第二章 覚醒 第8話
銃弾に伏したリサ。駆けつけたバリウスの応急処置も通じない状況で下した判断は……
リサ「…………」
リサは脇腹を撃たれぐったりしている。
ドルテ「くそっ!すまねぇリサ!」
デイジー「ちょっと!ヤバいじゃん!」
そうこうしているうちにそこにバリウスが合流した。バリウスは目の前の光景を目の当たりにし驚いて駆け寄る。
バリウス「リサ!……腹部を撃たれたのか…
ドルテ、状況は?!」
ドルテ「ワッツの姿が見つけられん…そしてこの
ざまだ。すまん!俺が居ながら……」
デイジー「アタシが偵察してくるわ!」
デイジーが駆け出そうとした時、バリウスは制止した。
バリウス「今の状態だと何処に敵が居てもおかし
くは無い。単独行動はかえって危険
だ……」
バリウスはリサの応急処置をしながら答えた。止血を試みるが傷は深くなかなか血が止まらずじんわりと流れる。
バリウス(このままでは………)
そんな時、静寂を遮る様にまたワッツの船内放送が流れた。
ワッツ「あ~~はっはっはっ!
女一人も守れんとは、剣士失格だぞ?ド
ルテ!はっはっはっ!」
バリウス「何が可笑しい!罪も無い人を巻き添え
にしてまで争う必要が何処にある!
卑怯者め!」
ワッツ「何を言ってるんですか?剣王さん
貴方、昔ご自分でした事をお忘れか?」
バリウス「……くっ!……」
ドルテ「バリウス、気持ちは分かる!抑えろ!」
ドルテはバリウスの怒りのオーラを感じ取ったのか即座に制止した。
ドルテ「バリウス、お前が200年前に犯した罪
は、俺も許せん所はある。
だがお前がそうなった理由、俺は理解し
たつもりだ。もし俺がお前の立場だった
ら、俺も同じ事をしたかもしれん。
だからお前と行動を共にすることを決意
したんだ。お前を見届ける為に!」
ワッツ「ドルテさん、こんな剣王など見捨てて置
けば良いものを…」
バリウス「ドルテ、すまない……
ありがとう、もう大丈夫だ」
バリウスは再びリサの状態を確認した。
バリウス(このままでは助からない……)
デイジー「どうしよう………」
バリウス「もうこれしかない。
リサの傷にオレの血を塗る。」
ドルテ「……! お前!そんな事したら……」
ドルテが止めようとした言葉を遮る様にバリウスは続けた。
バリウス「もうこれしかない!……
すまないドルテ、オレはもう目の前で
誰も失いたくないんだ……」
ドルテ「バリウス………お前……」
バリウスは剣で自身の腕に切り傷を入れた。そしてその血をリサの傷に塗り付けた。するとリサの出血は程なく止まった。
外の上空から何やらバラバラと音がする。ヘリコプターだ。
ワッツ「迎えが来ました。貴方達の処刑はまたの
機会にしましょう!」
ドルテ「逃げるのか!待……」
ドルテが追おうとした瞬間バリウスは制止する。
バリウス「今はやめろ、リサを安全な場所に移す
のが先決だ」
……こうして船を後にし、空中浮遊でデイジーの宿舎に移動した。
宿舎の一室を貸し切ってそこのベッドにバリウスがリサを寝かせた。リサは静かに眠っている。
ドルテ「アイツら、追って来なかったな……」
バリウス「兵士の殆どを一掃した。奴等にとって
分が悪かったんだろう。」
しばらくしてデイジーが扉をノックして入ってきた。
デイジー「飲み物持ってきたよぉ。どうぞ」
香りがいいお茶がトレーに3つあり、それぞれが手に取った。
デイジー「で、どうするの?これから…」
バリウス「リサが目を覚ましてからだな…」
ドルテ「ああ、今は迂闊に動けんな……」
デイジー「ねぇ剣王さん、貴方がリサさんにした
『血の契約』だけど……」
バリウス「そうするしかなかった……」
ドルテ「………」
バリウス「昔、エリザにもそうするべきだった
……エリザには断られたがな………」
デイジー「リサさん……」
三人は眠っているリサを見つめた。リサは一命を取り留めた。バリウスの『血の契約』を受けて……
───第9話に続く───




