第22話 新しい家族
ヨルを引き取ってから一週間の時が過ぎた。
その間俺は彼女の面倒を見続けた。ご飯を作り、一緒に外で遊び、色んな話をした。
まるで妹が出来たみたいで俺も悪い気はしなかった。
ただ、俺は面倒を見すぎたみたいで……ヨルにめっちゃ懐かれてしまった。
「ぎゅー」
「参ったな……」
今では椅子に座ると必ず上に乗っかってくる。
妹どころかこれじゃ赤ちゃんだ。
今もソファに座る俺の上に乗っかり、向かい合うように抱きついてきている。
親を早くに亡くして甘えることが出来なかった分を取り返したいのは分かるけど、ちょっと度が過ぎてるな。
「ヨル、いつまで乗ってるつもりだ?」
「……だめ?」
「だめ」
「むー」
即答するとヨルはぷくっと頬を膨らませて抗議してくる。
かわいいなこの生き物……。
「私はリックに眷属返しされた。つまり私はリックの眷属みたいなもの。ご主人さまに奉仕するのは眷属の役目」
「これのどこが奉仕なんだ。いい加減降りなさい」
無理やり引っ剥がして右隣に座らせる。
ヨルは不服そうにしながら腕にひっついてくる。まあ乗っかられるよりはマシか。甘んじて受けれ入れよう。
「あー! ふたりしてなにやってるの!? ずるい!」
今度はソラが俺の上に乗ってかってくる。
それを見たベルも「わふっ!」と飛び乗ってくる。あっという間に俺は一人と二匹にもみくちゃにされる。
「賑やかなのは嫌いじゃないけど、これはちょっといきすぎだな……」
と、朝からボヤいていると家の扉が開く。
「おじゃましまーす! あ! 楽しそうなことしてますね!」
「そう見えるか?」
ふざけた自覚があるのか、リリアは「えへへ」と舌を見せておどける。
こちらに近づいてくる彼女にヨルは、
「おはようリリア。いいところに来た」
「おはようヨルちゃん。いいところって?」
ヨルとリリアもすっかり仲良くなった。
いつもは妹キャラのリリアもヨルに対してはお姉ちゃんでいたいみたいで色々と世話を焼いている。
最初こそヨルも警戒していたが、ひたすらにいい子なリリアに心を開くのに時間はかからなかった。
「私の逆側が空いている。リリアも飛び込むといい」
そう言ってヨルは俺の左側を指差す。
右腕はヨル、体はソラとベルが占拠しているので確かにそこは空いている。いや空いてはいるが……。
「おいおいリリアはそんなことしな……」
「し、失礼しまひゅ!」
そう言ってリリアは俺の左側にぴとりとくっつき、腕に手を回してくる。当然彼女の豊かな胸が腕に当たり強い主張をしてくる。
ま、マジかよ。こんなことする子じゃなかったのに!
恥ずかしくないのかと顔を覗いて見ると、顔だけじゃなく耳まで赤くなってる。自分でやっておいて恥ずかしいんじゃないか。
「リリア、いいくっつき」
「えへへ……ありがとうヨルちゃん」
謎の友情を深める二人。
本当に仲いいね君たち……。
「全く……これじゃ動けないじゃないか」
「じゃあこのまま寝る。今日は特にやることもない」
「いいですねお昼寝! こうやってみんなで寝るの私好きなんですよ!」
そう言うや二人は俺に体重を預け、すやすやと昼寝を始めてしまう。
……はあ、仕方ない。たまにはこんな日があってもいいだろう。
「しょうがないから俺たちも寝るか」
「うん! ソラ、リックのうえでねるのすきー」
俺は体にたくさんの体重を感じながら目を閉じる。
頼られ、振り回される毎日。
俺はその毎日を、愛おしく思うようになっていた。
まあ絶対に口には出さないけどな。
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