第二章 覚醒 第5話
エメルダリアに向けて出かけた一行は港で見知らぬ男に声を掛けられる。
無事にエメルダリアに辿り着けるだろうか……
──ガーネフィストのカーン邸にて──
サッド「……んん……」
サラ「あら、起きた?」
サッド「ここは……」
サラ「カーン老師の邸宅よ。かれこれ1週間程
眠ってたわ」
サッド「そっか……?…あれ?」
サラ「腕、くっついてるでしょ?
カーン老師が治してくれたのよ」
サッド「あのじいさん何でもありかよ……」
サッドは自身の切れていたはずの左腕がくっついて動いているのを不思議そうに見ていた。
サラ「食事、食べれそうなら食べて…」
サッドが使っているベッドの横にある小さな台に、サラは食事のトレーを置いた。
サッド「サンキュ~」
── 一方、バリウス一行──
エメルダリア行きの船を探して港を歩いていた一行。賑やかな港の風景にリサは少し和やかな気分だったが、バリウス、ドルテ、デイジーの三人は周りを警戒しているのか緊張した面持ちで歩いていた。
それを見かねたのか、リサは三人に小声で話しかける。
リサ「ちょっと!三人共、折角結界張ってるの
にそんな怖い顔してたらバレるでしょ!」
デイジー「だってしょうが無いじゃない!敵が何
処に居るか分かんないんだよ?
ここも一応エメルダリアの領地なんだ
から!」
バリウス「そうだな…すまない。気を付ける…」
ドルテは少し間を置いてから……
ドルテ「……俺はこれでも普通なんだが……」
リサ&デイジー「あ………」
バリウス「…………」
四人のやり取りを見て、一人の男が歩み寄り話しかけて来た。
男「そちらの皆様、船をお探しですか?」
バリウス一行は警戒しながらも平静を装っていた。普段の商売柄、デイジーが応じる。
デイジー「そうなんですよぉ。エメルダリア本土
に行きたくて……
服を買いたいんです!本土なら種類も
いっぱいありそうだし……」
男「そうでしたかぁ、なるほど!うむ!
しかし残念ですなぁ。今は本土行きの船は欠
航中で行けませんぞ?」
デイジー「そう!そうなのよ!
………で、誰か乗せてくれないか
なぁって思ってね。えへへ」
男「それなら、良ければわたくしの船にお乗り下
さい。丁度今からエメルダリアに帰るところ
でございますよ」
デイジー「え?!良いんですか?」
男「どうぞどうぞ!決して大きい船ではありませ
んが良かったら是非!」
デイジー「ありがとうございます!」
デイジーはバリウス達の方向に振り返り、親指でグッドサインを送りながら小声で「交渉成立!」と囁いた。
バリウス「紳士、感謝する。ありがとう」
こうして一行は本土に向けて船に乗り込んだ。エメルダリアの近海は波が高く少し揺れたが、船自体は快適に過ごせた………かと思いきや……
─── 船の一室───
男「ハウザー様、成功しました。」
ハウザー「呆気ねぇなぁ。もう少し警戒すると
思ったが……
お前に付かせた軍人50人全員でかか
れば大丈夫だろ。流石のバリウスも黒
龍族50人は楽ではないだろう」
男「ありがとうございます!お任せ下さい!必ず
捕らえてみせますよ。ふっふっふっ…」
そんな中バリウス達はソファでくつろいでいた。デイジーを除いて……
デイジー「ゔゔ………ぎぼぢわる……うっぷ…」
リサ「デイジー、大丈夫?」
ドルテ「ただの船酔いだろ?気合いが足らん!」
バリウス「…………」
デイジー「お前達二人!ちょっとは心配しろよ!
……ゔゔゔ………もう無理~」
リサはバリウスの顔を見て不思議そうだった。
リサ「……?どうしたの?バリウス」
バリウス「気のせいかもしれないが、この船エメ
ルダリアから離れてる気がする」
ドルテ「……!嘘だろ?!そんな筈……」
ドルテは窓の外を覗いた。するとさっきまで近付いていたエメルダリアの本土が徐々に離れている事に気付いた。
ドルテ「冗談じゃねぇぞ!ここはまだ飛べない領
域だってのに!」
バリウス「やられたな……」
ドルテ「落ち着いてる場合かよ!」
バリウス「ジタバタしてても仕方がない。様子を
見るしかない」
リサは少し怯えている様だった。バリウスに少し近付いて警戒している。
リサの様子を察知したのか、バリウスは言った。
バリウス「リサ、オレから離れるな」
リサ「え?!」……リサはびっくりしている。
バリウス「オレの傍に居ろ。」
リサ「……///」
ここは波が荒い海の上。バリウス達はこの後どうなるのか……
────第6話に続く───




