第三章 古代剣士 第9話
再びカーンに会うバリウスとリサ。
そしてカーンはゆっくりと語りだした………
カーン「由々しき事態じゃのぉ……」
バリウスとリサはガーネフィストのカーン邸に訪れ、一通り説明した。
カーン「どうやら、二つの力が動いておる様じゃ
な……」
バリウス「二つの…力…」
カーン「うむ。一つは古代より生きし龍族。そし
てもう一つは神じゃな」
バリウス「……神………」
カーン「お主に全てを話さないといけないな。
ワシら龍族の事。そして神の事を……」
バリウスとリサは緊張した面持ちでカーンを見ていた。
カーン「そうじゃのぉ…………」
〖 龍族の起源と神 〗
龍族、それはある一人の赤ん坊が細胞の突然変異で誕生した奇跡の子が起源となる。
数万年前に遡る。クリスタリカはまだ王国ではなく名も無い小さな村だった。そこで誕生した奇跡の子、その名を『ネロ・クリスタリカ』。この子は天候を操り、石や鉱石の加工を自身の力で施す『錬金術』、物体を触れずに動かす『念動』といった能力を持っていた。人々は彼を『神の御子』として崇拝していた。
月日は過ぎ、日照りが続いたある日の事……
「神よ!我が田畑に奇跡を!」「ネロ様!」
ネロ「鎮まれ民よ!日照りは続いているが、また
ここで雨をもたらそう!」
ネロが天に掌をかざすと数分後には黒い分厚い雲が集まり、大粒の雨が大地を濡らした。
民衆「おおぉぉ!神の奇跡だ!また奇跡をもたら
してくれた!」
民衆が喜んでいた最中、他国に属していた腕利きの兵士がやって来た。
兵士「この村に奇跡を起こす若者が居ると聞い
た!手合わせ願おう!」
ネロ「またか……無謀な……」
ネロの噂は遠い国まで渡りに渡り、こういった挑戦者が後を絶たなかった。
ネロ「お帰り願おう!私の力は暴力の為に行使す
る力ではない!」
兵士「何を言う!今まで数多くの兵士を倒してき
たのであろう!今更ではないか!」
ネロ「立ち去りなさい!」
兵士「聞かんと申すな?……なら、強引にでも勝
負して貰うぞ!……でやぁぁぁ!」
兵士は剣を振りかざして突進してきた。しかし……
兵士「うわぁぁ!」…………ドサッ!
ネロは眼力だけで兵士を吹き飛ばした。
ネロ「これ以上近寄ったり、我が村の人達を脅か
すならタダでは済まん!帰りなさい!」
兵士は慌てて起き上がり走り去った。
「ネロ様~!」「おおぉぉ!流石ネロ様!」
「あなたは神様です!ネロ様!」
この様な日々が長年続いた。そしてネロの中にある欲望が芽生え出す。
ネロ(私と同じ様な力を持った者が現れた時、私
はどうなるのだろうか……
同じ様な力同士で戦えば………)
ある時ネロは一人の妊婦のお腹に手を当てた。
妊婦「あぁ、ネロ様。この子にご加護を!」
ネロはニヤリとしながら妊婦のお腹の子供にオーラを流し込む。
ネロ「この子はそれはそれは強い子になるであろ
う……元気な赤ん坊を産みなさい」
ネロ(生物の細胞を錬成……そして……)
空気を圧縮して錬成………
海の水を圧縮して錬成………
岩を砕き、圧縮して錬成………
溶岩の熱や炎を錬成……
光を取り込み錬成……
影を捻じ曲げて錬成………
ネロ「私と同じ様な力持った者が現れるまで楽し
みにしておこう……フッフッフッ……」
オギャ~! オギャ~!
主婦「ネロ様!産まれました!元気な赤ん坊で
す!ありがとうございます!」
ネロ「ほぉ……これは凄い。不思議な力を持った
子だ。私程ではないが、私の加護で産まれ
たこの子は特別な子だ」
主婦「まぁ!素敵です!」
ネロ「この子はいずれ…………」
こういった赤ん坊を次々と誕生させた。やがてこの子達の子孫は分裂し、やがて後の龍族となっていく………
ネロ「さぁ、争って力をつけ、私と共に……
フッフッフッ………」
───第10話に続く───




