第三章 古代剣士 第1話
サラとの別れ……それは悲しみと同時に、バリウスに強い決意を植え付けた。
サラの命の代償に手に入れた『王家の遺産』。
ここから新たなる展開が……
サラは無言の帰還をした。そして弔いは静かに行われた。
龍族の葬儀は火葬でも土葬でもない。肉体はエレメンティストの力で結晶化され、それを遺品である剣に封じ込める。こうして次の世代の剣士に剣を受け継いでいくのだ。
ドルテ「俺が力不足だった為に…すまない……」
サッド「サラ……俺はお前を友として好きだった
ぜ!……今までありがとうな!サラ!」
そして………
バリウス「サラ、すまない……
オレがもう少し早く着いてれば守れた
かもしれない。
……ありがとう!サラ!今までオレに
着いて来てくれて………」
リサ「サラさん………」
皆がサラの遺体に花を手向けた。少し時間を置いてカーンが告げる。
カーン「良いな?皆の衆、結晶化するぞ……」
カーンはサラの身体に触れオーラを込める。気持ちのせいか、サラの顔は穏やかだ。
サラの全身は淡く光り、やがて小さな結晶に姿を変えた。
カーン「皆、サラの死を無駄にしてはいかん。
サラの命と引き換えに持ち帰ったあの
『王家の遺産』が大きな代償じゃ。
良いな…皆、強く生きよ!」
こうしてサラの葬儀は終わり3日経った。少しずつではあるが活気が戻ってきた。
ドルテ「バリウス、居るか?」
ドルテはバリウスが使っている部屋の扉をノックして呼びかけたが返事が無い。そこへリサがやって来た。
リサ「ドルテさん、おはよう」
ドルテ「おうリサ……バリウス見なかったか?」
リサ「バリウスなら庭に居るよ」
ドルテ「そうか…すまないがバリウスを呼んで来
てくれないか?応接室でカーン老師が呼
んでる。
リサ、お前も一緒に来てくれ」
リサ「うん、わかった」
リサはバリウスを呼びに庭へと向かった。バリウスは寒空の下で身体から湯気が出る程の熱気で剣を振っていた。
リサ「バリウスー!カーン老師が呼んでるって
応接室に集合みたいだよー!」
バリウスは汗を拭きながら答える。
バリウス「わかった!すぐ行く!」
バリウスとリサは応接室に向かいながら会話していた。
リサ「バリウス、元気出してね……
まだ辛いかもしれないけど……」
バリウスはハッとした様にリサの顔を見た。そして決意した顔で言う。
バリウス「…大丈夫、オレはもう決して誰も失わ
ないと決めた。
仲間を絶対!……もちろんリサ…
君もだ。」
リサ「……ありがとう………えへ…」
バリウス「……?何かおかしな事言ったか?」
バリウスはリサの顔を見るがそして少し止まった。リサの優しい笑顔がそこにあり、つい見つめてしまった。
リサ「ありがとうバリウス!私も頑張るよ!」
二人は応接室に着いた。扉を開けて入るとデイジーが叫んだ。
デイジー「お~そ~い~~!
二人して何してたのさ!
アタシ達結構待ってたんだよぉ!」
サッド「良いじゃねぇかぁ!なぁ!剣王!」
バリウス「………?」
ドルテ「とりあえずお二人さん席に着け」
カーン「すまんのぉ、待たせた……」
カーンとシヴァが部屋に入る。シヴァは回収したあの『王家の遺産』を抱えて来た。
シヴァは応接室のテーブルにそれを置き席に着いた。
カーン「皆は知っての通り、これが王家がずっと
大事に保管していた物じゃ。」
ドルテ「随分と厳重に保管してあるな……
かなり頑丈な箱だぞ」
カーン「特殊な石で作られた箱で、錬金術じゃな
いと開ける事は出来ん……
要するに、開けられるのはワシのみ」
シヴァ「俺はこの中身を知ってる……」
サッド「何がはいってんだよ…」
カーン「まぁ見れば分かる……」
カーンは箱にオーラを少しだけ流す。すると見るからに開きそうになかった箱がゴトンと音を立てて開いた。
ドルテ「……これは!」
バリウス「……!オレの剣とよく似てる!」
リサ「綺麗!」
デイジー「わお!」
そこに入っていたのは、刀身が透き通ったバリウスの剣と同じ形の剣だった。
シヴァ「俺は、こんなに綺麗に保管してくれてい
た王家に感謝しかない…」
カーン「この剣は、かつてクリスタリカ王国に存
在していた剣士の遺品じゃ。
その者はクリスタリカ王国の中で最も
美しく、そして最強の女剣士………
『バリエラ・ルクティス』
バリウスの母親じゃよ」
王家の遺産とされる程の名剣。この剣が持つ力とは……そして何故この剣が厳重に保管されていたのか……
────第2話に続く────




