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第6話 亡国の姫

 突然現れた謎のコウモリを、ひとまず俺は家に連れ帰った。

 疲れていたみたいで水を出すと遠慮なくがぶ飲みしていた。


 コウモリは自分のことをモルドと名乗った。

種族は『マジックバット』というものらしい。【鑑定】しても同じ物が表示されたので間違いないだろう。


 少し休んで元気になったモルドは膝を突き頭を下げる。


「休ませていただき感謝いたしますリック殿」

「別にこれくらいいいよ。それで姫様がどうとか言ってたがあれはなんなんだ?」


 あの時のモルドの様子はただごとじゃなかった。

 もしこの森で何かが起きているのだとしたら知っておかなくちゃいけない。


「……ここから南方に、とある小さな国がありました。それほど栄えておりませんでしたが、みな幸せに暮らしていたそうです。しかしその国はとあるモンスターにより滅びることになりました」

「モンスター?」

「ええ。そのモンスターは『吸血鬼』。強い魔力と強靭な肉体を併せ持つ夜の王です」


 吸血鬼って言ったら伝説級のモンスターだ。

 人間の血を好み、残忍な性格をしていると聞く。


 モンスターによって国が滅ぶのはよくある話だ。その国もその一つだったんだろう。


「その吸血鬼、バラドは国民のほとんどを殺しましたが、見目麗しいヨル姫だけは生かしました。そして奴は姫をゆくゆくは自分の伴侶とするため、姫を吸血鬼の身体に変えてしまったのです……!」

「ひどい……!」


 話を聞いたリリアが口を押さえて声を震わせる。

 確かに胸糞悪い話だ。国を滅ぼされただけじゃなくて自分の身体まで変えられてしまうなんて。


「ちなみにお前は何者なんだ? コウモリなのに吸血鬼を嫌っているみたいだが」

「私も元は人間です。姫にお仕えする執事をしていたため、姫の世話役として生かされましたが、このような姿に変えられてしまいました」

「なるほど。お前も大変だったんだな」

「人間でなくなったのは悲しいですが。この体も案外悪くはありませんよ。飛べますしね」


 そう言ってモルドは笑う。

 意外とポジティブなやつだ。


「それでそのバラドっていう吸血鬼が今この森に来ているのか?」

「……いえ。そうではありません。バラドは吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)によって討たれました。もうこの世にはいません」

「なんだって? 話が見えないな」


 バラドが討たれたなら、もうその姫様は無事なはずだ。

 どうやら話は単純じゃないみたいだ。


「私もそう思いました。バラドが討たれた時は喜び涙を流したものですが……地獄はそれでも終わりませんでした。なんとバラドを討った吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)どもは、あろうことか姫様を標的にしたのです!」

「……そういうことか」


 吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)にとって吸血鬼も元人間の吸血鬼も変わらなかったってことだ。

 吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)にも事情があるんだろうが、聞いてて気持ちのいい話じゃないな。


「私と姫様はこの森に逃げ込みましたが、モンスターに襲われはぐれてしまいました。私はどうなっても構いません。ですがどうか姫様だけは……!」


 涙ながらにモルドは頭を下げる。

 人間じゃなくなってもそこまで尽くすとはたいした忠誠心だ。俺のいた城にこんな忠誠心を持ったやつはリンくらいしかいなかった。


 俺は部屋にいるソラとベルを見る。

 二人ともやる気満々って感じで俺のことを見ている。どうやら聞くまでもないみたいだ。


「分かった。姫様は俺たちが助ける。安心しな」

「ありがとう……ございます……!」


 姉上がよく言っていた。

 女の子に手を上げる男はクソだと。


 俺も同感だ。吸血鬼狩り(ヴァンパイアハンター)にどんな事情があるかは知らないが、その子は俺が守ってみせる。


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