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第7話 初めての仲間

 ぽよんぽよんと跳ねながら、スライムは俺の前に来る。

 目のような物はないけどジーッと見られている気がする。いったいどうすればいいんだ?


「敵意……はなさそうだな」


 しかし相手はモンスター、油断はできない。

 俺は聖剣を構え、一定の距離を保ったままスライムを【鑑定】してみる。



【ベビースライム】

レベル:1 状態:友好

スキル:なし

赤子のスライム。



 状態、という見慣れない項目がある。

 それによるとどうやらこのスライムは俺に友好的みたいだ。神の目がそう見抜いてるんだ、多分間違いないと思う。


 それに相手はレベル1。

 今の俺なら不意打ちされても簡単にはやられない……と思う。


 聖剣を右手に持ったまま近づいて、しゃがむ。

 ベビースライムは小さくて俺の拳ほどの大きさしかない。近づいて見てみるとかわいいな。


「お前、一人なのか?」


 左手をスライムの前に出して見る。

 するとスライムは俺の手に体を擦り付けてくる。まるで子犬みたいだ。


「俺と来るか?」


 思わずそう尋ねてしまう。

 俺はこの時自分は寂しいんだと自覚した。こんな森の中で一人、そうなって当然だ。

 たとえ種族が違っても、誰かが側にいてくれるだけで寂しさはかなり解消されるだろう。


 スライムは俺の勧誘を聞いてしばらく考え込むように止まったあと……俺の手にぴょんと飛び乗ってくる。


「よろしくな。俺はリック。お前は……そうか、名前はないのか」


 スライムと呼ぶのはあまりにも味気ない。

 名前はあったほうがいいよな。


「青いからアオ……じゃあまりにもそのままか。どうするかな」


 名前をつけたことなんてないのでいいのが思い浮かばない。

 俺は空を仰ぎながら考え、そして思いつく。


「そうだ空。お前の色は空の色そっくりだから『ソラ』なんてどうだ?」


 そう尋ねると、嬉しそうに俺の手の上で跳ねる。

 どうやら気に入ってもらえたみたいだ。


「じゃあよろしくなソラ」


 俺は新しい相棒を撫でると、家に帰るのだった。



【ソラ(ベビースライム)】

レベル:1 状態:仲間

スキル:なし

赤子のスライム。初めての友達が出来た。



◇ ◇ ◇


 家に帰った俺は『超高品質魔導コンロ』で採った食材を調理し、お腹を満たした。

 スライムのソラは雑食みたいで、木の実をあげると体内に取り込んで消化した。同じ物を食べることが出来るのは助かる。


「ひとまずしばらく生活は出来そうだな。明日は畑でもやってみようかな。それと肉も食べたいな……」


 あとは勝てそうなモンスターを倒してレベルも上げたい。そうすれば聖剣が使えない状況になっても生き延びることが出来るからな。

 強くなった後は……どうしようか。

 俺を勘当した父と見捨てた兄。二人を恨んでないと言ったら嘘になるけど、正直やり返しに行く気はない。


 命の危険が去った今となっては、勘当してくれて感謝してるくらいだ。あんな城にずっといたらいつか頭がおかしくなってただろうな。

 もしまた俺にちょっかい出してくるようならやり返すけど、そうじゃない限り手を出すのはやめておこう。

 あんなでも国王。もし動けなくなったら国の運営に支障が出て迷惑を被る国民が出るだろうしな。


 あの城に残ったマーガレット姉さんのことは少し心配だけど……姉さんは頭がいいし上手くやってくれてると思う。


「まあ強くなった後のことは、強くなったら考えればいいか。今はやれることをコツコツとやろう」


 そう言ってテーブルの上に置いた小鞄ポーチに手を伸ばす。

 中から取り出したのは『エルフグラス』と『耳長鬼の牙』。この二つは薬の材料になると情報にあった。


 回復薬ポーション

 傷を一瞬で治す魔法の薬だ。

 もし回復薬ポーションを作ることが出来れば外で怪我しても安心だ。ぜひ作っておきたい。


 回復薬ポーションは材料の他に『錬金台』と呼ばれる装置が必要だ。

 錬金台はかなり高価で、そのせいで回復薬ポーションの値段もそれなりに高い。


 でもここには最高クラスの錬金台『創造神の錬金台』がある。

 もしかしたら高品質のポーションが出来るかもしれない。今から楽しみだ。


【読者の皆さまへ】



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