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第18話 レッツクッキング

 家に帰ると、座っていたリリアが椅子から立ち上がり俺のことを心配そうな目で見る。


「あの。ヨルさんは……」

「大丈夫だよ。少ししたら戻ってくる。それよりこれから飯を作ろうと思うんだ、リリアも手伝ってくれないか?」

「ま、任せてください! 私頑張ります!」


 リリアはパッと顔を明るくさせる。

 ヨルを元気づけてあげたいんだろう。その気持ちは俺も同じだ。


 俺、リリア、ソラの三人は気合十分にキッチンに立つ。


「さて、何を作ったもんかね」

「ヨルさんは何が好きなのでしょう? 吸血鬼さんが好きなものとかあるのでしょうか?」

「おなかすいたー」


 会議は難航する。

 俺とリリアが悩んでいると、ソラがのんきに言葉を発する。


「ソラはねー、あのきらきらのスープがのみたいなー」

「……あれか。温かいものは力が出るしいいかもな」


 ソラの言う料理は俺の編み出した特製料理だ。

 クセの強い食材も入ってないし、味もかなりいい自信作だ。中々いいチョイスだ。


「よし、じゃああれを作る。リリアは鍋で湯を沸かしたあと野菜を切ってくれ、ソラは……応援してくれ」


「任せてください!」

「がんばれー」


 こうして俺たちは一斉に動き出す。

 まず俺はキッチンに備え付けてある『次元神の保管庫』を開ける。

 この保管庫は中に入れたものの時間を止める、つまり食材を凍らせなくても鮮度を維持することが出来る。中は異空間になっていて見た目よりたくさん物が入るし、かなり便利な魔道具だ。


「……あった。取っておいてよかったぜ」


 保管庫から取り出したのは、光り輝く肉の塊。

 まるで宝石のように輝くこの肉は宝石角牛ジュエルバイソンの肉だ。

 角が宝石になっているその牛は、肉も宝石のように輝いていて、味も絶品だ。ここらへんにいる食用可能なモンスターは結構色々食べたけど、この肉はその中でもかなり上位に入る美味さだ。


 肉に塩コショウし、炎神のフライパンに火をかける。

 そして神の目でタイミングを見極め……一気に焼く。火をかけた瞬間に光り輝く脂が湯気となり周りに飛び散る。いい匂いだ、このまま食べちゃいたいくらいだ。


「リリア、そっちはどうだ?」

「お湯はもうすぐ沸きます。お野菜もそろそろ最初の分は終わります!」

「さすがに速いな。助かるよ」


 リリアはかなり気が利くし、手先も器用だ。

 将来はいいお嫁さんになるだろう。もちろん戦士としても大成できる、将来が楽しみだな。


「肉は一旦寝かして……と。スープを作る、横通るぞ」

「はい! お願いします!」


 リリアが湯を沸かしてくれていた鍋の前に移動する。

 そこに鎮座しているのは黄金の寸胴鍋。これも魔道具であり、蓋すると超圧力がかかる優れものだ。更にどういう仕組みか分からないが灰汁あくを全て吸い取ってくれる。

 スープを作るにはもってこいだ。


「水晶鶏のガラに全能ネギ。星球たまネギとサンライズハーブ。そして星生姜スタージンジャーとマンドラゴラを少々……と」


 最後に隠し味の琥珀酒を入れ、蓋をする。

 これで中に圧力が加わり、すぐに食材の旨味が溶け出してくる。


 だけど今は時間が惜しい。もう少し時短するとしよう。


時間加速ヘイスト


 ソフィアに教えてもらった時間を加速させる魔法を発動。

鍋の時間を加速させ、あっという間にスープのもとを作り出す。


「……うん。よく出来てるな」


 蓋を開けると中にはキラキラと光り輝くスープが出来ていた。

 あとは調味料と具材を入れて少し煮込んで完成だ。


「リリア」

「いつでもいけます!」


 全部聞く前に返事が飛んでくる。

 本当に出来た子だ。


 あらかじめ入れておいた鶏ガラなどを取り出す。

 そして炒めておいた牛肉、そしてリリアが処理してくれた公爵芋と修羅人参、そして追加の星球たまネギをスープに加える。


 味付けに使うのは光り輝く塩、『星塩』だ。

 地下深くからしか取れないこの塩は、星の旨味が詰まっていると言われるほど深い味を持っている。


 材料をすべて入れ、少し煮込んだ後、蓋を開く。

 その瞬間、光り輝く湯気が家の中に広がる。


「完成だ」


 俺の特製レシピの一つ、その名も『星空のスープ』の出来上がりだ。

 これならきっとヨルも喜んでくれるだろう、そう思ってるとタイミングよくヨルが帰ってくる。


 ふう、なんとか間に合ったな。


「……なに? この匂い。とってもいい香り……」


 くんくんと鼻を動かすヨル。

 俺は彼女のお腹が小さく鳴るのを聞き逃さなかった。


「まあ座ってくれよ」

「え、ええ……」


 困惑しながらもヨルは席に着く。

 さて。喜んでくれるといいが。

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― 新着の感想 ―
[一言] 星塩の説明が前と違うのは描写してないだけで鑑定したのかな?
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