表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/90

第17話 家族

「それでどうされたんですか?」


 そう尋ねると、リシッドさんは座りながら姿勢を正し、俺に深々と頭を下げた。とても一族の長が取っていい行動じゃない。俺は焦る。


「やめてください。俺みたいな怪しいやつに頭を下げるなんて」

「今頭を下げずして何が長でしょうか。貴方の身分が何であろうと私達を救って下さったのは紛れもない事実。その感謝を示すためであれば頭くらいいくらでも下げます」


 俺はその言葉を聞いて感動した。

 国王である俺の父上は絶対にこんな行動には出ないからだ。


 もし父上がリシッドさんみたいな人だったら、アガスティア王国もまともであっただろう。俺が追放されることもなく、平和に暮らせていたと思う。


 でもそんな未来はもう訪れない。今を生きて行くしかない。


「……その感謝、ありがたく頂戴します。では私から一つ、お願いをしてもよろしいでしょうか」

「はいもちろん。我々が出来ることであればなんでもおっしゃってください」

「ありがとうございます。俺はエルフの方々と『友人』になりたいのです。それを認めていただけますか?」

「……そんなお願いでよろしいのですか?」


 リシッドさんは驚き目を丸くする。

隣に座るリリアも「へ?」と首を傾げている。

 

「実は俺は故郷を追われ、森の中で一人……今はソラがいるので二人で暮らしています。そのせいで友人は他に誰もいません。もしエルフのみなさんと友人になれるのでしたらこれ以上嬉しいことはありません。ソラも皆さんのことが気に入っているみたいですしね」

「なんとそのような事情が……!」

「ゔう、リッグざんがわいぞうでず……」


 驚くリシッドさんと、大粒の涙を流すリリア。

 この人達は本当にお人好しだな。


「分かりました、そのような事情があるのであれば、ぜひ友人……いえ、迷惑でなければ我らの『家族』として迎え入れさせてください。きっと他の者たちも喜ぶでしょう」

「家族って、エルフじゃないのにいいんですか? 俺はただの人間ですよ?」

「確かに前例はありませんが、ないのであれば作ればいい。ぜひ貴方を我らの『名誉氏族』として迎え入れさせてください」


 そう言って差し出された手を、俺は迷うことなく握り返した。


「これで我々は『家族』です。いつでも帰って来てくださいね」

「わ、私も家族ですからね! たくさん遊びに行きます!」

「はい……ありがとうございます」


 こうして身一つで捨てられた俺に、新しい家族が出来た。

 帰る場所がある。それだけで俺の心はすっと軽くなるのだった。

【読者の皆さまへ】


この小説を読んで


「面白い!」


「続きが気になる!」


と思われたら、↓の☆☆☆☆☆ボタンを★★★★★に変えて応援していただけますと嬉しいです!


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
虚の世界の王:ボイド『ふははははは!お前たちを……家族にする!』 ヌポポン!
[気になる点] >俺はエルフに案内されるまま、近くの小屋に入る。 から >いったい俺に何の用があるんだろうか。 まで、 16話最後部分と被ってます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ