヴァズ「教えてやろうと思ってな………
今はまだ神、いやネロは動かん」
バリウス「何?!……」
ヴァズ「ネロはまた新しい仲間が増えると言って
いた。恐らく気分が良いのだろうな。」
バリウス「何を言ってる?!」
ヴァズ「今現存している龍族の中で、最も神に近
い存在………お主だ、バリウス」
バリウス「……!」
ヴァズ「神になれバリウス。ずっと強くなれる」
バリウス「……意味が分からん……」
両者の話しを遮断する様にカーンがヴァズに叫んだ。
カーン「お主!やはり修羅に落ちたか!」
ヴァズ「老いぼれたなカーン。錬金術など使い続
けた様がこれだ。力を使い続ければい
ずれ老衰で死ぬぞ?」
カーン「これが運命じゃ!ワシらと同じ五大龍族
の異名を持つお主とあろう者が、恥とは
思わんのか!」
ヴァズ「誇りか……フッ………」
カーン「ここでお主を封じる!」
カーンは構えたが、落ち着いてヴァズは返した。
ヴァズ「止めておけカーン。其方が召喚出来るの
は大地のエレメント『グランドラグー
ン』のみ。そんなエレメントではもう私
を封印する事など不可能だと知っている
だろ……それに、そのエレメントを召喚
すれば其方の命は消える。」
カーン「ぐぬぅ………」
ヴァズ「図星だな。今は情報だけだ。とりあえず
はバリウス、お主の身内を何とかしない
とそこの娘が危ういぞ…フッフッフ…」
リサ「……!」
ヴァズはそう言い残し、また姿を消した。まるで煙が消えるかの様に……
カーン「………シリウスを知っておる様じゃ…」
バリウス「そう……ですね……」
カーン「バリウス、今は深く考えるな。シリウス
を止めるのが先決の様じゃ!」
バリウス「分かりました………」
カーン「クリスタリカの街でシリウスを見たのな
ら、奴はまだそこにおるかもしれぬ。ク
リスタリカでシリウスを止める。そして
それが済んだらもう一度ここに来なさ
い。良いな?」
バリウスとリサはカーン邸に泊まらせて貰う事になった。
日が沈んで辺りは暗くなった。バリウスとリサはそれぞれ個室を借り、そこで休む。するとバリウスの部屋の扉をリサがノックする。
コンコン……「バリウス、起きてる?」
バリウスは扉を開けてリサを部屋に通した。
リサ「ごめんね、眠れなくて……」
バリウス「さっきの話しだな……」
リサ「うん……バリウス!私……」
言いかけてバリウスは遮った。
バリウス「大丈夫だ。何も心配する事はない。」
リサ「…………死なないで………」
バリウス「……?」
バリウスは突然のリサの言葉に驚き、リサの顔を見た。すると不安そうにバリウスを見て涙を流した。
リサ「バリウス……私の為に死んでも守るとかそ
んな事、私は望んでないから……
私の為と思うなら生きて!」
バリウスは血の契約の事を思い出した。
バリウス「リサ……」
リサ「もう誰も私の前からいなくならないで!
私の父と母もそう!サラさんも………
バリウスにまでいなくなられたら私……」
何かを感じ取ったのだろうか………リサは不安が募っていた。
バリウス「リサ……わかった……約束だ」
リサ「絶対に!絶対……」
リサはバリウスの顔を見た。すると、バリウスは優しい微笑みでリサを見ていた。その微笑みにリサは言葉を失った。
バリウス「生きる。生きてリサを守ってみせる」
こうして夜は更けていった………そして……
バリウスとリサはまたクリスタリカに向かう。神々が動かない……嵐の前の静けさなのか……
知らず知らずのうちに迫り来る『審判の時』。その時、バリウス達の運命は……そして龍族達は……
この時はまだ、バリウスに訪れる出来事を、まだ誰も知る由もなかった………
────第11話に続く────




