第二章 覚醒 第6話
エメルダリア本土に向かっていた船が航路から外れていた。不穏な空気の船内でバリウス達は……
波が先程より少し高くなった。バリウス達一行は荒波に揺られる船の一室で船内の気配を伺っていた。
ドルテ「おいどうする?バリウス」
バリウス「奴等にまだ動きが無い……」
バリウスは気配を伺いながら考え込んでいる。
デイジー「うっぷ……結界だよ……
この船全体に結界が張ってある……」
涙目になりながらデイジーは皆に伝えた。
バリウス「なるほど……奴等の気配が感じ取れな
いのはそういう事か。気配を察知出来
ないと取り囲まれてしまうな」
ドルテ「そんな奴等、一網打尽にしてやるぜ!」
バリウス「リサが危険だ!オレ達だけならともか
く、リサを守るのが最優先だ」
こうしたやり取りをしていると、誰かが扉をノックした。…………コンコン…ガチャ…
男「お茶の用意が出来ました!皆さん、良かった
らどうぞ」
バリウス「すまない……
そう言えば、紳士殿の名前をまだ聞い
てなかったな。オレはバリウス、バリ
ウス・ゲインだ」
男「名乗る程の者でも無いのですが…わたくし、
ワッツと申します」
バリウス「ありがとうワッツ、みんな折角だから
頂こうか」
全員立ち上がり、ワッツの案内で移動し始めた。廊下を歩いている時に背中越しのワッツにバリウスは質問した。
バリウス「この船……何処に向かってる?」
ドルテと船酔いデイジーがざわついた。
ワッツ「………何を仰ってますか?エメルダリア
本土ですよ?」
バリウス「そうか……本土から離れた気がしたか
ら気になったんだが…」
ワッツ「波が高く、岩礁もありましてねぇ
多少大回りしないと行けないのですよ」
バリウス「なるほど……了解した」
ワッツ(なるほど…何か察したのか……)
バリウス「……ん? 何か言ったか?」
ワッツ「………! いえ、何も……うぐっ!」
ワッツが振り返りバリウスを見た瞬間ゴクリと唾を飲んだ。バリウスがワッツの喉元に剣を向けている。鋭い眼光にワッツは焦った。
ワッツ「な、ななな何ですか?!」
バリウス「もう一度聞く。この船は何処に向かっ
てるか答えろ……」
ドルテと船酔いデイジーも戦闘態勢を取り、リサを囲む様にして位置取りする。
ワッツ「フフフ……なるほど。大人しくして頂け
ないと見えますな?」
バリウス「誰の指示指示だ?」
ワッツ「皆さん!お願いしますよ!!」
その掛け声で待機していた黒龍族の兵士が集まって来た。
バリウス「なるほど……」
瞬く間に四人は大勢に取り囲まれた……
───ガーネフィスト・カーン邸にて───
サッド「フッ!……フッ!……」
サッドは剣を振っていた。鈍った身体を起こすのと同時に、治った左腕の感触を確かめていた。
ラサ「あまり無茶しちゃ駄目よ!」
サッド「あぁ、分かってるよ
でもすげぇなぁカーンのじいさん」
サラ「そうね。でもいい加減『老師』って呼びな
さいよ。アンタも剣士でしょ?」
サッド「へいへい……剣王はエメルダリアだっ
け?大丈夫なのか?リサもいるし……」
サラ「剣王は大丈夫よ。ドルテも居るしね」
サッド「え?!ドルテも一緒か!」
サラ「ドルテはもう大丈夫、仲間よ。アンタより
ずっと頼りになるわ」
サッド「まぁ確かに。でも一応もう少し回復した
らオレも合流しようと思ってるぜ」
サラ「だったら私も行くわ。アンタ一人じゃ不安
だしね」
サッド「……一言余計だよな……お前」
───バリウス一行───
船内の廊下で四人は大勢に囲まれている。バリウスは一通り確認し、大声で叫んだ。
バリウス「貴様ら全員!ここじゃ狭いだろ!」
バリウスはリサを抱き抱えた。
バリウス「ドルテ!船が壊れない程度で頼む!」
ドルテ「任せろ!」
ドルテは拳にオーラを集束させ、足元を叩いた。船は大きく揺れる!
黒龍族「何ぃ!!」
バリウスはその隙にオーラの刃で天井に穴を開けた。
バリウス「リサ!しっかり掴まれ!」
勢い良く外にジャンプし、続いてドルテと船酔いデイジーが出てくる。それを見て黒龍族達も次々と外に出て来た。
船の甲板に着地して迎え撃つ。船酔いデイジーも戦闘になって症状も落ち着いた。
ドルテ「多いな、バリウス」
バリウス「ああ、久しぶりだな」
ドルテ「黒龍族って聞いてたから少し警戒した
が、雑魚ばかりだぜ!」
バリウス「油断はするなよ!」
ドルテ「バリウス!お前はリサを守れ!!」
バリウスは黒龍族達を睨んで……
バリウス「当然だ」
バリウスとドルテに黒龍族達が襲いかかる。
ドルテは大剣を大振りに一閃。一度に三人を薙ぎ払う。
バリウスはリサを庇っていたが、五人に囲まれた。
黒龍族「おい、それで何が出来る?へへへ…」
バリウス「見くびられては困るな…」
バリウスは剣にオーラを集束させる。そしてリサに小声で呟いた……「少し、目を瞑ってろ」
バリウスの剣に集束しているオーラが一段と強く光る。それを見たドルテは苦笑いで言った。
ドルテ「おいおい、それかよ」
バリウスは構えた………
バリウス「ドルテ!デイジー!伏せてろよ!」
バリウス『剣王奥義! 剛剣覇王刃!』
バリウスの剣はオーラの具現化により巨大な超絶大剣に変貌し、大多数の黒龍族を一掃する。その姿を見たデイジーは圧巻だった。
デイジー「………凄い………」
───第7話に続く───




